都市計画って何だろう?
こんにちは。エネルギー・文化研究所の小西久美子です。
私は、人口減少時代の都市計画・まちづくりをテーマに研究をしていて、その一環で、大阪の「都市計画」の変遷について調べています。その中で感じたことを書いてみたいと思います。
「都市計画」の分類
「都市計画」と言うと堅苦しいイメージがあり、最近では「まちづくり」と言った方が親しみやすいかもしれません。広辞苑(第6版)で「都市計画」と引くと『都市生活に必要な交通・区画・住宅・衛生・保安・経済・行政などに関し、住民の福利を増進し公共の安寧を維持するための計画』となっています。中々、堅苦しい解説です。
一般に「都市計画」は大きく3つの意味があると言われていて、人によって抱くイメージも異なるかもしれません。
①「都市総合計画」 長期的な都市の将来像を示す国や自治体の目標
②「法定都市計画」 都市計画法に基づき都市の健全な発展と
秩序ある整備 を図るための計画
③「まちづくり」 地域における市民による自律的に環境を改善する活動
■分類イメージ
古くて新しい都市計画法
近代都市計画のもとになっている都市計画法は、1919年(大正8年)に制定されました。その50年後の1969年(昭和44年)に抜本的改正がなされ、何度となく改正を重ねつつも大筋は変わることなく現在に至っています。そのため、慣例的に大正8年制定の都市計画法を「旧法」と呼び、昭和44年制定のものを「新法」と呼びます。人間なら50歳を過ぎると熟年の部類に入り、建築物なら50年を過ぎると老朽化が心配されます。ところが、都市計画法は制定後50年を経過してもまだ「新法」と呼ばれているとは面白いですね。都市計画を取り巻く時間の流れが緩やかなのかも知れません。
■都市計画法公布 御署名(昭和43年6月15日)
これも都市計画
都市計画法では、都市計画決定できる施設として交通施設、公共空地、供給施設や処理施設、水路などが定められています(これを都市施設と言います)。道路や橋、鉄道などはイメージしやすいでしょうが、公園も都市施設に含まれています。皇居外苑や大阪城公園といった100ヘクタールを超える大規模なものから、家の近所にあるちょっとした公園まで大小さまざまな都市計画公園が存在しています。都市計画で決定されている駐車場や駐輪施設(正式には自転車駐車場と言います)もあります。身近な建物や施設が都市計画法で決定されていると思うと、少し興味がわきますね。
■都市施設イメージ
「都市計画」を知って「まちづくり」で実践
先にも書きましたが、法定都市計画が都市施設や市街地整備など都市そのものを作る制度であるのに対し、「まちづくり」は、活動そのものを指すことが多く、「まち」よりも「づくり」に重きがおかれています。戦後から高度経済成長期に掛けて、都市も社会も成長拡大することが前提となっていた時代には、秩序正しく新しい都市を整備することは重要でした。しかし、成熟社会となり、人口減少社会に移行した現在では、開発を行う「都市計画」ではなく「まちづくり」の役割が高まっているのも理解できます。既存の建物や街並みを生かしながら、より良いまちに再生し、新しい使い方で活性化していく様々な試みが展開されています。
しかし、既にある都市施設や市街地には計画された理由があり、「まち」には歴史があります。そのため「まちづくり」においても、その「まち」の歴史を知ることは、新たな「づくり」のためには重要ではないかと感じています。歴史としての「都市計画」を知って、実践としての「まちづくり」に活かすことができれば素敵ですね。
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