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【天然氷の芸術展】の話
神保町裏路地日記(80)
2025/02/20㈭
先週の土曜日、栃木県日光市の雲竜渓谷に氷瀑を見に行きました。仕事前だったのでサクッと行って帰ってくると言う条件付き。朝3時に友人に迎えに来てもらい、僕は到着まで車中で仮眠という甘えぶりです。
雲竜渓谷へは日光東照宮の少し北にある駐車場から歩いて向かいます。片道ほんの5〜6キロの散歩です。皆で行く初めての氷瀑、友人がわざわざスタッドレスタイヤを買ってくれて行く初めの雪山シーズン。初めてばかりの山行に期待もワクワクも膨らむ膨らむ。
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雲竜渓谷は、女峰山と赤薙山の懐深いところにある渓谷です。稲荷川源流部にあたるということで、川沿いに山を登って行きます。何度か川を渡る渡渉箇所があったりして、靴を濡らしながら岩を飛び越えていくのも楽しい。「これ渡れるのか?」と思うようなところも意外といけるものです。『稲荷川を辿る』というだけあって、堰堤を通過出来るというのは嬉しい。土砂災害対策のために造られた堰堤はさながらウォール・マリアのようでその迫力に圧倒されます。
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何度か渡渉、坂登りを繰り返して行くとようやく雲竜渓谷の最深部へ到着します。ここも両側に聳える崖が門のように見えて、いよいよ氷の神殿のお出ましです。
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『氷の神殿』という言葉がこれほどしっくりくる場所もそうないでしょう。友人達とも「すげぇな…」という直球な感想しか出てこない。何が凄いって、これを自然が創り出したということが凄い。寒い中歩きづらい道を歩いてきた甲斐があるというものです。氷瀑を見るためにここからもうひと登りしなければなりませんが、登り坂の途中から下を見下ろすと氷柱や氷壁に対してあまりにも人間が小さいことにも驚きます。
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どうやったらこんなに大きな氷柱や氷瀑ができるのだろうと気になって調べてみました。引用元はこちらのサイト。
滝は常に激しく動いているので、当然水分子も絶えず激しく動いています。そのため、水温が0度になっても水分子はくっつくことができません。つまり、凍らないのです。これは「過冷却」と言って、水温が0度以下になって凍るはずの水が、凍らずに冷たい液体のままで流れている状態です。厳しい寒さが続くことで、滝に流れ込む川の水温がマイナス6度前後になると、過冷却がおきます。
過冷却が続くと水分子が徐々にくっつき始め、フラジルアイスという1ミリほどの氷の粒の集まりになっていきます。フラジルアイスができると滝の流れは遅くなり、流れ落ちるときに滝の周囲にある冷たい岩や物体に付着します。そして、そこで凍ります。これが凍結の核となり、その上を水が流れるとさらに凍結が進み、滝がどんどん凍っていくのです。
滝はこのような過程で凍るので、多くの場合、上部から凍っていきます。上から下につららのように垂れ下がった滝を見ることが多いのはそのためです。低い気温が続けば、水が落ちる高さと同じ高さの氷柱ができます。そして、最終的には滝の背後にある壁や岩ともつながり滝全体が凍って、絵のように美しい氷の滝が出来上がるのです。
へぇー、過冷却なんだ。日本酒でもたまにやっちゃううやつだ。あれのもっとずっとスケールの大きいものと思えばいいのか。そう考えると、規模の大小はあれどものの理は同じということにも感動してしまいますし、これを現象として説明がつくということにも感動する。『滝は上から凍るのか?下から凍るのか?どうやって凍るのか?』なんて疑問を最初に抱いて解明しようとした人達がいるんだもの。
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奥に進むと現れた本瀑。高さ100メートルもの大きさだといいます。凄い大きさ。これだけ大きい滝がまるで時が止まったかのようにただそこに在る事が信じられない。そしてこの内側は水が流れているだろうということも。自然って凄い。最近クライミングに再び興味を持ち始めた僕は、いつかこれを登ってみようという気になるのかしら。
雲竜渓谷は前述したように片道5〜6キロ、往復で6時間ほどかかります。お散歩気分では行けないか。でも、また来たいなぁ。皆とこれを見ながら過ごす時間って、想像したらワクワクしますから。