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『ススキに何を思うか?』の話

神保町裏路地日記(49)
2024/12/23㈪

 昨日は皆で高尾山へ行って、『ダイヤモンド富士』なる特別な夕日を見ました。それはまた改めてレポートを書くとして、今日は同日の山行でみた別の風景について書いてみようかな。

 山を歩いている僕がこの時期一番好きなもの。紅葉が終わってこれから冬を迎える山肌になびくススキです。これは山にあるものに限らず、町のどこかで見ても良い。子供の頃は地元の畑や田んぼには生えていたススキ野原は、当時からずっと好きな風景です。

 ススキは和名で『茅』と言って、いわゆる茅葺き屋根に使われるのはこのススキを刈り取った茎の部分です。畑や田んぼで野焼きする時も大活躍するススキは昔から人の暮らしに凄く身近にあったもの。
ススキにも花言葉があって、「活力」「生命力」「精力」「なびく心」「憂い」「心が通じる」「悔いのない青春」「隠退」と色んな意味があります。もうこの花言葉の響きが良いよね。

 まっすぐに伸びたススキが白銀色に輝く様が好きです。それが一面に広がる景色が好き。ちょっと違うけど稲穂が伸びて、秋に田んぼ一面が黄金色に染まるのも好き。ススキにしても稲穂にしても、僕は『穂先の集合が輝く』と言うのが好きなのかな?と思います。

 ススキと言えば、例えば中秋の名月の時のお供え物に飾られる植物でもありますが、これはススキが神様の依代だったからだそうです。ススキの茎は空洞になっていて、そこに神様が宿るんだよと言う話らしいです。言われてみれば確かになぁ。ちなみにススキはお供え物としての役目を終えた後はお家に飾られることも多いそうですが、これは魔除けの役割として。ススキ切り口は鋭く、その鋭さに魔除けを想ったのだとか。知らなかったな。

 さて、知らなかったススキのことを調べたところで、結局僕は山で見る「ススキに何を思うか?」とことですが、それはやっぱり故郷のことであったり、郷愁の想いと言わざるを得ないなと言うのが今の僕なんだろうと思います。ただしそれは「あの頃は良かったなぁ」とか「あの頃に戻れたら良いなぁ」という思いではなく、「あの頃があって、今はここにいる」というような『現在地の確認』という意味合いが強いかも知れません。ススキに限らず植物や建築物、風景が『過去のある時点の自分』を認識させる引き金というか。あの頃と今を行き来することで自分を前進させるというか。

 整理がつかなくなってきたところで今日も1000文字を超えたので、続きはまたいつか。にしよう

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