梳きバサミが悪いわけじゃない
ハサミ一本でカットをしていると、お客様から
「やっぱり梳きバサミって良くないんですか?」
なんて質問をされたりします。
僕の答えはNo。決して梳きバサミが悪いわけではありません。
使い方によっては良くも悪くもなり得ます。
要するに使い手の問題ですね。
普通のハサミも梳きバサミも同じ「ハサミ」
なに当たり前のことを言っておるんじゃと突っ込まれそうなのですが、僕が何を伝えたいかと言いますと
普通のカットバサミはハサミを閉じたラインで全ての髪の毛が切れる。
梳きバサミはハサミを閉じたラインで10~50%(ハサミによる)の髪の毛が切れる。
という構造になっています。
どちらも切ったライン上で作用するわけです。
真っ直ぐにハサミを入れれば、真っ直ぐのラインが出来上がります。
それと同じで、いくら梳きバサミといえど真っ直ぐにハサミを入れれば真っ直ぐのラインで毛が切られるわけです。
では例えば、毛が多いからといって毛束を大きく持たれて、根本からズバスバッと梳きバサミを入れたら…?
毛の健やかな状態は筆先のように
過去の記事でも触れているように、良い髪型の為には「どの毛束も筆先のように柔らかく先細りになる状態」が必要です。
極論、その状態を作ってあげられるのであれば手法は何でも良いと考えています。
ハサミ一本で削るのが最適だと思えばそれで良いし
剃刀で削ぐの最適だと思えばそれでも良い
梳きバサミで梳いていくのが最適だと思えばそれも良いです。
つまり全ては使い手による、ということですね。
大事なことはハサミで切ることではなくて
カット技術の話になると、どうしてもハサミで切る部分に注目してしまいがちなのですが、実は本当に大事なことはその前。
「どこの髪の毛を、どう掴んできて、どれくらい、その形に切るか。」
ハサミを持つ手とは逆の手で何を考えているかです。
上手な美容師さんはハサミを握る手より、髪を掴む手が、見極める目が、そして思考が美しいのです。
髪の毛と対話してくれる美容師さんが大事
お客様のキャラクター、生活スタイル、骨格やパーソナルカラー、なりたい髪型などを聞いてもらえることは大事なのですが
まずは髪の毛自体を見極めて、触って、動かして確認し素材と対話してくれる美容師さんを探すことが大事です。
似合う髪型やかっこいい髪型を作るのはそこからです。