目標達成の可否だけではなく、ストーリーを大切にしたい
ひとりひとり、人生にはそれぞれの物語がある。時に自分の思った通りになることもあるし、時には思い通りにいかなかったり悔しい思いをする時もある。でも、目標を達成してもしなくても、それぞれストーリーがある。
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ジョン・ミューアトレイル(JMT)を歩いた時に、多くのハイカーと出会った。そのなかでも印象的だったのがジェーン親子だ。コロラド州からきた2人は、父と息子でJMTを歩いており、私たちは12日目に出会った。同じタイミングでテント場に着いて、「後で一緒に焚き火をしよう」と声をかけてくれた。
その日は、同じ場所にテントを張った人、8人くらいで焚き火をした。仕事のこと山のこと、アメリカのこと日本のこと、焚き火を囲いながら、様々なことを語り合った。
2日後、親子とトレイル上で再会した。下りが続くなか、ジェーンは膝を痛めてしまい、足を引きずりながら歩いていた。残念ながら、明日には街に降りてリタイアするという。
お父さんがジェーンを気遣い、彼に最後の思い出をつくろうとする。後に、ランドマークとなる場所で待ち合わせをした。そこには2日前、焚き火で出会った他のハイカーもジェーンを待っていた。最後一緒に写真を撮る。お互いの検討を祈り、彼の歩く旅は幕を閉じた。
全ての人がスルーハイク(全部歩くこと)できるとは限らない。想定外のトラブルだってある。でもそれぞれの歩く物語がある。ジェーンのJMTの物語は確かに存在した。人より早く終わるだけ、たったそれだけのこと。そう強く思った。
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先月、足を怪我して予定より早くトレッキングの旅を終えた。悔しい思いや、不完全燃焼な気持ちもあったけど、諦めることの大切さも学んだ。
目標は達成できなかったけど、確かに私はニュージーランドへ行き、山を歩いたのだ。
目標達成できたらもちろん嬉しい。でも、様々なトラブルがあり、目標を達成できない時だってある。
上手く行く時も行かないときも、結果はどうであれ、過程を大切にしたい。自分だけの物語を大切にしたい。