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マラソンの男女別完走率を調べてみる

新入社員の時に、会社が大会スポンサーをやっている関係で10km走らされたきりご無沙汰していたのが、転職した先の職場の人々が楽しくマラソンしてるのに触発され今年になって練習し始めてハーフマラソンまで走れるようになりました。
まさにビギナーの中のビギナーランナーな筆者です、よろしくお願いします。

先日ある大会のフルマラソンの結果をみて、完走率が90%を切っていたので制限タイムやコースの難易度が高かったり当日の天候が極端だったりしたのだろうと思ったのですが、パートナーが一言その結果の載ったサイトを見せてきながら「女はこういうのリタイアするもんね」と聞き捨てならないことを言うので調べてやろうと思います。(発言の意図も聞きましたが話が逸れるので触れないでおきます)

愚痴はさておき

さて、文句を言っても仕方ないので始めましょう。
まず筆者の推測として、フルマラソンに限らなければマラソン大会の参加者はおおむね男性:女性=4:1くらいの傾向にあると思っており、90%を切る完走率で出走者中に20%しかいない女性ばかりがリタイアすることがあれば、女性は2人に1人しか完走できないことになります…というのは極端な話ですが、制限時間は男女同一なので完走出来るかどうかは男性の方が有利であるものの、少なくともリタイア率が高めである要因をそもそも参加者の少数派である女性に求める結論は間違っていると考えていました。

出走者の男女比

今回は完走率を話題にしているので、参加者(=エントリーした人数)ではなく出走者(=実際にスタートを切った人数)を調べてみます。
2014年の大会を対象にしており少し古いものの、市民マラソン大会(7大会10レース)の出走者の比率は男性79.3%、女性20.7%であり(白川透, et al. (2015))、大体4:1という体感が大きく間違っていることはなさそうです。

さらに下記に大規模な大会をいくつか並べてみますが、女性ランナーは全出走者の15〜25%くらいの幅に収まる印象です。(大会ページなどから情報が見つかる範囲で記載しているため、年度が揃い切っていません)

  • 東京マラソン

    • 2021年 19,188人(男性82.4%、女性17.6%)

    • 2019年 37,604人(男性76.8%、女性23.2%)

    • 2018年 35,911人(男性77.1%、女性22.9%)

  • 北海道マラソン(フルマラソンのみ)

    • 2019年 15,932人(男性83.5%、女性16.5%)

    • 2018年 15,980人(男性83.4%、女性16.6%)

    • 2017年 15,686人(男性84.3%、女性15.7%)

  • つくばマラソン(フルマラソンのみ)

    • 2019年 12,353人(男性83.4%、女性16.6%)

完走率の男女差

続いて気になる完走率とその割合です。
今回は完走できるかどうかに大きな男女差があるのかを見たいので、男女別の完走率については同性の出走者数に占める完走者数を書いています。

  • 東京マラソン

    • 2021年 95.9%(男性95.2%(15,061人)、女性95.0%(3,211人))

    • 2019年 94.3%(男性94.3%(27,253人)、女性94.0%(8,207人))

    • 2018年 96.2%(男性96.2%(26,637人)、女性96.1%(7,905人))

  • 北海道マラソン(フルマラソンのみ)

    • 2019年 84.5%(男性85.2%(11,337人)、女性80.7%(2,120人))

    • 2018年 81.2%(男性82.0%(10,919人)、女性77.5%(2,061人))

    • 2017年 80.7%(男性81.4%(10,773人)、女性76.8%(1,886人))

  • つくばマラソン(フルマラソン)

    • 2019年 92.8%(男性93.3%(9,613人)、女性90.0%(1,848人))

並べてみたところ、どの大会でも男性の方が完走率は高く、確かに女性の方がリタイヤしやすいようです。そして、東京マラソンより北海道マラソンではさらに男女の開きが大きそうです。
もちろん筆者はビギナーなのでまだどの大会にも参加したことはありませんが、東京マラソンはアップダウンの少ない市街地を走る冬開催の大会のため完走率が高いようで、同様の条件を持つ大阪マラソンと並んで国内屈指の完走率となっているそうです。
一方で北海道マラソンは国内で唯一、真夏に開催される大会です。昨年札幌に引っ越してきた筆者も「別にそんなに夏涼しくないじゃん」と身をもって体感しており、北海道マラソンの全体的な完走率の低さは夏開催の影響も大きいのではないかと推測します。実際、東京オリンピックのゴタゴタを見てもマラソンにおける気候の影響は大きそうですし、12月に開催されているNAHAマラソンも例年17〜24℃の中を走るために完走率が低めになるそうです。
なお、日本のフルマラソン大会の平均完走率は91.87%だそうです。(ここまでの参考: https://runnal.com/17863

まとめ

それぞれリタイアの要因がわからないのでこれ以上の深掘りはできませんが、東京マラソンのような完走率の高いコースでは男女の差はそれほど大きくないが、コースや気候などの条件が過酷になると女性の方が完走率が下がりやすい事実はあるかもしれません。
つくばマラソンは前後の情報が見つからず比較できませんでしたが、東京マラソンと北海道マラソンを3年ずつ見た時に、完走率の差は東京は男女で0.1〜0.3%、北海道は4.5〜4.6%であり、差自体は年度を問わず一定した値のようでした。
従って、ある大会の完走率が低いとき、コース自体の難易度によって男女の完走率の差が生じるが、気候などの条件でその年の完走率が下がるようなケースでは男性も女性も同様の割合でリタイアが増えると考えられそうです。

最後にガラスの天井の話

この話をする少し前、筆者とパートナーは同じタイミングで最近流行りの例のウイルスに罹患していましたが、病状も回復までの長さも、またその間の主観的なしんどさも男性であるパートナーの方が辛く長かったようです。今回女性がリタイヤしやすいと言われて違和感を感じたのは、現に女性である筆者より男性であるパートナーのほうが同じ病気を克服するまでに頻繁に弱音を吐き続けていたのに、どうして女性の方が長距離走をリタイアしやすいなどと言えたものだろうかということでした。
平均して男女に身体的な差があるのは確かですが、個人に焦点をあてる時には意味のない平均値です。男女問わず、男性ならこれくらいできないと、とか、女性ならここくらいが関の山だね、とアンコンシャス・バイアスによる不用意な発言をしないよう気をつけたいと思った一件でした。

日本国内の主要フルマラソン15大会の平均完走率は、91.87%。上級者ランナーから初心者ランナーまで、ランナーが100人いると、91~92人のランナーが無事完走を果たし、8~9人のランナーが残念ながら完走出来ないという結果になります。

https://runnal.com/17863

今回調べ物の参考にした記事の記述が優しいなと思ったので上に引用して終わりにします。
マラソン大会には老若男女様々なランナーが参加しますが、フルマラソンを完走できるかどうかは42kmの距離に必要十分な練習をすること、初めから完走できなくても経験を積んで自分に合ったペースで参加し続けることが肝要なのであって、そこには初心者から上級者へ向かう経験値の軸だけがあるのだと感じられ大変前向きな気持ちになりました。

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