違法警察　ジャッカル

–––今日は俺にとって人生最悪の日だ–––––

何も無い真っ白な部屋を見渡しそう考えた
いや、ベッドと少し黄ばんだ便器があった

ここは『牢屋』だ
次に俺は何故ここにいるのかを思い出しはじめた––––––

俺の名は「クロキ・マサル」。地球系コラン星人

ガイナナ社の宇宙宅配ドライバー。嫁と息子が1人

その日もいつもと同じ時間に出社し、いつもと同じ宅配船で業務を始めた

それはウル星のある家で起こった。俺はインタホンを押し、女性の返事を聞き、ドアを開けた。そこには女の死体があった

心臓にはナイフが深く突き刺さっている。明らかに意識は無い

返事をしたのは誰であったのか
そんな事を考える暇もなく、俺はギンガポリスに通報した

––––ナイフには、俺の指紋が付いていた––––––

俺の意識は今に戻る。この事は会社にも家族にも伝わっているだろう
無実を正面する手段が無い

まず俺自体が状況を把握できていない。
俺は真っ白な天井を眺めながら呟いた

「今日は俺にとって人生最悪の日だ」

シュィィン

突然ドアが開いた。そこには1人の男が立っていた。体は地球人だが、頭が地球の《ジャッカル》と呼ばれる動物のそれだった。レザーのジャケットを着、鹿内棒を被ったそいつは厳しい表情で言った

「オレはジャッカル、警察だ。今すぐここを出ろ」
「俺の無実が証明されたのか？」
「違う。お前は陰謀に巻き込まれた。生き残りたければオレについてこい」

俺は恐る恐る部屋を出た。ジャッカルは手招きし、走り出した
すると正面にギンガポリスと思われる隊員2人が現れ1人は俺達に銃を向け、もう1人はどこかに連絡を行なっている

ジャッカルは舌打ちした後、腰のホルスターから二丁の銃をBBANG！！......目にも止まらぬ速さで撃った

2人の隊員は倒れた。俺達は走る。状況は把握できないがこれだけはわかる

––––俺にとって人生最悪の日は今日じゃなかったらしい––––

【続く】