【心霊】布団の隙間から

今回も心霊話となります。

これは私が7歳の頃に体験した話です。

私の実家は結構広く、THE・和室といったような二階建ての家でした。
玄関に入るとコの字の廊下があり、廊下の右側が茶の間でその奥が台所になっています。コの内側は中の間になっており、その左側が仏壇のある奥の間(仏間)になっています。
※間取りの説明はここまでにします。

今日の話しは、仏間で起きた出来事です。


その日、私は4歳になる次男と二人で、屋内かくれんぼをしていました。

子供の背丈なら隠れられる場所は結構あります。
掘り炬燵の中、テーブルの下、寝室の布団の中、カーテンの裏、などなど。

ただし、トイレやお風呂と言った施錠できる場所や家の外は禁止です。
また、鬼の探索中に隠れ場所を移しても良いというルールでした。

私と次男と、交互に鬼をしながら楽しんでいました。
何回目かの私が隠れる側になった時、私は仏間に隠れることにしました

選んでおいてなんですが、仏間は隠れられる場所は多くありません。
当時は曾祖母の寝室にもなっていました。

部屋の隅には仏壇や押し入れがありますが、仏壇に隠れられるスペースなどありませんし、押し入れは曾祖母の洋服がパンパンに収納されています。

残った隠れられる場所と言えば、曾祖母の寝ているベッドです。
お年寄りの使うベッドですから、下には子供でも潜り込めるスペースはありません。となれば、ベッド上の布団の中に隠れるしかありません。

私はベッドに寝そべり、頭から布団を被りました。


私の曾祖母はとても元気ハツラツなお婆ちゃんでして、90歳を超えても家中を荷車を押しながら散歩しています。とても綺麗好きなお婆ちゃんだったので、心なしか布団からも良い香りがしました。

私は隠れながらも弟の姿を視認できるように、布団とベッドの間を数ミリ開けて隠れていました。

うっすらですが、仏間の様子が見えます。
そして、うっすらと周りの音も聞こえます。

息を潜めていると、快活な足音が聞こえてきました。
どうやら、弟が仏間を探しに来たようです。
布団の隙間から外を見ると、弟がウロウロしています。

私は隠れる際に、如何にも布団が丸まっているように隠れていました。
この作戦が功を奏したのか、弟は早々に仏間を後にしました。
私は作戦が上手くいってほくそ笑み、次の作戦を考えることにしました。


「隠れ場所を移動しようか…?
 いや、一度探したから、寧ろこのままじっとしていた方が安全かも」


などと考えていた私は、何気なく布団の隙間に目を向けました。




誰かいる。




私は確信しました。
不思議な事に、いくら考え事をしていたとはいえ、誰かが近づいてきたことに全く気が付かなかったのです。

布団の隙間からは人の手が見えます。

私は見つからないように息を殺して身を潜めました。
と言うのも、2つの問題に気付いたからです。


1つ目は弟ではないということです。


弟であれば、隙間から見えますし、足音だってしっかり聞こえるはずです。
当時は弟以上に体格の小さい家族はいませんでしたので、弟でないなら尚更足音や気配で気が付きます。


2つ目はそもそも家族の誰かでもないということでした。


何故、顔が見えないのにそんな事が判断できるのか?
答えは簡単です。



布団の隙間から見える手は真っ赤だったからです。



赤いと言っても血に染まっているほどではありません。
血色が良すぎるレベルの赤さです。
そして、うちの家族にそういった人はいません。

私はかくれんぼの事など忘れ、一刻も早くこの場から逃げる方法を考えていました。当時の私がとにかく避けたかったのは、この布団の向こう側にいる人と目を合わせる事でした。
悩みに悩んだ私は布団を被ったまま逃げることにしました。

そうと決まれば、話は早い。
私は起き上がろうとしました。


……!?!?動けない?!?!


辛うじて首と指は動かせますが、肝心の胴体が起こせません。
これが私が人生で初めて体験した金縛りだったのかも知れません。




動けない私にできることは一つ。
目を閉じて神様に祈る事だけでした。

幼いながらに、次に目を開けたら最後だと思っていました。
布団の向こう側にいる奴が、隙間からこちらを覗いているかも…
などと考えたら目を瞑らずにはいられませんでした。





……どれくらいの時間が経ったでしょうか?

気が付けば、私の体は動かせるようになっていました。
私は布団の隙間から外を確認しました。


周りには誰もいません。外も明るく、至って平和。
仏間の向こうからは弟の元気な声と足音が聞こえます。

日中の出来事だったのですが、動けない私にとっては、
まるで真夜中に、独りぼっちの時に起きた出来事のように感じました。

私はかくれんぼなんてそっちのけで布団から転がり落ち、弟の元まで走りました。弟は私の血相を変えた姿を見て心底驚いていました。

一部始終の出来事を話すと弟は怖がっていました。
やはり、仏間には一度しか来ていないようで、
弟曰く、仏間は怖いので早々に立ち去ったそうです。



この出来事以降、私は用事が無ければ仏間を通らないようにしています。

そして、もう一つ。
仮に仏間を通っても、仏壇を見ないようにしています。

私の家は代々仏教の家だったのですが、一般的な仏教の教えに加えて
「仏壇はできるだけ見ないように」
と教わってきました。

これも一般的な仏教徒の教えだったら申し訳ありません。
上京した今でも、実家に帰った際は上記に気を付けています。



私の経験した出来事はなんだったのでしょうか。

幼いながらに経験した幻だったのか…?
はたまた、本当にあった心霊現象だったのか…?

それを確かめる術はありませんし、検証したくもありません。

私はこの後も不思議な体験をすることになるのですが、
それはまた別の記事で紹介したいと思います。

それではまた今度。

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