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ヴィランについて

ヴィランとは

ヴィラン(villain)とは、英語で「悪役」「悪人役」「悪党」「敵方」「敵キャラ」などの意味を持つ言葉です。特に、映画や本、演劇、アニメなどの物語において、主人公に敵対する相手や悪人、犯罪者を指して使われます。

AI による概要

上記の通り、物語においての悪役のことをヴィランと言います。
その上で、僕が思うヴィランとその役割について記述していこうと思います。

※以降、僕の個人的な見解です。

僕にとってヴィランとは

僕にとってのヴィランとは、倫理.道徳.常識の外側から問いかけてくるものです。
ヴィランは自分が倫理.道徳.常識の外側にいることを自覚している。
そして、その問いはヒーローによって倒されることによって証明終了、つまりQEDされる必要がある。

これが現在、僕が考えるヴィランの定義です。
逆に言えば、ここまで行かなければヴィランとしては不完全な存在だと思います。

そのことに関して、例を出して説明していこうと思います。

世界の有名ヴィランたち

ジョーカー(バットマン)

世界で1番有名なヴィランは彼なのではないだろうか。
バットマンの永遠の宿敵であるジョーカーは、バットマンとは完全に対照的な存在である。
両親を失ってはいるが、家も召使も名声も金もあるバットマンに対して、ジョーカーには何もない。
※年代によってジョーカーの在り方は変化しているが最終的にはここに落ち着いたように思える。
そもそも、バットマンに出てくるヴィランたちは精神障害だったり、社会的弱者だったりと世間から蔑ろにされているものが多い。
その事自体が問いかけであるように思う。
彼の問いはシンプルだが言葉にするのがとても難しい。
強いて言うなら”全てを失い、まともに戻る理由さえないのに、どうして秩序の下で生きなければいけないのか”だろうか。
全てというのは、本当に全てである。物質や関係性だけではない、生きる理由も生きたいと思う理由も自分を律する理由も他者を気遣う理由も、全部である。

バットマンの好きなところは、バットマンはヴィランを倒すが問いかけは終わらないところにあると思う。
ヴィランたちはアーカム精神病院に行くものの真の意味で倒された感じはしない。
実際、ジョーカーとバットマンは何度も対決する、どこまで行っても終わっていないような気がする。
それほど、このテーマは問い続けるに値するものなのだろう。

夜神月(Death note)

日本が産み出した名ヴィランの1人。Death noteの主人公でもありながら同時にヴィラン『キラ』として”犯罪者の遺伝子は根絶するべき”という問いを世界に投げかける。
彼自身、自分のしていることが法において間違っていることを理解していた。だからこそ「新世界の神になる」というセリフでもわかるように彼は世界ごと変えてしまおうとする。

Death noteはヴィランである『キラ』もヒーローサイドである『L』も匿名性が高いところが面白い。
そして、思想/哲学を信念に戦っていること、フィジカルでなく頭脳戦であるところも見どころである。

『キラ』の問いかけに出された答えは、優生思想の危うさであると思う。
そして1番の大事なことは夜神月が自分が人であることを棚に上げてしまったことにあるように思う。
ラストシーンで夜神月は、彼が神ではなく人であり、ただの殺人者で加害者で犯罪者であることを突きつけられる。
彼が人を殺してしまった時点で、彼は犯罪者であり彼が裁きを下す対象たちと同じ立場にある。
その時点で、彼の言う”新世界”は犯罪者が統治する世界になってしまう。
さらに言えば、彼が裁きを下す条件が”犯罪を犯した人間”だけでなく、"彼を思想に仇なすもの"が加わった事も大きな問題だ。
彼は教祖ではあったかもしれないが神になる素質はなかったのだ。

僕が好きなヴィランたち

オールフォーワン(僕のヒーローアカデミア)

人口のほとんどが”個性”と呼ばれる不思議な力を持って産まれる超人社会で”個性”を持たずに産まれた主人公が特別な力を授けられて社会の巨悪と戦っていく物語、それが『僕のヒーローアカデミア』という作品の概要です。
そして、その巨悪こそがオールフォーワンという人物でしょう。
本作品には様々なヴィランが登場するのですが、僕が定義するヴィランに当てはまるのは彼1人です。
ただ、彼は何か強い主張があったり問いかけをしているわけではなく、自分に欠けているものを追い求めた結果ヴィランになったように思います。
それが何なのかも分からず貪欲に求めていき、それが何なのかを最後ヒーローに突きつけられる。
彼の強さとのギャップもあって、とても魅力的に感じました。

ジャック(ハウスジャックビルド)

ラースフォントリアー監督による『ハウスジャックビルド』の主人公。
シリアルキラーである彼が、どのように人々を殺したのか、その経緯.思考を追う映画です。
僕が彼に魅力を感じるポイントは自身の特質をちゃんと認知していること、そして最終的にちゃんと裁かれることです。
勝手に彼の問いかけを言語化するのであれば
”殺人者として産まれた人間は、自己を肯定して生きてはいけないのか”
だと、今のところは考えています。
エンディングの歌詞がこれでもか!というぐらい上記の問いに答えていて。
そりゃそうだよな、と思いながらもどこか虚しくなってしまうような。
彼はそんなヴィランです。

