『なぜあるく?』の話
神保町裏路地日記(68)
2025/01/18㈯
「え!?スペイン巡礼行かれたんですか?」と聞かれると「あ!この人カミーノのこと知ってるんだ!」って嬉しくなります。スペイン巡礼、サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼の道、カミーノ、カミーノ・デ・サンティアゴ…人によって呼び方は様々ですが、僕はカミーノ・デ・サンティアゴと呼ぶことが多いかな。
カミーノ・デ・サンティアゴとは日本で言うお遍路さんのようなもので、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラという街へ向かって歩くキリスト教の巡礼の道です。日本でも近年のロングトレイルブームで人気が出ているらしく、日本人ハイカーも増えているみたい。僕達はお店を開業する少し前にこの道を歩きました。フランスからスペインの西へ向かって歩くおよそ800kmの新婚旅行です。
こういう旅をしていると、
「何で歩くの?」「何でそんなことをするの?」という質問をされることがよくあります。登山をする人に「何で山に登るの?」と質問するのと似ているなと思いますが、これに答えるのが結構難しい。いや、正確に言えば、答えるのはそんなに難しいことじゃないかも知れないのだけど。『自分の内側に起こった動機や感情を言語化するのが難しい』というのが僕としては正しいニュアンスかなと思います。
これがキリスト教徒であれば『信仰のため』でなんとなく筋が通ります。ただし、僕はキリスト教徒ではないのでこれは理由にはならない。『学びのため』ではある。あるけど、大切なのは『何を学びに来たのか?』ということです。『綺麗な景色が見たくて』かな?何となくそれっぽく聞こえるけど、それって本質的か?とも思います。『ダイエット(健康)のため』?毎日毎日歩くから、人によっては痩せるかも知れない。僕は体重が変わらなかったけど。
違うんだよなぁ。多分、質問してきた相手も、それに答える僕も納得いっていない。もっと腑に落ちる答えが欲しい。求められているのは、もっとこう…本質的な、深層的なところの答えだと思うのだけど。それを言葉にするのは結構難しいし、勇気がいる。誰にでも何でも話せるような内容ではないのかも知れません。僕の場合は幸い、明快に答えられる理由がすぐ手元に用意されてありました。
『考える時間が欲しかった』
『“道”が何なのか?を知りたかった』
『妻と二人で何かやり遂げる思い出が欲しかった』
僕の場合はこの三つ。個人的なテーマとパートナーとのニ人のテーマ。「この三つ」とか言いつつ、我ながら結構普通だなと思います。
あ、順番が違うな。正確には
『考える時間が欲しかった』
『妻と二人で何かやり遂げる思い出が欲しかった』
『“道”が何なのか?を知りたかった』 だ。
こっちの方が順番としては正しい。この順番は僕の心の問題。僕にとってはこの三つが大きなテーマであって、食べ物や飲み物、景色と言うのは「食べられたら良いな」「見られたら良いな」とテーマにくっつくものだったと思います。
本当にこういうことや旅の理由なんてものは人それぞれだと思いますが、アウトプットの大切さというか、共有する尊さみたいなものはある。こういう話に興味があれば僕でよければ一緒にお話しましょうと言う感じ!