隈研吾読書会⓪告知用
概要
国民的建築家となった隈研吾の思考は活動の初期から一貫した問題意識、方法論がある。現代における建築の成立根拠を原理的・社会的に問う隈の言説を概観し、隈の選択しなかった建築の可能性を模索する。
隈は活動の初期から設計言説、作品批評、社会時評を問わず活発に言説を発表し続けている。本読書会では単行本にまとめられた隈の言説を時代ごとに追っていく。扱う書籍は以下の通り。
『10宅論』『建築的欲望の終焉』『反オブジェクト』『負ける建築』『点・線・面』(2010年代以降のものは検討中)
本読書会で扱うテキスト
読書会で扱うテキストは以下の通り、主に扱うテキストを軽く読んで貰えば議論できるような形式を考えています。単行本に収録されたテキストは、雑誌掲載のオリジナルから加筆修正を加えていることが比較的多いので書籍ベースでやりましょう。
主に扱うテキスト
『反オブジェクト』(2000)
『負ける建築』(2004)
この2冊は読んでもらった方が議論がしやすいと思いますが、第2回の内容がこれらの読解(紹介)となるので、必須というわけでもありません。
トピック的に参照するテキスト
『10宅論』(1986)
『建築的欲望の終焉』(1994)
『自然な建築』(2008)
『小さな建築』(2013)
『点・線・面』(2020)
『建築的欲望の終焉』は第1回でかなり参照することになると思いますが、入手が少し難しいので読みたければ相談してください、現物あり。
『自然な建築』『小さな建築』は作品解説的なテキストでかなり簡単なので最初に読んでもいいかも。
『点・線・面』は最新の単著ですが、他の書籍ですでに書かれていることと被る内容が多いのでこちらから読み始めても良い。
言及する可能性のあるテキスト
『グッドバイ・ポストモダン』(1989)
『建築の危機を超えて』(1995)
『場所原論』(2012)
『つなぐ建築』(2012)扱う可能性は小さいですが内容が面白い
『なぜぼくが新国立競技場をつくるのか』(2016)
『クマラボイントウホク』(2018)
また、隈研吾の理論をざっくり概観したい場合、大津若果『隈研吾という身体』をオススメします、本人の著作ではないものの実質上のインタビュー本です。作品を追いたいという場合は宮沢洋『隈研吾建築図鑑』が最も広くカバーしています、図版がイラストなのでガイドブック的にしか使えませんが、巻頭の作品年表は見やすい。
各回の予定
全3回を予定しています。基本的にオンラインベース(zoom)かなと思いますが、検討中です。事前に担当者がレジュメ(論旨の要約、など想定)をまとめて発表、のちに議論という形にする予定。
①ポストモダン・ポストバブル
主な文献:『10宅論』『建築的欲望の終焉』など(『グッドバイ・ポストモダン』『建築の危機を超えて』)
後期近代社会における建築の成立根拠
ポスト・モダニズムとバブル崩壊
建築批評
②「反オブジェクト」と「負ける」
主な文献:『反オブジェクト』『負ける建築』など(『自然な建築』『小さな建築』)
負ける建築の成立
近代建築、作品、作家批判
クラフトマンシップと素材
③3.11以降
主な文献:『なぜぼくが新国立競技場をつくるのか』『場所原論』『クマラボ・イン・トウホク』『点・線・面』
震災と公共建築
新国立競技場
「和」・総まとめ
第1回が批評、第2回が理論、第3回が実践、といったイメージです。他に扱いたい内容があればぜひ相談してください。