あの有名な急成長スタートアップのマーケティング戦略まとめ10選
三連休いかがお過ごしでしょうか?
僕はやることもないので、半分仕事・半分趣味でスタートアップのマーケティング戦略を調べていました。
「マーケティング戦略」という言葉は本来、目的達成のための多角的・複合的・中長期的なシナリオのことだと思います。
ただ、今回は「ターニングポイントとなったマーケティング活動」くらいに考えていただければ幸いです。
ワクワクしながらまとめた結果、少し長くなってしまったので気になる企業やサービスから読んでいただければと!
1.フロムスクラッチ
■サービス内容
データマーケティングプラットフォーム『b→dash』
■マーケティング戦略
①選んだ戦略
タクシー広告
(時期:2017年に32億円の資金調達をした翌年)
②その戦略を選んだ理由
・導入検討企業の担当者がb→dashを推奨するも、役員や部長など意思決定者がb→dashではなく他のツールを選んでしまい、受注に至らないケースが頻発。
・コンペで負けた企業の意思決定者や担当者にヒアリングすると、「b→dashは聞いたことがないので、今回選定からはずした」「無名ツールのb→dashで失敗すると責任が重くなる」という認知度が課題であることが浮き彫りになった。
・プロモーションのメインターゲットである「代理店の担当者の方々」「意思決定者」に最もリーチできる広告媒体を考えた結果、タクシー広告を選択。
③戦略を実行した結果
・コンペ勝率:約1.7倍増
・新規獲得リード数:約7.2倍増
・代理店紹介数:約10.7倍増
・サイト来訪数:約13.3倍増
・アポ取得数:約5.3倍増
■参照
【スタートアップ必見】すべて見せます!!! b→dash大型プロモーションの裏側 ~全体設計と成果編~
2.ベルフェイス
■サービス内容
営業に特化したWeb会議システム『bellFace』
■マーケティング戦略
①選んだ戦略
バイラル・口コミ
(時期:プロダクトマーケットフィット前)
②その戦略を選んだ理由
・プロダクト設計においてBtoBかつ営業特化型ならバイラル効果が一番作用しやすい。
・営業が強い、あるいは誰もが知っている会社の営業がベルフェイスを使っていれば、それが周りの企業にも波及して「対面営業ではなく、インサイドセールスというものがあるんだな」と納得してもらえる。
・営業が強い、知名度のある会社の一例としては、楽天やリクルート。
③その戦略を実行した結果
必死に導入支援を続けたことで、次々と他の部門などを紹介してくれるようになり、その都度サポートをしっかりすることでその輪が広がっていき、継続的に関係が続くようになった。カスタマーサクセスが売り上げに直結。
■参照
ベルフェイスのBtoBマーケティング詳細解説|やり切る力が競争優位になる
3.識学
■サービス内容
組織コンサルティング
■マーケティング戦略
①選んだ戦略
紹介
(時期:サービス初期〜2020年2月現在)
②その戦略を選んだ理由
・顧客からの高い満足度を保てる講師育成のコンテンツ⼒に強い自信。
・顧客自身も販売代理店になることで、経験や実績ベースでサービスが紹介される。
③その戦略を実行した結果
顧客獲得ルートの実績として、紹介が約70%(顧客50%+紹介代理店20%)
■その他
・2017年の11月にマンガを使ったLPを始めたら、お客様の心理的ハードルを下げられるようになり、リード獲得件数は2倍に、1万円前後だったCPAが6,000円になった。マンガ資料(マンガでわかる識学)が今では10種類以上もある。
・「識学の仕組み図」の一部公開、マンガLP、テレビCMなど様々な取り組みを行うことで、2016年4月と2018年12月で比較すると、月間獲得リード件数は約10倍、CPAは1/10になった。
■参照
現場が語る、BtoBマーケの最前線 ~初心者マーケターがCPAを1/10にできた秘訣とは? ~株式会社識学 小川氏の場合
4.ZOZO
■サービス内容
ファッション通販サイト『ZOZOTOWN』
■マーケティング戦略
①選んだ戦略
CRM・ダイレクトマーケティング
(時期:テレビCMや大規模な夏セールスなど新規購入者数の拡大を目指した2012年の翌年頃から注力)
