家出した母ちゃん その1
昨日は子どもの用事があり
仕事の休みをとった
午前中はフリーだったので
最近の密かな楽しみシェービングを予約していた
顔剃りってやつよ
この歳になると髭とか色々伸びる
エステなんてお洒落なものではない
おじさんが通う理容室の一角にある
女性用顔剃りスペースである
雨の中必死に自転車を漕いで到着すると
薄くなった髪を整えてもらっているおじさん達をかき分け
女性専用に設られている
顔剃り部屋に入った
いつもと違う女性の理容師さんが待っていた
年は55歳だそうだ
ベッドに横になるなり
挨拶がわりに、こう話しかけてみた
私:
ずっとこのお仕事をされているのですか。
おばちゃん:
そうよ!どうして?
私:
15年働いてきたんですけど、毎日がいっぱいいっぱいで、子どものことまでじっくり考えてあげられないことが多くて、仕事を辞めようかなと...
おばちゃん:
そうね、子育ては大変だものね。
あれもこれも抱えすぎると、子育てから逃げ出したくなる時もあるよね。
でも仕事だけはずっと続けてきたの。私も男の子2人がいたのよ。
私:
子育ては大変ですよね。産むだけでどんだけ大変だったか。どんな親でも、こりゃダメだって時がありますよね...。
おばちゃん:
私、逃げ出したのよ!リュックひとつで。もう無理!ホテルに行きますって。
私:
え!すごい行動力!
でも、分かりますよ〜。
うちも子どもがうるさすぎて、1人でゆっくり寝たいと毎日思っていて。
夫に、1日でいいからビジネスホテルに一泊させてくれないかって懇願したばかりで...(笑)
おばちゃん:
ふふふ。私なんかね、飛び出してからは、もう人生再スタート。
真似しちゃダメよ。悪い例、悪い例!
と言いながらガハハっと笑う
こ、この展開
ホテルに一泊して帰ってきた話じゃない
聴いているうちに、おばちゃんの話は熱を帯び始め...止まる気配がない
〜続く〜