13本目の紫
KANEBOのCMが痺れたのでnotoに感情の記録を残すことにしました。
率直な感想は、「傷をえぐられたみたい」でした。
私にとって口紅は、強い意志を持つツール。
最初に塗ったのは多分幼稚園生の時。
お母さんの鏡台を勝手に開けて。
全然似合わない青みピンクを子供の唇に雑多に乗せただけで、大人になった気分を味わってたんです。
とにかく早く大人になりたかった。
時代遅れの強いパール感が一層不釣り合いさを際立たせてたのを今でも鮮明に覚えてます。
まるで似合わなくて「まだ早い」と言われたみたいで、ちょっと鏡にムッとしたりなんかして。
小学校では男子に負けたくないと一切何も塗らず。
なぜかスカートも履かず。
中学・高校では校則の制約と同性のプライドの両方を意識しながら、流行りの色と柔らかい赤でオンとオフと切り分けて。
今思うとその時々の人生に応じて口紅の色って変わってた気がする。
でもいつからか、当たり障りのない色ばっかりつけるようになったんですよね。
いつしか私にとっての口紅は表現じゃなくて自分を隠すツールになってた。
私、口紅をすごく集めちゃう癖があるんです。
その数13本。
口は1つしかないのに。
なんか口紅の色って顔の中でも印象が強いんで、新しい色を買うと新しい自分になれる気がしてたんです。
でもね、12本、全部おんなじようなピンクなんです。
ちょっと赤っぽかったりちょっとオレンジっぽかったりはするけど、ぱっと見全部コーラルピンク12本。
選んでるときは昨日よりちょっと違う自分になりたいとか思ってるのに、買う頃には口紅をつけた時の見られ方とか、ウケみたいなのを気にしてるんですよね。
次第に自分の我を出すよりも当たり障りのない色にした方が人生特っぽいよなとか思い始めてきちゃって、
それで結局八方美人コーラルにたどり着く。
だから、今回のKANEBOのCMが、好きな色を塗られた唇が、
自覚しながらコーラルを選んでる私に刺さったんです。
13本目の紫。
そんな私が最近、紫の口紅を買ったんです。たまたま。CMの影響とかじゃなく。
ファッションとかさほど興味ない男性ならデーモン閣下と見分けがつけられないような紫。
なんで今までは買えなかったのに、挑戦できるようになったのかわかんないけど、ようやく意志を表現できるフェーズに人生が移行したんだと、私は願わずにはいられないのです。
勇気をありがとう。
I HOPE...
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