②その戦略を選んだ理由
・ユーザーと長期的に友好関係を築くことでROI(投資利益率)を改善するため。
・従来のマーケティングは、企業側が広告したい商品やサービスを、企業側のタイミングで発信しており、それを押しつけのように感じたお客さんのCV、CVRは当然低くなっていた。
・1時間あたり140種類以上のパーソナライズドメールを自動的に出しわけるようにした(データ上で購買行動の変化が見られたお客さまを1時間ごとに検出して、その動きのニーズに合った最適なオファー)。
③その戦略を実行した結果
ダイレクトマーケティングに取り組む以前の3年前は、ここの売上はだいたい25億円程度(売上の約10%)だったが、それが2013の売上では8倍の200億円(売上の約25%)にまで拡大し、ダイレクトマーケティング経由の売り上げは非常に大きな位置を占めるようになった。
■その他
ZOZOは前代表の前澤さんを中心とした企画力も成長要因。具体的には、「ツケ払い」「送料自由化」「1億円お年玉キャンペーン」など。
■参照
【頑張れ大好きなZOZO企画】~ZOZOのプロモーションの歴史を振り返ってみた~
5.ラクスル
■サービス内容
ネット印刷『ラクスル』
■マーケティング戦略
①選んだ戦略
テレビCM
(時期:2014年2月に15.5億円の資金調達後)
②その戦略を選んだ理由
・当時、検索クエリ数で言ったら、ラクスルが5,000あったのに対して、競合の大手企業が80,000あるような状態。
・純粋想起を取られている状態なので、WEBマーケティングだけだとこの状態をひっくり返せないため、『ラクスル』というキーワードでの検索回数を増やすにあたりWEBマーケティング以外の方法が必要。
③その戦略を実行した結果
・この5年で『ネット印刷』業界の検索キーワードはほとんど伸びなかったが、『ラクスル』というキーワードは20倍くらいになった。比較されずに指名されるようになった、という意味でブランディングが成功。
■その他
・テレビCMを全国的に放映する前に、ローカルエリアでABテスト(様々な訴求軸で)を実施。例えば最初は富山、石川、福井の三県で、ほぼ素人さん同然のキャストを使った、製作費が2本合わせて5百万円くらいのCMを打った。
・ラクスルは累計で約79億円資金調達してそのうち約50億円を新規顧客獲得のためのマーケティングに投下。売上に対して約5%くらいの金額をマーケティングに投下するのが一般的にヘルシーなラインと言われている中、大きく超える。
■参照
【MiXER Report】爆速成長を実現する“マーケティングセオリー”
ラクスル、freee、SmartHRのCMOが明かす、市場変革のドキュメント
6.SmartHR
■サービス内容
クラウド人事労務ソフト『SmartHR』
■マーケティング戦略
①選んだ戦略
ターゲット転換 ※IT系 → 飲食・小売業界
(時期:2018年のシリーズB資金調達15億円の年)
②その戦略を選んだ理由
・当初、SmartHRはIT系の中小企業に利用されていた。
・飲食・小売業界は業界の特性上、アルバイト従業員数が多く、入退社や雇用契約更新の頻度が高いことが特徴で、飲食・小売業界においてSmartHRの提供価値を最大化出来ると考えた。
・飲食・小売業界は『拠点が分散していて、紙でやり取りしているとコストがかかるため、SmartHRの提供価値がマッチしやすい』
③その戦略を実行した結果
ITベンチャーを中心に、従業員数が1人から10,000人の企業が多かったが、プロモーション実施後は、飲食・小売業を中心に20,000人から数万人規模の企業様との契約が増えた。
■その他
・速水もこみちさんが以前『MOCO’Sキッチン』をやられていたことから、飲食業界の人に想起されやすいと思ったのがきっかけで、テレビCMにおいて速水さんを起用。
■参照
【MiXER Report】爆速成長を実現する“マーケティングセオリー”
ラクスル、freee、SmartHRのCMOが明かす、市場変革のドキュメント
7.カオナビ
■サービス内容
クラウド人材管理システム『カオナビ』
■マーケティング戦略
①選んだ戦略
価格設計
(時期:サービス初期)
②その戦略を選んだ理由
