再エネ出力制御は連系線増強で減るのか
日本の各電力会社が
再エネ出力制御をするかもしれない、と
発表しています。
そこで、すでに制御を開始している
九州電力について少し振り返ってみたいと思います。
また、連系線の増強の話にも触れてみます。
●出力制御開始
2018年10月13日(土)に九州本土で
初の出力制御が実施されました。
2018年4月と10月の12:00~13:00に絞って
需給を比較してみます。
平均すると、
需要は4月に比べて102%upに対して
供給は108%upとなっています。
出力制御は電力が供給過多の際に実施されますが、
太陽光の発電電力量が多くなるのは春です。
九州では秋に始まりました。
供給量が増加した要因を調べるため
電源構成を見ていきます。
太陽光と火力による供給は減っていますが、
原子力発電が23%増加しています。
増加の要因は5月に玄海原子力発電所3号機が
7月に4号機が運転再開したことです。
もとより原子力発電所は定期的に停止させ
メンテナンスする必要がありますので、
メンテナンスが無事に終了すれば
発電を開始します。
ついでに時間を絞らずに
10月の電源構成を見てみます。
2030年度の日本の電源構成の目標では
原子力の割合は20~22%ですので
九州電力だけでみると多い気もします。
10月だけで比較するのはアレですが。
※なぜ原子力の割合が高いかは調べていません。
●2019年~2020年の制御実績
2018年から始まった出力制御ですが、
最近は変化があったのか調べてみます。
2019年と2020年の出力制御実績から
4月だけピックアップして調べてみます。
(当日の最大出力を積算)
需要と供給が減っているのに対して
再エネ出力は増えています。
が、制御は減っています。
九州電力さんの技術力でしょうか。
※積算制御量は2倍ほどに増加しています。
●優先給電ルール
再エネの出力制御が行われるということは
優先給電ルールに基づいて
揚水の活用や域外への送電が行われているはずです。
先ほどの表を見直してみると
揚水は2020年の方が活用されていますが、
域外送電は減っています。
実際に2020年4月2日と3日は
出力制御が実施されていますが
12:00~13:00の域外送電量は
2日が2374MWh、3日が942MWhです。
なぜ域外送電量に違いがあるのか
調べてみました。
●域外送電
連系線の運用容量は公表されています。
ただし、連系線が空いているからといって
必ず送電できるものでもないようで、
域外送電しても電圧や周波数が
一定範囲内に維持できるかどうかなどの
計算から送電量を決定しているようです。
つまり、電気が余っても
隣接する地域が受け入れる体制がないと
送電ができないようです。
2020年4月の10日間ほどの
送電量を見てみました。
(+方向が受け、-方向が送り)
どこに送っているかは、
だいたいを予想することはできます。
九州は中国にしか送電できませんし、
北陸は次の図のように
4月3日は関西に送電して中部には送電していません。
出力制御があった
4月2日と3日を比較してみます。
九州は2日には2374[MWh]を送電しています。
運用容量のほとんど使っています。
3日は942[MWh]を送電しています。
私が思うに、
中国も四国も太陽光発電が多いと
電力が余りそうで
関西の需要と太陽光発電電力量によって
九州からの送電量が変化しているかと考えています。
●これから
九州-中国間の連系線増強の話がありますが、
連系線を増強したところで
昼間の需要が増えなければ
供給を制御する他なさそうです。
それでは、また。