![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/165576783/rectangle_large_type_2_664ceae91a1f8a0b8a7a8b63df6e6075.jpeg?width=1200)
『にごり酒』の話①
神保町裏路地日記(41)
2024/12/13㈮
先月頃から各酒蔵さんから続々と新酒が届いています。この時期はやっぱりフレッシュなお酒が多くて、今期も始まったなぁと嬉しくなります。届くお酒は透き通った透明なお酒もあれば濃厚な濁り酒もあって様々です。「この時期はやっぱり濁り酒が飲みたいです。」なんて言ってくれるお客様も増えまして、今年は例年よりも濁り酒のメニューインが多いかも。
日本酒に興味を持たれる方が凄く増えたこともあって、「清酒と濁り酒って違うものですか?」と聞かれる事が多くなりました。それぞれにきちんとした定義があるのですが、ちゃんと言葉にするには僕自身忘れていることも多くて不安…。だから、ちょっとざっくり調べてみました。
清酒と日本酒の違い
『清酒と濁り酒』の違いに行き着く前に、ちょっと寄り道。まずは『清酒と日本酒』の違いからお話します。
酒税法上の定義によれば、清酒の定義は以下の通りです。【米、米こうじ、水などを原料として発酵させて濾したもの】で、これに清酒かすを加えて濾したもの、その他政令で定められた物品を原料として発酵させて濾したもの。これが清酒と呼ばれます。原料米は国内産に限らず、産地も日本国内に限りません。
一方で日本酒の定義はこうです。【清酒のうち、原料米に日本産米を用いて日本国内で醸造したもの】ですから、前述した清酒との大きな違いは国内産を使って、日本国内で生産されているかどうかとなります。清酒と言う大きな枠の中で、より細分化されたものが日本酒ということです。
この呼び方の違いの理由は、『日本酒』という表記が『地理的表示(GI)』で定められているからです。地理的表示と言うのは産地や品質、社会的評価などの特性を特定するために定められた制度で、自然や人文、社会的要因で育まれた知的財産を保護することが目的です。同じお酒だと、シャンパンもGIによって保護されています。「日本酒って何か縛りがあって融通利かないね。」みたいな意見もたまに耳にしますが、地理的表示によって保護しておかないとよくわからない模造品を造って「これがトゥルージャパニーズサケデス!」って言って売ろうとする国や人が現れたりしてしまうので、僕は日本酒はガチガチに守っておいてほしい派です。
清酒、濁り酒、どぶろく
次は清酒と濁り酒とどぶろくの違いについてです。清酒の定義は先に書いた通りです。濁り酒は清酒と同じ製造過程を辿りますが、発酵させた醪(もろみ)を搾る(上槽)の時にちょこっと違いがあります。無色透明なお酒を造る時に使用する酒袋よりも目の粗い布等を使って、あえて澱(おり)を残すのです。そうすると透明なお酒の時よりも醪が多く残って、これがとろりとした口当たりや、濃厚でコクのある味わいを生み出すというわけです。
従って、無色透明なお酒も濁り酒も、どちらも分類としては【清酒】ということになります。『清い』と書いてあると無色透明なイメージがありますが、酒税法上の定義としては同じもの。製造過程でどちらも一工夫されている。ということです。
じゃあどぶろくは?と言うと、これは定義上清酒とは異なるものになります。醪を濾す上槽の過程が無いのです。清酒の定義は【米、米こうじ、水などを原料として発酵させて濾したもの】ですから、定義として義務付けられている濾す作業がなければ清酒とはなりません。製法上に大きな違いがあるというわけです。
とりあえず今日はこんな感じ。もう少し調べてみようかなと思いますから、とりあえず①と言うことで。