Episode.2 渋いおじさんになりたい話
いつからか思い出せない。
私は、女性として可愛くなりたいという気持ちと並行して、
「渋いおじさん」になってみたいという潜在的な願望がある。
私の中での「渋いおじさん」とは。
洋画や洋ドラに登場するような、ヒロインやキッズをさっそうと助けてくれるヒーローである一方で、人生の辛酸をなめてきたという哀愁が漂う存在だ。(異議は認めます。)
そんな私が憧れる「渋いおじさん」の代表例が、映画「ジュラシックワールド」に登場するオーウェン(俳優クリス・プラットさん)だ。
オーウェンは、「ジュラシックワールド」という生きた恐竜が見れるテーマパークで、恐竜を管理している元海軍のマッチョだ。
幼い兄弟とその叔母にあたるお姉さんを守る姿、恐竜のヴェロキラプトルを手なずける姿、頭脳戦も得意な姿がかっこよすぎた。
「私、オーウェンになりたい」
「わろた」
家で、姉と「ジュラシックワールド」のDVDを観ながら、だらだらとおしゃべりが始まる。
姉は幼いころから何故か恐竜が大好きで、ジュラシックパークシリーズは全て見ているし、あらゆる種類の恐竜の名前をすぐに言い当てる。
そんな姉と比べて、私はジュラシックパークシリーズは避けてきたたちだ。だって、恐竜が突然出てくるのが心臓に悪い。
でも、シリーズ新作の「ジュラシックワールド」は、「渋いおじさんがかわいい兄弟を守る話」だからと、姉に勧められた。
なら観るしかないと思ったのだ。(姉、わたしのツボ把握しすぎ問題)
そして見事に、渋いおじさんことオーウェンのかっこよさに憧れたという結末だ。
映画を鑑賞後、私は姉に感想を伝えた。
「おね。これから私のこと、オーウェンて呼んでほしい」
「わかったー」
しかし、私が姉にオーウェンと呼ばれる日は来なかった。
(姉の相槌はいつも適当)