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1日目 青く抉れたバケモノ

白い光に包まれている
生暖かく心地よいその光は実は小さな黒点の集まりだった

そして、私は青く抉れたバケモノであった

青く抉れたバケモノは服を売ることを生業にしている
余程、面が醜いのか疫病も流行っていないのにペストマスクをつけている
バケモノの売る服は深海のように青く、妖しい魅力に満ちていた
そんなバケモノの服を人々は狂ったように求めた
お陰で服は飛ぶように売れたがバケモノはそのことをよく思っていなかった
友人のAとKが何がそんなに気に入らないのか尋ねる(この友人は実在する"私"の友人である、しかし、バケモノが私であるためバケモノの友人でもあるだろう)
するとバケモノは、自分は服を売ることを生業にしているから服を売るしかないのだが本当は私の服を他人に着られるのは嬉しくないのだ、という
頭を捻るAとK、しばらくしてKが、あまりいい案では無いかもしれないが条件をつけるのはどうだろう。その条件に見合ってない客は服を買うことが出来ない、というのは
2人は苦しい顔をするがバケモノの顔は晴れる
そして、次の日から、『店主が思っている時刻を針が指している腕時計を着けいている客のみ購入可能』という看板が店の前に立った
バケモノの服を買いたい人々はあらゆる時間に時計の針を合わせて店にやってきた
しかし、殆どの客は購入することは出来ず、やがて人々は本当の時間がわからなくなり、服が売れなくなったバケモノも飢え死ぬことになった


以上が、今朝私が夢に微睡みながら必死でメモした内容をわかりやすくまとめたものである
夢日記をまとめることはかなり難しい
夢ということはこれは私の深層心理であり私がこのバケモノであったことにも意味があったと言えよう
服を作ることしか才能がないのにそれを人には売りたくない、その結果死んでしまったこのバケモノはどうして青く抉れていたのか
このバケモノは一体何が欠損してしまっていたのだろうか
そのことを考えると私の奥の方で何かが小さく痛み涙腺をちょっとだけ揺らすのだった

いただいたお気持ちは必ず創作に活かします もらった分だけ自身の世界を広げます