I 本能と理性の交わる街
街は理性を要求する。
ルールはたくさんあって、憲法、法律、条例、ルール、暗黙の了解。
そんな風に多くの決まりごとによって、人は街で生きている。
ヒップラインの魅力的な人が歩いていた。
一瞬目がいったが、僕はそれ以上に、
目の前のおじさんの視線が気になった。
そのおじさんは、どこか一点を集中して見ていた。歩きながら。
その視線は、さっきの僕のものとかぶさっていた。
おじさんは魅力的なヒップを見ていた。
かなり食い入る様に見ていた。
歩いて追い抜くその瞬間まで。
この街で、人間の本能はどこまで許されているんだろう。
本能は理性以上にどうしようもないものだと思っている。
求められる理性は時代によって変わると思っている。
本能は時代が変わっても変わらずにあるものだと思っている。
そのうち、魅力的なヒップを見てはいけない法律ができたらどうなるんだろう。
そんなことを考える帰路。