ハンブルグ観光①ミニチュアワンダーランドがすごい!
2021年、年末。オミクロン株がヨーロッパに蔓延していることもあって、ドイツ在住の私はスペインやポルトガルなどのあったかい土地に休暇を取りに行くことができなくなった。そこで、「せめて海が見たい」という考えから、ドイツ北端、ハンブルグに出かけることにしてみた。
数日間の滞在の中で最も印象に残っているのが、"Miniatur Wunderland"(ミニチュアワンダーランド)である。その名の通り、「ミニチュアの人形や建物がたくさん置いてある」博物館のようなものなのだが、そんじょそこらのミニチュア展示と侮ってはいけないのだ。
チケットは大人20ユーロ、学生やシニア17ユーロ、15歳以下12.5ユーロと、少しお高めである。遅めの入場時間を選べば多少は(2~3ユーロ)お安くなるが、ケチって遅くから行こうなどと考えていると後悔するだろう。Google Mapなどのレビューでも、多くの人が「予想よりかなり長く滞在してしまった」と書き込んでいる通り、そのミニチュアの圧倒的な数と作りこみによって、私もいつの間にか8時間程滞在してしまったのである。
建物のそばに運河がずっと流れており、その外観は横浜・みなとみらいの「赤レンガ倉庫」を連想させるような作りになっている。(というか、本来赤レンガの方がヨーロッパの建物を模倣したのだから、こちらがオリジナルなのだろう)写真右手の赤い建物がそうだ。隣にはカフェも隣接しており、中に入る前においしいコーヒーを飲むこともできる。
中に入ると地域別にエリアが分けられており、それぞれのエリアにハンブルグの街並みから隣国スイスやイタリア、アメリカやブラジルなどをテーマにしたジオラマが所狭しと並べられている。以下にその一部を掲載する。
これはベネツィアのサンマルコ大聖堂がある広場を川辺側から見たところである。人の数が半端じゃない。しかもそれぞれが写真を撮る人、ナンパをする人といった感じで意思を持って行動しているように作られている。それぞれの建築物のリアルな造形もほぼ完ぺきに作りこまれている。ぱっと見ではミニチュアだと分からないだろう。
次はブラジル、リオデジャネイロをキリスト像側から見た写真である。遠くのビーチとの遠近感が本物にかなり近い。これらはそれぞれ、ベネツィアエリアとリオエリアの「ほんの一部」である。
さらに私が驚いたのが、一部の街では小さな電車や車などが自動で走っていることであるが、その車両数が圧倒的に多い。電車だけで1120本、線路の長さは16kmになるという。線路切り替えも多く、それぞれの車両が複数の目的地に向かって何度も移動する。
車のシステムもすごい。以下三枚の写真を見ると分かるが、
まず手前側の信号が赤いので、手前側の緑色のトラックは、
しっかり止まり、青信号になっている右側の道路から貨物車がウインカーを出しながら走ってくる。
そして手前が青くなると同時に手前の二台が動き出す。交差点だけでなく、バスは必ずバス停で一時停車したりもする。また、街中の建物でランダムに火事が起こる(しっかり煙が上がる!)のだが、そうすると消防署から消防車が出動し、周りの車はしっかり止まるのである。このレベルのリアリティを持ったシステムを作るのは(エンジニア視点から見ても)結構骨が折れるし、システムの構築と改善だけで学士レベルの卒論研究くらいにはなるのではないかと感心した。もちろん、これだけ大きく精巧だと管理も大変で、
裏ではこんな感じに常時6~7人でシステムを監視しており、子供が触ったりして電車が倒れた場合、すぐに職員が駆け付けて直していた。
最後にこの博物館最大の見どころといえる空港である。ここには現実の空港と同じように離着陸の表示ボードがあり、それに従って飛行機が離陸、着陸を行う。飛行機下側に棒を刺し、それを上下させることによって飛行機が飛んでいるように見せていた。
館内はかなり早い周期でライトによる昼夜が繰り返されるのだが、夜の滑走路はこのように非常にきれいである。手前に並んでいる飛行機が順番に離陸していくのだが、中には飛行機ではないレアなものも飛んだりする。ぜひ皆さんの目で確かめてもらいたい。
ANAの飛行機も空港に止まっていた。実際この飛行機が車同様に自動でここを離れて滑走路の所に行き、離陸するので驚かされる。
他にも船エリアや、ドイツの戦前戦後の歴史がミニチュアで学べるブースもあり、いろいろな場所にミニチュアが動く仕掛けが所狭しと並んでいる。本当に遊びが尽きない。ハンブルグ観光の際、時間があればだまされたと思ってぜひ遊びに行ってみてほしいと思う。