台所(福岡県福岡市南区大橋)

福岡市南区大橋に台所という小料理屋さんがあります。区画整理により2020年12月30日で閉店します。

基本的にビールか焼酎飲み放題に野菜たっぷりの美味しい小鉢がどんどこ出てきて、めちゃくちゃ懐にも優しいこのお店の明かり、料理、店主Yさんの人柄が好きで3回目の来店。あと何回行けるだろう?

小料理屋さんで飲むの片手くらいしか体験ないけど、実質愛人斡旋酒場だったり、警察と新聞記者が集まる店だと自慢されたり、◯電OBのお偉いさんにひたすら歴史話を聞かされたりと通いたい店がなかったのでこちらの存在には毎回感謝しています。気を磨り減らさずに会話が成立するお店大事...。

11月初旬、予約してYさんにおはぎを作っていただいた。本当に作ってくれるとは〜〜〜〜。「甘さが足りなくなってしまった。砂糖屋が遠くてねぇ〜」なんておっしゃっていたが最高に美味しい。好きな甘さ。日持ちのしないおはぎ、手作りでしかありえないケミカル一切なしの味。米!小豆!砂糖!火でできてます!って感じ。これAIには無理なはず!

おはぎはもち米の潰し具合の加減が重要。飯でも餅でもないここにしかない質感をつつむ小豆餡〜!ひゅ〜!

私の九州2大おはぎ(小松屋@湯布院、名人・大石スマコさん製造「名尾娘」@吉野ヶ里)に新たな名品が追加されたわ〜。

おはぎでビール、いいな。ちなみにお店のビールはサッポロ黒ラベルのみ。そこもフィーリング合うねぇ。あ、一人でさっと食事だけで来られた寡黙な常連さんがおはぎ出されてにやっとしたのを私は見逃さなかったよ。

残ったおはぎはお土産にもたせてもらって翌朝、子供と食べた。お土産は前夜の報告、罪滅ぼし。気づいちゃったけど、朝ごはん作らなくていいから酒場の土産、母親としては楽。積極的に利用していきたい。

Yさんは結構ご高齢なんだけど、10歳以上は若く見える。酒場の女性って年齢不詳な方が多いけど、まーお見事です。背筋ピーン、記憶ぴしーっと乱れない。戦争の話、災害の話、今の若者への苦言をしたって、相手の話に耳を傾けるので素晴らしくかっこいい女性だ。

薄い壁隔てた隣は小さなスナックでカラオケの声だけがこちらにも聞こえてくる。でもトイレのドアくぐるとスナックと共用!2つの店が突然1つにつながる。古い飲食ビルでは見かける共用トイレだけどなにか起こりそうで好きなんだよなぁ...。絶賛酔ってる最中にトイレとかでちょっと空間変化があるとその日の酔いが印象深いものにレベルアップする気がします。村屋@京都のトイレがいい例。

台所で私が愛してるのがこの影絵。お店に入った人しか見れないかまぼこ板とチラシで作ったかわいい物語。これ眺めてると酔いも手伝って、ここがむかしばなし的幽玄の飲み屋に思えてくる。

店内に特別な明かりがあるとアガるんだよ私は。福岡でいうと雑餉隈の米久、今はなき五十川の秋芳園(1回しか行けなかったけど常連になりたい最高の店だった)↓この画像は秋芳園↓

電光看板があると室内にいながら外にいるような開放感が出て好き。でも逆に台所の影絵は内に秘めた気持ち、見えない気を可視化した存在に感じている。あと何回これを眺めて湯割りをすすれるかな。

こちら、気になった方はぜひ行ってほしいお店です。カウンター数席の店なので1~2人での来店が望ましいです。

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