
上場企業が保有する”現金100億円”の評価は?
Q.上場企業が保有する現金の評価
上場企業が保有する現金100億円はいくらで評価されているでしょうか
①もちろん、100億円!
②140億円超
③60億円未満
ヒント
ここで考えるべきは
保有現金を
・高く評価する要素
・低く評価する要素
を考え、どちらを市場は重要視しているか
まず、高く評価する要素
資金調達コスト(負債利子)
保有現金を使うことで負債利子を支払わずにする。
機会損失
投資のチャンスがあった時に投資する資金がないために逃すリスク
一方、評価を低める要因
非効率な資産運用
現金を活用しないため期待収益率分を減額して評価
情報の非対称性(エージェンシーコスト)
無駄遣いするのではないか、
答え
③60億円
”低めるであろう要因”の2つが大きい
保有現金の評価を高める要因は効果は小さい
・ゼロ金利でほぼ負債利子は無視してよいレベル
・金融緩和で資金調達は容易なため、機会損失は発生しにくい
”いつか是正される”
という反論があるかもしれない。
しかし、多くの投資家が見ていて、放置されているという現実を受け入れたほうがよいのではないかと考える。
それでも、投資したいというのであれば、もう一つ企業を見る判断基準をお伝えするべく、
クイズを出したい。
Q.現金の評価に幅があった理由は?
100億円の現金の評価 60億円と言いましたが
36億円~70億円と差があった。
差がついた要因として挙げられたのは何か?
①企業の成長ステージ
②コーポレートガバナンスの良さ
③財務体質
ヒント
①企業の成長ステージ
とは、資金の重要度は企業の成長ステージで違うだろうという考え
成長期、成熟期、衰退期で評価が違うのではないか
②コーポレートガバナンスの良さ
説明責任を果たし、社内外でガバナンスが優れたと認められた企業かどうか
③財務体質
財務体質の良い企業が保有する現金と、財務体質が悪い企業が保有する現金には
おのずと評価が分かれるはず、という考え
答え
②コーポレートガバナンス
下記の財務省のレポートでは
コーポレートガバナンスが平均的 36万円
コーポレートガバナンスが良い 70万円
と示されている。
現金の利用目的が明確でないと36万円程度にしか評価されない例もあるということ。
コーポレートガバナンスがよい企業は株主及び投資家との信頼関係が築かれている
ということ。
*日本企業の現預金保有行動とその合理性の検証(財務省財務総合研究所総務研究部)
(*https://www.mof.go.jp/pri/research/discussion_paper/ron305.pdf こちらのリンクが切れていたのでリンクを張りなおしました)
もしキャッシュリッチ企業を探すのであれば、
・コーポレートガバナンスが良い企業
または
・改善しようと行動している企業
という点に着目してはどうだろうか。
そして、投資したならば株主として、コーポレートガバナンスの強化を訴えて、
低評価を是正する行動をしてみてはどうか。
ただやみくもに
”株主還元しろ”
というアクティビストではなく
何に使うのか
を説明してもらうべく、行動してみてほしい。
その行動が市場全体の評価を上げることにつながる。
9月4日 長期投資家コミュニティ 参加者募集中