見出し画像

太陽光発電所の運転維持費低減

先月の発電コスト検証WG資料の
太陽光発電所の発電コストから
運転維持費低減について調べてみます。

●太陽光発電の発電コスト
2015年WGモデルプラントと
調達価格想定値は以下の通りです。

建設費の低減が分かる他、
廃棄費用が5%から1万円/kWに変化しています。
(廃棄費用は5%もいらないってこと?)

●太陽光発電の運転維持費
50kW以上250kW未満の運転維持費は
0.5万円/kW/年となっています。

この費用は定期報告から集計されていますが
その内訳を想定で探ることにします。

まず項目は以下の通りです。
・人件費
・修繕費
・諸費
・業務分担費(一般管理費)
・土地賃借料

●人件費(運営要員)
定期報告の記入欄は以下の通り。

基本的に運営に要した人員を報告しますが、
自社で保守を実施した場合は
保守点検費で報告することになっています。

人件費(保守要員除く)を考えます。
1人の管理費を1000万円/年と仮定すると
・2MWを1人の場合:0.5万円/kW
・10MWを2人の場合:0.2万円/kW
・50MWを3人の場合:0.06万円/kW

大企業であれば、ノウハウがあれば管理する人員は
少人数で可能なのかもしれません。

中小企業の場合、
250kWが10ヶ所としても2.5MW、
それを上司と部下2人で管理すれば
0.8万円/kWとなり想定を上回ります。

発電所の運営管理に専念している人は
いないのかもしれません。(必要なさそう)

●修繕費(保守要員含む)
保守点検費は修繕費として考えることにします。
定期報告欄は以下の通りです。

修繕しても保険で賄った場合は計上しません。
(保険料は別欄で計上)

また修繕費は電気事故報告から考えると
PCSインバータの故障修理費になりそうですが
kWあたりで大きな金額にはならなさそうです。

保守点検費について考えます。
電気主任外部委託、草刈がメインでしょうか。
外部委託費は0.1万円/kW程度かと思います。

草刈りは屋上であれば不要、
防草シート敷設や草刈面積で変動しそうですが
0~0.06万円/kWほどかと思います。

●諸費
定期報告は以下の通りです。
事務所経費の他にも記入欄があります。

備品購入もここに該当しそうです。
事務所の維持費とは難しいですが、
極論、運営のみであれば
パソコンと携帯があればどこでもいい気がします。

●業務分担費(一般管理費)
定期報告では下記の通り。

主に保険(諸費かも)かと思います。
台風や地震など災害が多いため、
年々保険費用は増加傾向にあります。

補償範囲や包括など金額が増減しそうですが、
0.05万円/kW~0.15万円/kWでしょうか。

●土地賃借料
設備のリース料は別です。
自社所有の土地でなければ計上します。

●維持費低減とは
実際の保守にかかる費用は
電気主任者の外部委託費がほどんどです。
(電気事業法では原則設置者から選任)
つまり人件費です。

また、運営要員側の低減策も効率よく管理する、
つまり、設備は遠隔監視に任せて、
契約関係は年間契約の自動更新、
担当者は別業務をすることになります。

それも限界があるとは思いますが、
想定の0.5万円/kWからさらに低減させるならば
ここが抑える項目かもしれません。

●電気主任技術者の外部委託
多くの発電事業者が外部委託に頼るわけですが、
発電所運営をするわけではありません。

電気工作物の工事、維持及び
運用に関する保安の監督のためです。

設備(主にPCSやパネル)が故障した場合に
物品の手配等は事業者が行うことになります。

また、外部委託する事業者は
電気主任技術者の意見に耳を傾けなければいけません。

別業務の負担が大きくなり、
その業務に追われれば
1ヶ月や2ヶ月に1度の点検報告書で
指摘事項があろうとも、
改修する手間を後回しにしがちかもしれません。

仮に火力発電所が
維持費のために運営要員を減らしたことで
設備に不具合が生じやすくなり
発電に影響が出れば停電するかもしれません。

再エネ比率を上げる策も大事ですが、
太陽光発電所の電源インフラの一部ですので
維持費の低減が発電所の質の低減にならない
策も考えないといけないかもしれません。

●他電源の運転維持費
他電源の運転維持費も見てみます。
陸上風力は0.6万円/kW、洋上風力は2.25万円/kW、
LNG火力は人件費だけで6億/年、
石炭火力も人件費で3.6億/年のようです。

火力のkWあたり費用は分かりませんが、
原子力と合わせることで
企業として利益が出ることは
成り立っている証拠だと思われます。

設備利用率の差でしょうか(見当がつかない)

●太陽光の設備利用率
設備利用率を17%(1500kWh/kW/年)だと
運転維持費5000円/kWは
3~4円/kWhということになります。

FITであれば
14円~40円/kWh固定で収入がありますが、
FIT後は利益があるのか疑問です。

実は計画してなかった改修が生じて
20年以降に維持費が増加しなければいいのですが。

●これから
これからさらに太陽光が増加したとき、
電源インフラとして
価値があるのか、ないのか分かりませんが、
現場の実態を把握して
最適な管理方法、技術を見つけてみたいです。

いいなと思ったら応援しよう!