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【事前に知っておきたい】銀行口座の相続手続き

口座名義人が亡くなった際は、遺族や遺言執行者等が相続の手続きを行う必要があります。手続きをスムーズに行えるために、手順を理解しておくと安心です。

この記事では、いざという時に慌てないように、前もって知っておきたい銀行口座の相続手続きについて確認していきます。

なお、相続の方法や内容、取引金融機関により、必要となる書類や手続き内容が本記事と異なる場合もあります。実際に手続きしたい場合や詳しく確認したい場合は、お取引金融機関へ直接お問い合わせください。


まずは取引金融機関の確認

昨今はデジタル化も進み、無通帳での取引も増えています。また、通帳やキャッシュカードなどを紛失しているケースもありますので、ご家族が取引している金融機関はなるべく確認しておきましょう。

切り出しにくいかもしれませんが、遺言書とまでは言わずとも、各金融期間の取引をまとめたエンディングノートなどを作成を提案してみることもおすすめです。

また、遺言書やエンディングノートを既に作成していないか、把握しておくことも大切です。

相続が発生した場合のSTEP4つ

口座名義人が亡くなり相続が発⽣した場合には、さまざまな手続きが必要になります。ここでは、相続手続きが完了するまでの基本的な流れSTEP4つをご説明します。

 STEP①取引金融機関へ連絡

取引金融機関へ連絡し、口座名義人が亡くなった旨と相続手続きの申し出をします。
被相続人(亡くなった方)の取引が分かる、通帳やキャッシュカードなどを控えておきましょう。亡くなった日時・連絡した方の氏名や続柄・その金融機関と取引があるか等も聞かれるケースが多いです。
現在は、取引店舗への電話連絡のほか金融機関のホームページからwebで連絡できることが増えています。

◆注意しておきたいこと◆
口座名義人が亡くなった旨を銀行に連絡をした時点で、口座は凍結されます。口座が凍結されたら、相続手続きが完了するまで、現金を引き出すことができません。だからといって、口座凍結前に勝手に引き出してしまっては、ほかの相続人と揉めるなどトラブルにも発展する可能性があります。入出金ができないということは公共料金の引き落としなども停止してしまいますので、忘れないうちに必要な手続きを済ませましょう。

 STEP②必要書類のご準備

お取引内容や遺言書の有無などにより必要書類が変わってきます。それぞれの場合について確認していきましょう。

◆遺言書がある場合◆
遺言書がある場合の必要書類は、下記の通りです。

1.遺言書
2.検認調書または検認済証明書(公正証書遺言以外の場合)
3.被相続人(亡くなられた方)の戸籍謄本または全部事項証明(死亡が確認できるもの)
4.その預金を相続される方(遺言執行者がいる場合は遺言執行者)の印鑑証明書
5.遺言執行者の選任審判書謄本(裁判所で遺言執行者が選任されている場合)

◆遺言書がなく分割協議書がある場合◆
遺言書がなく分割協議書がある場合の必要書類は、概ね下記の通りです。

1.遺産分割協議書(法定相続人全員の署名・捺印があるもの)
2.被相続人(亡くなられた方)の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書(出生から死亡までの連続したもの)
3.相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書
4.相続人全員の印鑑証明書

◆遺言書がなく分割協議書がない場合◆
遺言書がなく分割協議書がない場合の必要書類は、概ね下記の通りです。

1.被相続人(亡くなられた方)の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書(出生から死亡までの連続したもの)
2.相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書
3.相続人全員の印鑑証明書

◆家庭裁判所による調停調書・審判書がある場合◆
家庭裁判所による調停調書・審判書がある場合の必要書類は、概ね下記の通りです。

1.家庭裁判所の調停調書謄本または審判書謄本
 (審判書上確定表示がない場合は、さらに審判確定証明書も必要)
2.その預金を相続される方の印鑑証明書
 (海外に居住されている場合等で、印鑑証明書がない場合には、お取引金融機関にお問い合わせください)

STEP③必要書類の提出

STEP②でご準備された書類と併せて、取引金融機関所定の相続手続き書類に、依頼内容をご記入、相続人の署名捺印をして、取引金融機関に提出してください。
現在は、内容にもよりますが来店せずとも郵送で完結できることもあります。

また窓口へ来店される際は予約サービスを利用するなど、事前にご連絡のうえ来店すると持ち物を確認して忘れ物を防げたり、待ち時間を短縮できたりします。


STEP④払い戻し手続き

相続手続き書類を金融機関へ提出した後、払い戻し等の手続きが行われます。なお、これらの手続きについては日数がかかる場合があります。
必要書類を提出の際には、およその日数を確認しておくと安心でしょう。

遺産分割前の相続預金の払い戻し制度とは?

遺産分割前の相続預貯金の払戻し制度とは、遺産分割が終わる前でも相続財産である銀行口座から、一定額まで相続人により払戻しができる制度です。

先述のとおり、金融機関へ死亡の連絡をした際には口座が凍結され、相続手続きが完了するまでは引き出しができません。しかし、それでは葬儀費用や生活にかかった支払いができなくて困ってしまうこともありますね。

遺産分割前の相続金払い戻し制度については、家庭裁判所の判断が必要な場合とそうでない場合があります。それぞれについて確認していきましょう。

家庭裁判所の判断を経ずに払い戻しができる場合

払い戻しをしようとする金額が一定額以下の場合には、家庭裁判所の判断を経ずに金融機関から単独で払い戻しを受けることができます。

ただし、同一の金融機関からの払い戻しの上限は150万円です。

単独で払い戻しできる計算式は下記の通りになります。
【相続開始時の預金額 = (口座・明細基準) ×1/3× 払戻しを行う相続人の法定相続分】

必要な書類については、概ね下記の通りですが詳しくは各金融機関にご確認ください。

1.被相続人(亡くなられた方)の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書
(出生から死亡までの連続したもの)
2.相続人全員の戸籍謄本または  全部事項証明書
3.預金払い戻しされる方の印鑑証明書


家庭裁判所の判断により払い戻しができる場合

必要な払い戻し金額が一定額を超えている場合や、家庭裁判所に遺産分割の審判や調停が申し立てられている場合には、各相続人が家庭裁判所へ払い戻しを申し立てます。

生活費支払いなど正当な必要性があると家庭裁判所により認められた場合に、相続預金の全部または一部を仮に取得し、金融機関から払い戻しをすることができます。ただし、他の共同相続人の利益を害しない場合に限ります。

必要な書類については概ね下記の通りですが、詳しくは各金融機関にご確認ください。

1.家庭裁判所の審判書謄本
(審判書上確定表示がない場合は、さらに審判確定証明書も必要)
2.預金の払戻しを希望される方の印鑑証明書


残高証明書・預金入出金取引証明書の発行について

被相続人(亡くなった方)の相続税の申告手続や、分割協議をするため財産目録作成にあたり、相続預金の証明書の発行が必要な場合があります。
証明書発行の依頼をされる際は、取引のある各金融機関へ問い合わせしてみましょう。

利用できるサービスは?

ここまで、相続発生において口座を凍結解除するための払い戻しに必要な手続きを見てきました。相続の手続きは用意しなければならない書類が多く、内容が複雑なケースがありますね。
相続人がお仕事や遠方などの理由で相続の手続きが困難な場合には、その取引金融機関がお手伝いしてくれる遺産整理などの有料サービスがあります。
詳しくは金融機関へ問い合わせしてください。


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