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炎の大地、阿蘇へ ③

3日目の9月25日は、午前中は自転車を借りることにしました。午後はまた阿蘇山へ行きました。(再び!)

市内散策

阿蘇駅の構内のインフォセンターで自転車を借りました。ブリヂストンの走りやすい自転車。ちょっと寄ってみたいところがあったので、行ってみます。開店時間がまだまだだったので、「内牧温泉」のほうに走っていきました。その後、阿蘇神社方面へ。遮るものがない田んぼのなか… 向かい風がきつい!!

古民家ふうの郵便局。かわいい。

阿蘇ミルクファクトリー。チーズを作っているところが見えます。

旧女学院跡

昔の校舎を改装した、アトリエやカフェ、雑貨店が数店舗集まっています。赤毛のアン?若草物語?そんなエッセンス。

ステンドグラス工房さんの作品。作品の色合いと、うしろに木々が映り込むのが素敵。

TIEN TIENという名前のカフェでお昼をいただきました。ココナッツ入りビーフカレー美味しかったです。店内はずっとフランス語のシャンソンが流れていました。大正ロマンな雰囲気です。

このまま市街地をぷらぷらしようかとも思っていたのですが、時計を見ると、阿蘇駅発の阿蘇火口線の時刻にチャリを飛ばせば間に合いそうだったので、かっ飛ばしました。間に合わなかったら1時間以上駅で待つことに。急げ!!

阿蘇山ふたたび

発車時刻の少し前に駅に到着し、無事シャトルバスに乗れました。まずは草千里で降りて、1日目・2日目で見れなかった「阿蘇火山博物館」を見学しました。

模型や標本がたくさんあって、説明もマニアックすぎず、面白かったです。15分間のミニシアターでは、阿蘇山の成り立ちがよく分かりました。

そして… 我はまた火口へ向かう遊歩道を歩いてしまいます。3日目にして初めての曇天。

阿蘇山
阿蘇山
阿蘇山

どんどん霧が濃くなります。
水墨画の世界を歩いているかのようです。

阿蘇山
砂千里
砂千里

月並みだけど、「月」にきたみたい。別の惑星にきたみたい。自分以外ほぼ人間がいない。虫もそんなにいない。植物もない。大地と空と自分だけ…


晴天のときには視界も良くて、遠方の距離感が分かりましたが、霧に包まれると、本来は近いはずなのに無限に遠いような錯覚に。無限の宇宙に放り込まれたような感覚をあじわうことができました。「ここは火星で、時間は早朝。火星ではこれは晴天なんだよ」みたいな。

草千里

火星見学の後は、草千里に戻りました。阿蘇山上ターミナルから下山する終バスは16:30でちと早いのです。草千里には「草千里珈琲焙煎所」というとても都会的なコーヒー屋さんがあります。表参道に集っていそうないでたちの若者がずらりと並んでいます。

ここでドリップコーヒーを注文して、火星帰りの一服をしました。一服の一枚を撮ろうと空を見ると…

虹が出ているではないか!!
しかし。すぐに消えてしまいます。

がっかりだな〜。雲も広がってきているし、もう見えないか。見逃しちゃったな。

でも、一応「ハート」に聞いてみよう。と思い、聞いてみました。

「また見えるかな?」

すると「また出るよ!」とのお返事が。
「ホントにホントのホント?」と思いましたが、待ってみることに。

草千里

また出てきた!!きれいなアーチになりました。

草千里
草千里

沈みかけの太陽が、雲の隙間から一瞬顔を出し、がんばってくれたようです。
天気の天使ありがとう…

サンセットと虹を2日連続で見ることができて嬉しい。

草千里
草千里

心がホクホクしながらホテルへ帰りました。

たくさん遊んで家に帰る、風の又三郎の同級生みたいな心持ちで。明日は何があるかな?明日は何が見れるかな?
大人になると、明日の予定なんて大体決まっていて、行くところも見える景色も大体決まっていて。明日ってそんなに未知なものではなくなってゆく。そういう心持ちに慣れてしまってゆく。

なにも決まっていない明日を迎えるって、ほんとうに豊かなこと。サンセットも虹も、真綿のような細かい優しい火山のパワーも、何一つ思い描かずに、何一つ「これが欲しい、これが見たい、これが体験したい」と決めつけずに、必要な荷物は持ってきたけれど、心は手ぶらの状態でやってきました。阿蘇に行くと決めたのが出発の2週間前だったので、綿密な下調べをする余裕もありませんでしたが。もっとも綿密な下調べがこの世でもっとも苦手なのですが…

「その日にその場所で与えられるものを、神様からのプレゼントを開けるような気持ちで。」そんな新鮮な目で日常の日々も見れるだろうか…。自分の仕事、日常のあれこれ。雑音と情報量が大きすぎる都会でどんどん自分が埋もれてゆき、人々の疲労の波に接するたびにエネルギーを消費し、「まだ見知らぬ何かや誰か」が与えられるのを待ち望む、からっぽの心を持てなくなっていたように思います。全き独りになり、見知らぬ土地に立って、見知らぬ空気に触れて、自分の五感そのものになり切ることは、わたしにとってとても必要なセラピーでした。

火山のエネルギーは地球の吐息。噴火するから地元の人にとってはきれいごとだけで済まされないのは重々わかっているつもりですが、ほんとうにパワーが溢れています。さすがにオフィス生活を送っていた人間がいきなり1日中歩き回ったり坂を登り続けたり自転車に乗るということをして、3日目にもなるとかなり脚が棒になってきているのですが、火口へ向かう道を歩き始めると、とても軽くなり、癒され、疲労など初めから無かったかのようなのです。同じ自分ではないみたいでした。

阿蘇山はわたしに何かをあげているつもりなんて一切ないでしょう。わたしに少し分けてくれても尽きることはないですし、地底からエネルギーがどんどん湧いてくるのですから。

何をいいだすんだ、と思われるかもしれませんが、

ふと、

「阿蘇山みたいな人になりたいな」

と思った、3日目でした。

4日目の最終日の日記も書きます。

つづく






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