【懺悔】コロコロコミック事件

私には2人の弟がいるのですが、
今回は次男との思い出について語りたいと思います。
※以降は、ですます口調でなく、淡々と思い出話を語ります。
 どうぞご了承ください。




私の次男は何というか…説明しにくい性格をしている。
家でも学校内でも、特に目立ったことをしない。

間違いなく存在感がある。お友達もいる。
でも、決して冒険せず、常に冷静でおとなしい。それが次男坊。

いや、正確には、人前では決して目立とうとしない。

次男は常に人を見ていた。特に兄の僕の行動を。

何をして褒められたか。何をして怒られたか。
じっと見て学習する。そして、僕が失敗した道は決して選ばない。
とにもかくにも、要領が良い。

次男坊はそんな性格の…僕の可愛い、そして、尊敬する弟である。

さて、そんな次男坊を語る上で、忘れられない思い出がある。

それが今回タイトルとさせていただいた「コロコロコミック事件」である。


あれは僕が小学6年生で次男坊が3年生の頃の話。

その日、僕は学校から帰宅して、家でゴロゴロしていたのだが、
しばらく経った後に、ふと気づいた。

次男がいない。

弟の方が学年が下のため、早く帰宅しているはずだ。
でも、家中探してもどこにもいない。

不思議に思っていると、窓の外に弟の姿が見えた。
何やらスキップしながら家に近づいてきている。雪でも振るのだろうか?

弟は帰宅してすぐ、ランドセルから分厚い本を取り出した。
みんな大好きコロコロコミックである。
どうやら学校帰りに本屋によって買ってきたらしい。
※ちなみに僕はコミックボンボン派だった


当時の3兄弟のお小遣いは1ヶ月に300~500円くらいだった。
僕は花より団子なので、お小遣いはすぐおやつに消えていく。未だにそう。

対する次男坊は団子より花。
欲しいものを決めたら、堅実にお金を貯めて買う子だった。えらい。
今回も堅実にお小遣いをためて、大好きなコロコロコミックを買ってきたようだ。


僕と弟は二人仲良く並んで、コロコロコミックを読む事にした。
当時連載していたコロッケ!や、でんぢゃらすじーさんを笑いながら読んでいたのだが、ここでトラブルが起きた。

小学5年生と3年生。
読める漢字にも、読む速度にも差があるのは当然だった。
しかし、それだけではなかった。

弟は小さい頃からギャグマンガを書いたりして遊んでいた。
色んな漫画のキャラクターをクロスオーバーさせ、そこにオリジナルキャラクターを投入して、自分だけのストーリーを作る。
当時の僕よりも何倍も考えて、創作することを楽しんでいた。

このコロコロコミックだってそうだった。
1コマ1コマを読んで、ストーリーを頭の中で具現化する。
本に描かれていないキャラクター像や情景を自分で補完する。
じっくり、じっくり吟味して、物語を楽しむ…
弟はそういう子供だった。

対する僕は
「早く次のページが見たい…」
こういう子供だった。


幼少期の僕は、兄の特権を濫用して、弟達に対して傍若無人な振る舞いをしていたような気がする。多分。

このコロコロコミックは弟が頑張って貯めたお金で購入した。
紛れもなく、弟のものであった。
故にページをめくる権限は弟にある。べきである。
仮に僕が裁判官でも、学校の先生でも、父親でも同じ判決を下す。

しかし、当時の僕はジャイアニズム全開の良くない兄貴であった。
無情にも弟に許可を取らず、次のページをめくってしまったのである。


恐らく、この時の弟は同じことを考えていたんだと思う。

弟の怒りのボルテージは255%まで跳ね上がった。
みるみる顔が赤くなり、唸り声を上げながら、地団駄した。
そして、あろうことか近くの窓ガラスを蹴りだしたのである。

僕の家は「冬は寒く、夏は暑い」ので、家中の窓ガラスが2重ガラスとなっている。1つ1つの扉が重く、開閉は大人になった今でも骨が折れる。
とても頑丈で子供1人が寄りかかってもビクともしない。

もちろん蹴りごときでもビクともしない。
弟はそれを計算に入れて、怒りの捌け口として窓ガラスを蹴りまくった。
やれやれ、したたかなやつである。

これで済めば良かったのだけれど、そんなはずもない。
弟の計算は空しく、度重なる連続蹴りにより、分厚い窓ガラスは蜘蛛の巣状に大きなヒビが入ってしまったのである。



次男は、この日の出来事がきっかけで要領が良い性格になったのだと思う。

僕の失敗もそうだし、自分の失敗からも学習する。
そして、失敗した道は決して選ばない。常に冷静でおとなしい

お互いに成長して、当時の事を謝罪し合い、今では和解している。
僕が100%悪かったのだが、次男は「あんなことで感情的になりすぎた」と謝罪の言葉を述べてくれた。
次男は、僕より何倍も成長した大人なのだ。

以前のnoteでは三男に懺悔をしたが、今回は次男に懺悔をしようと思う。「次男よ。幼い頃はすまなかった。どうか許してくれ。」


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