【Cisco】 EtherChannelの解説

EtherChannel

複数の物理的なイーサネットリンクを1つの論理的なリンクに束ねる技術です。この技術によって、ネットワークの冗長性が向上し、帯域幅が増大します。

最大で8つリンクを束ねる(バンドル)ことができ、パケットを複数のリンクを通じて分散させることで、ロードバランシングが可能になります。
また、 複数の物理リンクが使用されるため、1つのリンクに障害が発生しても、他のリンクが引き続き通信を行うことでネットワークの冗長性が向上し、ダウンタイムが最小限に抑えられます。

STPの最適化
複数の物理リンクが1つの論理リンクとして扱われるため、STPはこれらのリンクを1つのパスとして認識します。これにより、STPの動作が最適化され、ネットワークの安定性が向上します。


ネゴシエーション

複数の物理リンクを1つの論理リンクにバンドルする際に、スイッチ間で設定を自動的に調整し、互換性を確保するプロセス


PAgP(Port Aggregation Protocol)

PAgPはCiscoプロプライエタリ(独自)のプロトコルで、主にCiscoスイッチ間でのEtherChannelネゴシエーションに使用されます。PAgPは、スイッチ間でリンクの互換性をチェックし、EtherChannelバンドルを自動的に設定します。PAgPは以下の3つのモードで動作します。

  • Auto
    スイッチはPAgPネゴシエーションを開始しませんが、他のスイッチからのネゴシエーション要求に応答します。Autoモードのポートは、相手がDesirableモードの場合のみEtherChannelを形成します。

  • Desirable
    スイッチは積極的にPAgPネゴシエーションを開始し、他のスイッチからのネゴシエーション要求にも応答します。Desirableモードのポートは、相手がAutoまたはDesirableモードの場合にEtherChannelを形成します。

  • On
    スイッチはPAgPネゴシエーションを使用せず、強制的にEtherChannelを形成します。ただし、このモードでは互換性チェックが行われないため、注意が必要です。


LACP(Link Aggregation Control Protocol)

Link Aggregation Control Protocol (LACP): LACPはIEEE 802.3ad規格で定義された標準プロトコルで、Ciscoスイッチだけでなく、異なるベンダーのスイッチ間でもEtherChannelネゴシエーションを行うことができます。LACPは、PAgPと同様にリンクの互換性をチェックし、EtherChannelバンドルを自動的に設定します。LACPは以下の3つのモードで動作します。

  • Passive
    スイッチはLACPネゴシエーションを開始しませんが、他のスイッチからのネゴシエーション要求に応答します。Passiveモードのポートは、相手がActiveモードの場合のみEtherChannelを形成します。

  • Active
    スイッチは積極的にLACPネゴシエーションを開始し、他のスイッチからのネゴシエーション要求にも応答します。Activeモードのポートは、相手がPassiveまたはActiveモードの場合にEtherChannelを形成します。

  • On
    スイッチはLACPネゴシエーションを使用せず、強制的にEtherChannelを形成します。ただし、このモードでは互換性チェックが行われないため、注意が必要です。


EtherChannelのネゴシエーションでは、スイッチ間で互換性チェックを行い、以下の条件が一致する必要があります。
互換性チェックが成功すると、EtherChannelが自動的にバンドルされ、リンクが1つの論理インターフェイスとして動作します。

  • スイッチポートの速度(例: 1000Mbps)

  • 伝送モード(半二重または全二重)

  • VLANメンバーシップ

  • トランキングモードとネイティブVLAN

  • STP(Spanning Tree Protocol)設定



条件と注意点

互換性のあるポート

EtherChannelのバンドルに含めるポートは、同じスイッチ上にある必要があり、それらのポートは互換性が必要になります。これには、同じ速度(例:10/100/1000 Mbps)、同じデュプレックスモード(半二重または全二重)、および同じスイッチポートタイプ(アクセスポートまたはトランクポート)を持っていることが含まれます。

VLAN設定の一致

バンドルされるポートは、同じVLAN設定を持つ必要があります。アクセスポートでは、同じVLANに所属し、トランクポートでは、トランクに許可されるVLANおよびネイティブVLAN設定が一致している必要があります。

STP設定の一致

スパニングツリープロトコルの設定(例:ポートの優先度やコスト)も一致している必要があります。これにより、EtherChannelがスパニングツリー環境で正しく動作します。

EtherChannelモードの選択

バンドルを構成する際、どのEtherChannelプロトコル(PAgP、LACP、または静的設定)を使用するか選択する必要があります。両端のスイッチで同じプロトコルを使用し、EtherChannelモードが一致することを確認



















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Ken @ インフラエンジニア
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