結婚10周年の、フェンダーとローズ。
2021年1月1日に、私たち夫婦は結婚10周年を迎えました。
何か記念になるものを、と探し始めて約1年。悩みに悩み、しばらく忘れ、思い出しては紆余曲折し、値段交渉の失敗や突然のキャンセルを乗り越え、「10周年」の年にギリギリ収まる形で記念品をゲットできました!
これは、思いがけずに高額で壮大になってしまった、夫と私の記念品探しの記録です。
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記念品、何にする?
結婚10周年といえば、錫婚式(すずこんしき)!
記念品としては、ペアカップや小皿などの錫製品が人気で、他にもスイートテンにちなんでダイヤモンドを贈ったりするようです。
・・・が!いまいちどれも、ピンとこない。
10年って、けっこう長いじゃない?せっかくここまで来たので、もっとインパクトが欲しい。普段は買わないもの、できれば一点モノにしたい。
夫婦であれこれ考えて、『絵画』が第一候補となりました。
夫の駐在でちょうどアメリカで暮らしているので、地元のアーティストが描いた絵なら、将来的にいい思い出になるかも?!
そう思ってギャラリー巡りを始めたものの、素人が絵を買うというのは、なかなか難しいもので。唯一私が「これだ!」とビビビと来たタコの絵(触れないでください)は、予算の10倍💦
その後も、絵画を求めてトキメキとトマドイを繰り返しますが、次第に日常の忙しさに紛れて、記念品探しは忘れられていったのでした。
ラブストーリーは、突然に。
10周年の記念品のことなんて、頭からすっぽり抜けていた、夏の終わり。通っているジャズアカデミーの繋がりで、プロのミュージシャンに混ざってステージに乗る機会をいただきました。
業界用語で言うところの、gig(ギグ)!
演奏仕事というヤツですね。
どかんと30曲くらい渡されて、さすがにぶっつけ本番は怖すぎる。軽く全曲合わせようと、リーダーのカリムの家にお邪魔したところ・・・
そう、カリムの家にあったのです。
幻のエレクトリックピアノが!
Rhodes(ローズ)のMark1がーっ!!!
私たち夫婦は、大学のジャズサークルで出会ったのですが、そこにもRhodesが一台ありました。そのときに聞いた「世界に数えるほどしかない幻の楽器」という評判のせいで、一般人でも所有できるかも?なんて1ミリも考えたことがなかった!
え?どこかで買えるの?!
ほ、欲しい。欲しすぎる。
ドキドキがとまらない。まるで恋!
インパクトがあって、普段は買えない、一点もの。しかもRhodesって、いま住んでるカリフォルニアで製造されていたんです。これほど条件を満たす結婚10周年の記念品って、他にあります??!
あの日あの時あの場所で、出会ってしまったのは運命か、必然か。ここから無謀にも、私のRhodes探しの旅が始まったのでした。
Rhodesってなんぞや?
Rhodesという単語を聞いたことはなくても、Rhodesの音は聴いたことがあるはず!
そう、夏の甲子園でお馴染みのこの曲、実はRhodesの音なんです。他にもあんな曲のあんな部分に・・・。たくさんのアーティストがRhodesを愛し、名曲を生み出しています。
(↓)下記の映像は長いけど、Rhodesの魅力が丸わかり!
Rhodes社がFender社から独立したのは、1973年のこと。その前後に作られたMark1と、その後に作られたMark2が、いわゆる一般的にイメージされるヴィンテージのRhodes Piano(ローズ・ピアノ)というヤツです。
分類すると、
●Fender Rhodes Mark I (製造年 1969-1975)
●Rhodes Mark I (1975-1979) ※ロゴからFenderの文字が取れた。
●Rhodes Mark II (1979-1983)
というモデルがあって、それぞれに
■鍵盤数 88 or 73
■ステージタイプ or スーツケースタイプ
という種類があります。
(ざっくりね。ご興味あったら調べてみてください!)
私はMark1、73鍵盤のステージタイプが欲しい!本当はFender Rhodesを狙いたい。けど、Fenderロゴが消えた1975年以降のでも構わない!
だってね。
市場にないのよ、ローズは、Ha-han♪
「世界に数台」ではないにしても、製造された年数が短い上に、半世紀前の楽器なので、保存状態はピンキリ。
私の狙いは、特に人気の激レアタイプですから。そんな子が綺麗な状態で売りに出されるのは、なかなか珍しいことなんです。
一方その頃、夫は。
私がRhodesと恋に落ちた同じ頃、偶然にも夫は夫で、勝手にFenderに心奪われていました。
Fender社の製造拠点がカリフォルニアのコロナ(我が家の近所)にあることを知った彼は、その流れで、Fenderが生誕75周年を記念してスペシャルなエレキベースを作ったことを突き止めます。
亥年生まれの夫、これだ!と決めたら猪突猛進です。
「Fender75周年記念モデルのベースが欲しい」と言い始めてから、2週間後。9月半ばのとある平日、まさかのランチ休憩中に訪れた楽器店で、とってもフランクにベースをお買い上げしていました。
軽~い感じで買ってるけど、けっこうなお値段なんですよ。
ただ、年内という期限まで余裕を持ってミッションコンプリートするあたりは、堅実な夫らしさが滲み出ていたと思います。
新品のベース♬ タグが付いた状態で、キッズに絡まれながらも、楽しそうに演奏していました。
本気でRhodesを探すぞ!
