Ethereumの基本02

Ethereumのネットワークノードについて

Ethereumのネットワークは、複数の種類のノードによって運用されている。これらのノードは、それぞれ異なる役割を担い、ネットワークのセキュリティと機能性を支えている。主なノードには、フルノード、ライトノード、アーカイブノードの3種類がある。それぞれの特徴と機能について詳しく説明する。

フルノード(Full Node)

フルノードは、Ethereumネットワークの中核を担う重要な存在で、ブロックチェーンの完全なコピーを保持し、すべてのトランザクションとブロックを検証する。フルノードは、ブロックチェーンの完全性と整合性を維持するために不可欠な役割を果たしている。

フルノードは、ネットワーク上で送信されるすべてのトランザクションを受信し、その正当性を確認する。これには、署名の検証やガス料金の適用が含まれる。また、新しいブロックが生成されると、そのブロック内のすべてのトランザクションを検証し、ブロックの整合性を確認する。さらに、フルノードは、ブロックチェーン全体の完全なコピーを保持し、過去のすべてのトランザクションデータとブロックデータを保存する。このため、ネットワーク全体の一貫性を保つために重要な役割を果たす。

フルノードはマイナー(鉱夫)としても機能できる。プルーフ・オブ・ワーク(PoW)ベースのEthereumでは、フルノードは新しいブロックを生成し、その報酬を得ることができる。

ライトノード(Light Node)

ライトノードは、完全なブロックチェーンのコピーを保持せず、必要な情報のみをダウンロードしてトランザクションを検証する軽量なノードである。これにより、リソースの消費を最小限に抑えることができる。

ライトノードは、必要に応じて他のフルノードに対してクエリを行い、トランザクションデータを取得する。フルノードから取得したヘッダー情報と軽量プロトコルを使用して、トランザクションの存在と正当性を確認する。ライトノードはリソースが限られた環境(例:モバイルデバイス)での使用に適している。

ライトノードはマイナーとして機能しない。マイニングには、全てのトランザクションとブロックを検証できるフルノードが必要となる。

アーカイブノード(Archive Node)

アーカイブノードは、フルノードの機能に加えて、過去のすべてのブロックとステートデータを保持するノードである。これにより、任意の時点でのブロックチェーンの状態を再現することができる。

アーカイブノードは、ブロックチェーンの過去のすべてのステート(状態)を保存するため、特定の過去の状態やスマートコントラクトの実行結果を調査するために使用される。このため、アーカイブノードはデバッグや分析、開発者向けの用途に適している。

アーカイブノードもフルノードとしての機能を持つため、マイナーとして機能することができる。



intrinsic gas

トランザクションを処理するために必要な最低限のガス量のことを指す。ガスは、Ethereumネットワークでトランザクションを実行する際に支払う手数料の単位であり、マイナーがトランザクションを処理するためのインセンティブとして機能する。Intrinsic Gasは、特定のトランザクションを開始するために必要な基本的なコストをカバーする。以下に詳しく説明する。

内在ガスの役割

  1. 基本的なトランザクションコストのカバー: 内在ガスは、トランザクションがEthereumネットワークで処理されるために必要な基本的なコストをカバーする。これには、トランザクションデータのサイズやトランザクションの種類に応じたガスが含まれる。

  2. リソースの消費を反映: 各トランザクションがネットワーク上で消費するリソースを反映するために、内在ガスが設定されている。これにより、ネットワークの過負荷を防ぎ、公平なリソース使用が促進される。

内在ガスの計算

内在ガスは、トランザクションの内容に基づいて計算される。例えば、シンプルなEtherの送金トランザクションの場合、基本的な内在ガス量は21,000ガスと定義されている。

  • 基本トランザクション

    • シンプルなEtherの送金: 21,000ガス

  • 複雑なトランザクション

    • スマートコントラクトの呼び出しやデプロイメントなど、複雑な操作を含むトランザクションは、追加のガスが必要となる。これには、データストレージの書き込み、コントラクトコードの実行などが含まれる。

具体例

  • シンプルな送金:

    • トランザクションデータが少ないため、必要なガス量は基本的に21,000ガス。

  • スマートコントラクトの操作:

    • スマートコントラクトのデプロイメントや複雑なロジックを含むトランザクションは、さらに多くのガスを消費する。例えば、スマートコントラクトをデプロイする場合、コードのサイズや初期化ロジックによってガス消費量が大幅に増加する。