・最初は、マスターデータ1件で〇〇円としていたが、「社員が1,000人になっても、1人につき〇〇円かかるの?」とお客様に指摘されて、「マスターデータ1件ごとに課金されるのは嫌なのか!」って気づいた。
・メインで利用するマネジメント層は△△円、従業員は□□円、もやってみたが、これもしっくりこない。結局、マスターデータ100件ごとに課金する、今の形に落ち着いた。
③その戦略を実行した結果
過去20回以上の価格変更の結果、プロダクトマーケットフィットを達成。
■参照
現場が語る、BtoBマーケの最前線 ~サービス開始から7年で上場したCOOが明かす、マーケの本質~ 株式会社カオナビ 佐藤副社長の視点
8.NewsPicks
■サービス内容
ソーシャル経済メディア『NewsPicks』
■マーケティング戦略
①選んだ戦略
インフルエンサー・SNSマーケティング
(時期:2013年9月のローンチから2014年12月位までの黎明期)
②その戦略を選んだ理由
・当時は『情報感度の高い方の利用を増やす』ことを目指していた。
・コアコンピタンスが『イノベーターや著名人のコメントを読める』こと。
・影響力のある方がSNSで伝搬してくれる。
・成長期の初期は“ソーシャルでのシェア”をいかにしてもらうか、をKPIとして考えていた。
③その戦略を実行した結果
ローンチから1年半ほどでユーザー数30万人突破。
■その他
プロピッカーのリクルーティングのために、電話やメール、Twitterで一人ずつアポを取って説明した。例えば、創業者の梅田さんは堀江貴文さんに3~4回アプローチしていた。
■参照
【MiXER Report】実践的 “キャズムの越え方”
~PairsとNewsPicksの”本当は教えたくない”データマーケティング~
9.弁護士ドットコム
■サービス内容
電子契約サービス『クラウドサイン』
■マーケティング戦略
①選んだ戦略
商品設計(相手方がサービス登録せずとも締結可能)
②その戦略を選んだ理由
・日本における電子契約という形態は10年以上前から存在していたものの、「契約締結の相手方も同じサービスを導入していないと利用できない」という課題があったことから、普及の進まない状態が続いていなかった
・受信者としてのサービス利用ををキッカケにサービスの認知、導入検討が始まるネットワーク効果も利用
③その戦略を実行した結果
・2015年10月のリリースから約2年で導入企業数10,000社突破。
・2019年10月頃からはテレビCMも打ち、現在50,000社以上が導入。電子契約利用企業の約80%がクラウドサインを利用し、業界No.1。
■参照
「このサービスは顧客に愛されているか?」安心と信頼に向き合うクラウドサインのマーケティング戦略に迫る
10.FORCAS
■サービス内容
ABM(アカウント・ベースド・マーケティング)ツール『FORCAS』
■マーケティング戦略
①選んだ戦略
オフラインマーケティング ※セミナー・イベント主催
(時期:2019年1月〜2020年2月現在)
②その戦略を選んだ理由
セミナーからの商談の案件化率が以上に高いことがわかった。
③その戦略を実行した結果
マーケメンバー3名で年間100本のイベントを開催。結果、前年度の受注実績ベースで契約の6割強がマーケ・営業プロセスの中でオフライン施策を経由して受注に至った(2019年8月時点)。
■参照
FORCAS オフラインマーケティング戦略公開資料 2019.8.8
おわりに
急成長スタートアップのマーケティング戦略まとめ10選はいかがでしたでしょうか?
今回挙げたのも含めてあらゆるサービスに言えることですが、結局は第一にサービスの独自の提供価値を磨き上げること(= 選ばれる理由を作る)
そして次にレバレッジが効く施策(= 予算やその他リソースを投下すればするほど売上に大きく繋がる)を見つ出していくことが大事かなと思っています。
このnoteの全てが正しいという訳ではないかもしれませんが、他社のマーケティング事例を参考に、皆さんのマーケティングの成功に少しでもお役に立てれば幸いです!
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