見出し画像

『言葉遣いは心遣い』の話

神保町裏路地日記(72)
2025/01/24㈮

 言葉遣いには人の心が出るなぁと思います。よくごっちゃになりますが、『言葉使い』ではなく『言葉遣い』なのだそうです。“使う”と“遣う”で意味が違うのですが、“使う”は物や道具を消費したり使用したりする時に用いる言葉。“遣う”は想いを伝えたり、慮る時に用いる言葉なんですって。

 先日いらっしゃったお客様で、とても言葉遣いが素敵な方がいらっしゃいました。お店に来てくれる方の殆どが言葉遣いが上手だなと思いますが、その方達が印象的だったのはとっても若いお客様だったから。百戦錬磨の常連さん方に「やっぱりすごいな」と勉強させてもらう事は少なくないですが、僕達よりもずっと若い方から感じる事は結構珍しい。

 人間なので、やっぱり頭で考えていることや感じたことを反射的に口にすることってありますが、それが功を奏する事もあれば「それは言わんでもええやろ」って言うこともあります。僕も衝動的に口に出すタイプで、「一回考えて」と指摘されることもしばしば。自分で言うのも何ですが、これは僕の良さでもあるし反省点でもあります。

 そうやって自然と口から言葉が出てきてしまうからこそ、言葉遣いには人の心が映し出されるなぁと思うわけです。そのお客様達は一言一言が思いやりに溢れていて見ていてとても気持ちよかった。僕らよりずっと若いのに、しっかりしているなぁ。

 「美味しい日本酒が飲めるのって幸せだね。」と男性が女性に話しかけるのを見てほっこりしましたが、「幸せだ」って思えること自体も、それを言葉に出来ることも、それを相手に伝えられることも共有できることも全部ひっくるめて幸せなことですねと思うわけです。いやぁ良いひと時を見せて頂きました。本当に、お客様方から勉強させて頂くことってたくさんあります。

いいなと思ったら応援しよう!