Mempool

ブロックチェーンネットワークにおいて、未確認のトランザクションが一時的に保管される領域のことを指す。具体的には、トランザクションがネットワークにブロードキャストされ、マイナーによってブロックに取り込まれるまでの間、このメモリプールに保管される。


ブロックヘッダー

State RootとReceipts Rootは、Ethereumのブロックチェーンにおいてデータの整合性を保証するために重要な役割を果たしている。State Rootはブロックが適用された後の全アカウントの状態を示し、Receipts Rootはブロック内の各トランザクションの実行結果を記録する。これらのルートハッシュは、Merkle Patricia TrieやMerkle Trieといったデータ構造を利用しており、これによりデータの改ざんを防ぎ、正確な履歴を保持することができる。

State Root

State Rootは、ブロックチェーンの各ブロックの状態を表すルートハッシュである。具体的には、ブロックが適用された後の全アカウントとそのストレージのMerkle Patricia Trie(メルクル・パトリシア・トライ)のルートハッシュを指す。

  • Merkle Patricia Trie:これは、Ethereumがデータの整合性を確保するために使用するデータ構造で、各アカウントの状態(例えば、アカウントのバランス、ストレージの内容、ノンスなど)が格納される。

  • 役割:State Rootは、ブロックが適用された後の正しい状態を保証する。これは、ブロック内のすべてのトランザクションが正しく処理されたことを確認するための重要なチェックポイントとなる。

Receipts Root

Receipts Rootは、ブロック内のすべてのトランザクションの受領書(レシート)を格納したMerkle Trieのルートハッシュである。

  • トランザクションレシート:各トランザクションの実行結果を記録したもの。具体的には、トランザクションの状態(成功または失敗)、消費したガス量、生成されたログなどが含まれる。

  • Merkle Trie:トランザクションレシートの整合性を保証するために使用されるデータ構造。

  • 役割:Receipts Rootは、ブロック内の各トランザクションが正しく処理され、その結果が正確に記録されていることを保証するために使用される。これにより、ブロックチェーンの各トランザクションの履歴を正確に追跡することができる。

要素まとめ


Gaslimit

トランザクションとブロック作成の両面で重要な役割を果たしている。

トランザクションのガスリミット

トランザクションが実行される際に消費できる最大ガス量を指定するパラメータ。ユーザーがトランザクションを送信する際に設定する。

  1. 役割

    • トランザクションの実行が失敗しないように、適切なガスリミットを設定する必要がある。ガスリミットが低すぎると、トランザクションが途中で失敗し、ガスが無駄に消費される。

    • ガスリミットが高すぎる場合、実際に必要なガス量以上のガスが消費されることはないが、高いガスリミットを設定すると、他のユーザーのトランザクションに影響を与える可能性がある。

  2. 設定方法

    • ユーザーは、トランザクションを送信する際にガスリミットを設定する。適切なガスリミットは、実行されるトランザクションの種類や複雑さに依存する。

    • 例えば、単純なEtherの送金トランザクションは通常21,000ガスを必要とするが、スマートコントラクトの実行にはさらに多くのガスが必要となる。

ブロック作成のガスリミット

ブロックガスリミットは、ブロック内に含めることができる全トランザクションのガスの合計量を制限するパラメータ。

  1. 役割

    • ブロックガスリミットは、ブロックのサイズとネットワークの負荷を管理するために重要である。ガスリミットが高すぎると、ブロックサイズが大きくなりすぎてネットワークの遅延が発生する可能性がある。

    • 逆に、ガスリミットが低すぎると、ブロックに含まれるトランザクション数が少なくなり、ネットワークのスループットが低下する。

  2. 調整方法

    • ブロックガスリミットは、マイナーによって調整される。各ブロックマイナーは、次のブロックのガスリミットを微調整することができる。

    • 通常、ブロックガスリミットは市場の需要とネットワークの状態に基づいて動的に調整される。マイナーは、ネットワークのスムーズな運用を維持するために、適切なガスリミットを設定するよう努める。

具体的な例

  1. トランザクションのガスリミット

    • 例えば、あるユーザーがスマートコントラクトをデプロイする際に、ガスリミットを500,000に設定したとする。スマートコントラクトの実行が400,000ガスを消費した場合、残りの100,000ガスはユーザーに返還される。

  2. ブロックガスリミット

    • あるブロックのガスリミットが10,000,000である場合、そのブロック内に含まれるトランザクションの合計ガス使用量は10,000,000を超えることができない。この制限により、ブロックのサイズとネットワークの負荷が適切に管理される。


















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Ken @ インフラエンジニア
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