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『酒場の会話と在り方』の話
神保町裏路地日記(36)
2024/12/07㈯
昨日の営業は少し落ち着いていて、普段は料理に追われる僕もちょっと手を止めて話が出来るくらいの余裕がありました。昨日いらしたお客様は年代も上から下まで様々で、会話の内容もあっちこっちにいって面白かった。
「こんなおっさんの話聞いていても面白くないでしょう?」とお客様から言われたりもしたのですが、とんでもない。面白くない話なんて、ほとんどありません。『ほとんど』と言う言葉を使ったのは、聞いていて何だそりゃと思う内容ももちろんあるからというのはありますが、時と場を弁えた良識ある飲み人の会話ほど面白いものはありません。聞かせて頂いて楽しい話、目からウロコの話、会話に参加させて頂けるなら、是非会話に参加したいくらいです。
ちなみに『酒場でしてはいけない話』として有名なのは『政治・宗教・野球』だと昔から言われていますが、ある意味で正しいしある意味では正しくないとも言えると思います。この3つの話題は自分の主義が色濃く出てしまうから、意見がぶつかりやすく喧嘩になりやすいということなんでしょう。けれどこういう話題が良い流れや良い議論をもたらすこともあるわけですから、結局は話し手と聞き手の人間性と度量の問題。時と場によって出したり引いたり出来るなら良いでしょと言うのが僕の意見です。
逆に言えばそれが弁えられないなら、政治・宗教・野球に限らずどんな話題でもダメなものはダメです。酒場でそれはきついでしょうと思ってしまうシーンも沢山あります。
例えばそれは、
『自分の話ばかりしたがって相手の話が聞けない』『相手の状況や気持を慮れない』
『下衆な揚げ足取り、茶化して貶す笑い取り』
『過度な下ネタ』『会話でマウントを取りたがる』
『過度なプライベートの詮索や干渉』
『人格否定』『価値観の押し付け』 とか。
要するに会話のキャッチボールもままならない、相手の気持ちや場の空気を察することが出来ない方というのはどんな話題であっても酒場でコミュニケーションを取るのが難しい。まぁ、酒場でなくても厳しいと思います。職場にこんな人いたら嫌でしょう。いるんですけどね、世の中には。
飲酒の是非が厳しく問われる時代に酒場の在り方も問われているような気がしてならない現代社会でにおいては、当然時代の流れに合わせていかなければなりません。相互理解と適度な距離感でコミュニケーション出来ること、建設的な会話や議論が出来ることは酒場交流に必須な条件と僕は思います。それが難しいという人を請け負うのが僕の仕事です。
皆が一日の仕事を終えて飲む酒と食事は美味しい方が良いし、そこで話をする時は気持ち良く楽しい方が良い。
神保町という街には、アルコールリテラシー(酒の嗜み方)を弁えてらっしゃる方が多いような気がします。良識ある素晴らしい方が多くてそれに救われることもたくさんありますから。有り難いことです。
いやしかし昨日も楽しかった。学ばせていただくこと、気付かせて頂くことばかりです。日々そういう場所を皆で作っていけるように僕も日々精進しなければなと思うわけです。