00.プロローグ
1961年10月31日、アメリカ合衆国イリノイ州のとある高校。
赤毛の女子高生が校舎の玄関から外に出ようと必死にドアを叩いていた。
その日、学校はハロウィンパーティーだった。
校舎玄関の天井には三角の旗が連なったフラッグガーランド、壁には茶色いカボチャの絵が縫い込まれたタペストリー、中央には大きなカボチャ男の張りぼてが陳列されている。しかしそれ以外はというとひどい有り様で、校舎は散らかり放題だった。
玄関の床には割れた花瓶や折れたモップ、壊れた椅子。・・・そして無数の首のない死体が転がっていた。
女子高生は玄関のドアを叩くがそれはピクリとも動かない。
ガタッ。女子高生の背後で音が聞こえた。しかし振り返った彼女の視線の先にはカボチャ男の張りぼてがあるだけだった。
『ハロウィンパーティへようこそ!』
カボチャ男の張りぼてはそう書かれたメッセージボードを手に持っていた。
それを見た彼女は怒りと恐怖の入り混じった顔でカボチャ男の張りぼてを蹴り倒した。
無抵抗のまま倒されたカボチャ男の張りぼてのちょうど後ろにひとりの怪人が立っていた。茶色いカボチャの頭、体にまとった白いシーツ、緑のマント。怪人は手に鎌を持っていた。
女子高生の顔は絶望へと変わった。
「お願い・・・殺さないで・・・」
後ずさりしながらそう懇願する女子高生を全く無視して怪人は無言で彼女に近づいていく。
「・・・お願い・・・」
床にへたり込んでそう懇願する女子高生の前で怪人は鎌を振り上げた。
そして彼女の視界は真っ暗になった。
それからちょうど60年後の2021年10月31日。舞台は日本の関東地方、神代市にある神代高校。
今日は休校日だが学校でハロウィンパーティーが企画されていた。神代高校3年A組の生徒たちはパーティに参加するため学校に集まった。
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