番外編

ここからは番外編なので、魅力的なヴィランの性質を持っているものの、まだヴィランになりきれていない、もしくはヴィランになり切る前にヴィランではなくなったキャラクターたちを紹介します。

アラスター(ハズビンホテル)

ハズビンホテルはAmazon primeで見ることが出来る最もオススメの海外アニメです。地獄のプリンセスである主人公のチャーリーが地獄の住人たちの倫理観を正していく物語です。
登場人物の中でも、最もヴィラン性質の強いキャラクターがアラスターです。
とてつもない魅力を持ったキャラクターではあるものの彼の問いかけがまだ提示されきっていないように思うので、僕にとっては彼はまだヴィランには当てはまらないです。
しかし、これから歴史に残る名ヴィランになりえるキャラクターだと思います。
期待大です。

蒲郡風太郎(銭ゲバ)

ジョージ秋山氏の作品『銭ゲバ』に登場する主人公であり、人を殺してでも大金を得ようとする悪魔のような人間でありつつ、彼の苦悩にはついつい目が離せなくなります。
とんでもない悪党ではあるものの彼はヒーローに裁かれる前に、自分で裁きを下します。彼はヴィランになり切る前に終わらせることで、自分の主張を貫き通したように見えました。
それは、問いに答えさせないことで見たものの中に永遠の問いを残すような、そんな策略にも感じました。

死柄木弔(僕のヒーローアカデミア)

上記で紹介したオールフォーワンは歴としたヴィランだと思うのですが、その他のキャラクターたちに関しては、果たしてヴィランとして完成したのかというとそうではないように思います。
死柄木弔もその1人です。
大きな主張/問いかけをしながらも最終的には己で答えを出し、自分が戦うべきものと戦ったように見えました。
主人公であるデクも死柄木を”倒す”のではなく”救う”ことを選びました。
まあ、個人的にはオールフォーワンがスケープゴートのように感じてしまったりもしました。
死柄木が完全にヴィランとして倒される姿が見たかったという気持ちもあります。
しかし、死柄木たちの主張が世論に影響を与えたこともまた事実です。
そして、ヒーローサイドもその主張を受け入れる、という答えを出したようにも見えました。
そのピクサー映画並みの渋い感じ、大好きでした。

何故、ヴィランが必要なのか

ここまでヴィランを紹介してきましたが、何やかんやで魅力的なヴィランを1番産み出しているのはアメリカなのではないかと思います。
何故なのか、色々な要因が考えられると思いますが
僕はアメリカの犯罪率の高さとそれによって発展してきた犯罪心理学によるものなのではないかと考えています。
ヴィランを描くことは、悪と向き合うことです。
ただただ、悪人や犯罪者を登場させる事ももちろんできます。
でも、それだけではヴィランとしての役割を果たしていないのです。
どうして、そのヴィランを出したのか
視聴者、読者、観客がそのヴィランを観ることは、すなわち何と向き合うことなのか
そして、向き合った上で何を見出し、その後の人生を生きていくのか。

ヴィランは、人々がいけしゃあしゃあと生きることを許しません。
常に、自分たちがどう在るべきなのか問い続けなければいけない。
そのためにも、ヴィランは必要なのです。

ここで、”荒木飛呂彦の新•漫画術 悪役の作り方”の帯に載っている荒木先生のお言葉を紹介します。

悪役を作るということは、作者の「悪とは何か」という一種の「哲学」が反映される、けっこう深い作業なのです。______荒木飛呂彦

荒木飛呂彦の新•漫画術 悪役の作り方

Forsaken by Gods!について

"Forsaken by Gods!"、和訳すると"神々に見捨てられた!"タグにすると #FbGs これは来年から始動する僕のインプロ企画です。
ヴィランをテーマに即興でロングシーンを作っていく企画となっております。
上記でも語ったような役割をしっかり果たせたらなぁと思っています。
皆様にブラックなエンタメを、アラスターの言葉を借りるのであれば『entartaining fire』ってやつですね。
小気味いいリズムで、気持ちよく、"悪"について語り合える、そんな企画になればいいなぁ。
皆様!楽しみにしておいてください!!!

Forsaken by Gods!の前企画『悪のモノローグBAR』

今年の12/27に『悪のモノローグBAR』という"Forsaken by Gods!"のお試し企画のようなものをやります。
#FbGs ではモノローグからヴィランの人物像を即興で作り上げていく予定なのです。なので、『悪のモノローグBAR』ではとあるヴィランたちのモノローグを深めて発表するとこから始まり、 #FbGs の冒頭部分でやる予定の即興パフォーマンスを皆さんの前でやってみよう!という企画です。
是非是非、興味本位で遊びに来てください。
入場料無料/遅刻早退可能 です!!!
※ドリンクは飲んでもらえると嬉しいです。

⬇️予約
https://forms.gle/NkRrzTAU45A3hbs37

まとめ

色々書きましたが、これは今の僕の見解です。
これからも研究し探求していくのでその度に変わっていくでしょう。
つまりは、ヴィランというモチーフ/学問がどれだけ魅力的なのか!ということを言いたかったのです。
是非、これからもヴィランをよろしくお願いいたします!

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おはグロ
いただいたお気持ちは必ず創作に活かします もらった分だけ自身の世界を広げます