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頭の中のタヌキ。

ここ最近、私の頭の中は皮算用でいそがしい。

きっかけは、アメリカで仲良くしているお友達ファミリーが、「そろそろ日本に帰るかも」と言ったことだったか。

それとも、オンライン飲み会で久しぶりに会った先輩が、「小学校受験って意外とアリだよ」と教えてくれたことかも。

あるいは、姪っ子ちゃんが「受験勉強を頑張っている」と母から聞いたことだったのかもしれないけれど。

ある夜、「日本」「小学校」「受験」の単語が頭の中を飛び回り、まったく眠れなくなってしまいました。娘の将来について、ステキな想像があふれ出て!アメージングな空想が駆け巡り!取らぬ狸の皮算用が、もうどうにもこうにも止まらないのです!

あの小学校に入学できたらいいなぁ。
通学を考えて、あの町に住もうか。
せっかくだから、大きいお家がいいよね。
そうだ、また海外転勤があるかも?!
あの学校だったら、「復学も可」と書いてあった。
よし、これなら完璧だ!

・・・ちなみに、我が家は帰国時期すら未定です。

それなのに、頭の中で勝手に娘のお受験をスタートさせ、通学を考慮して居住地を選び、携帯アプリで新居を探し、学費と家賃をどうやって捻出するかを考え、2年後には息子も同じ学校に入学させ、しばらく楽しい学園生活を送ったその上で、再び家族で海外へ移住するというシミュレーションまで、イッキに済ませてしまったのです。

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子供が生まれて「将来が楽しみね」と言われることは、これまでに何度かありました。でも実は、ピンときたことがなかった。

子供たちを生かすことで、精一杯。
今、この瞬間のことしか、考えられない。

足元にまとわりつく小さな子供たちを見守るため、よそ見をせず、ひたすらジッと顔を下に向けている・・・というイメージです。

でも、娘も息子もだんだん人間らしくなり、どうやら四六時中ガッツリと見続けなくても大丈夫そうだ、ということに気付く。

そして、4年ぶりにふと空を見上げてみると・・・。そこにはなんと、美しく、果てしない「可能性」が広がっていたのです!


子供の将来という存在に初めて気付き、私のイマジネーションは大暴れしてしまいました。なんてったって、生来のドリーミー・ガールです。「思考」と「空想」の境界線があやふやで、駆け出しのコピーライター時代はロジカルシンキングができずに、どれほど苦労したことか。

久しぶりに解放された野性の想像力が、「娘の将来」という甘美な食べ物にむさぼりつき、ムクムクと化け物のように大きく成長していく。あぁ、恐ろしや。

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もちろん、現実はそんなに甘くない!というのも、わかっているつもり。でも一方で、まだ現実の厳しさに直面しているわけでもない。少しぐらい空想の未来を楽しんだって、きっと許されるでしょう。

だから今夜も私は、頭の中に住むたくさんのタヌキの中から1匹を取り出し、皮を剥ぎ、なめし、乾燥させ、仕上げて・・・。存分に皮算用を楽しみたいと思います。

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小倉 麻未
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