夫はさっさと記念品を手に入れた。次は私の番です。
レアなヴィンテージ楽器は、楽器屋さんには並んでいません。ネットを駆使して個人広告をチェックし、良さそうなら連絡を取って試奏をし、気に入ったら購入する・・・という方法になります。
稼ごうと思って商売にしている方、たまたま家にあって引っ越しで売ろうとする方、いろいろいますけど、Rhodesに値段はあってないようなもの!だいたい高めに設定されているので、値段交渉も必要です。
OfferUpというアプリで目をつけていたハンティントンビーチのクールなスティーヴが売っているRhodes、$3500と高額だったので手が出なかったのすが、突然「$1」の表示に?!
すかさず連絡を取ると、オープンオファーという意味らしく、「すでに$2Kのオファーがある」というので、「$2100出す!」と地味に色を着けて、試奏に向けて連絡を取り合うことに。
ところが、倉庫に電源がないとか、アンプがないとか、部品を取り寄せなきゃ、とか言われた末に・・・
「他の人がもっといい値段で買ったよ、ごめんね」で、終了しました。
ちーん。
値切りすぎてしまったみたい。そして、もっと主体的に素早く動いておけばよかったと、大反省です。
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その後、お目当ての広告がぜんぜん出なくなってしまって、年の瀬が迫る頃、やっとこさ現れたのがLA在住・フタなしのブルックスです。
こちらはCraigslistに上がった個人広告で、1975年以降に作られたMark1!
写真も綺麗、値段は$2800まで交渉できた。だけど、なななんと、Rhodesケースのフタがないというのです。
うーむ・・・。
致命的。だけどここは執念!
別のReverbというサイトで、フタが余っていそうな人を探し出すことに成功します(私すごくない?!)
こちらはNY在住・フタ余りのマークとでも呼びましょうか。
マークが出していた広告内容をよーく読むと、売っているのは、1973年製のFender Rhodes Mark1。でも1975年以降のFenderじゃないフタしか持ってない。サイズが合わなくて閉まらないけど、一応フタも一緒に売るというのです(なんだそりゃw)。
交渉したら、$250でフタだけ売ってくれる、しかもNYから郵送もしてくれるとのこと。そこで、フタなしのブルックスとフタ余りのマークのマリアージュ計画を進めることにしました。
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そんな折に突如として現れたのが、サンディエゴ在住・イージーゴーインのマシューです。Craigslistの広告には、写真1枚しか載せてないし、楽器の詳細よりも「毎日弾いていたから売るのは寂しいけど、引っ越すから手放します」という超個人的な気持ちのみ。
連絡を取ってみたら、パーツもすべて揃っているし、コンディションもよく、何よりフタがある!しかも、$3200での販売に対して「$2800で」と言ったら「それでもいいよん♪」と軽く承諾してくれるではありませんか!
でもね。
マシューは、ノリの軽い男です。
土曜日に試奏をお願いしていたのに、直前の金曜日に「今日別のバイヤーが来るんだー」と言われ、「Happy Rhodes Hunting♪(ローズ探し、楽しんで)」という軽い挨拶を最後に、音沙汰がなくなってしまいました。とほほ。
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こうなったら、フタなしのブルックスに戻るしかないか。。
ところが、ブルックスと試奏の約束を取り付けたその日に、レドンドビーチの滑り込みアンドリューが登場します。Reverbのサイトで、市場価格より安めの$2800で1977年製のMark1を売っている!!
すでに7名が「お気に入りマーク」を着けて、このRhodesを狙っています。さぁ、これまで培った知識をフル活用して、アンドリューに突撃です。
「明日の朝10時でどう?」と、速攻でアポを獲得。
値段はすでに妥当なので、$2600でオファーを出し、最終的には間を取った$2700で決着。
翌日、家族全員でレドンドビーチのアンドリューのガレージに押しかけ、試奏し、外れた音をその場で調整してもらい・・・
「オーケー!アイム・バイイング!(買うぞおらー!)」
その場で夫のVenmoからチロリン♪と$2700を送金してもらい、念願のRhodesを手に入れたのでした。
サイズぎりぎり💦
ギューギュー押し込んで、家に持って帰りました。
記念品探しの結びに。
いやー・・・壮絶なRhodes Huntingでした。
なんの話でしたっけ?
そうそう、結婚10周年の記念品でしたね。
期限内に余裕を持って、一本気に目標を定め、でも最後はクレイジーなのかなと驚くような行動力で購入を決めた夫。
むちゃくちゃなことを言い出して、ドタバタと大騒ぎしながら、運に味方されて期限内ギリギリに購入できた私。
そして結局、予算の5倍もの金額を使ってしまう、私たち。
結婚から10年が経っても、変わらないところは、変わらないんだなぁ。
音楽を通じて出会った私たち夫婦は、10年前の披露宴で両家の親を巻き込み、ゲストの前で演奏しました。
結婚10周年の記念品として購入したフェンダーのベースとローズのピアノは、今となっては、なんとも私たちらしい選択だったように思えます。
しかもどちらの楽器も、Made In California!アメリカ生活の良い思い出にもなる、最高の記念品になりました。
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