みっつ。
雨が降りそうな空。
空気に重さがあるように感じるのは、
湿気を含んでいるからなのか。
雨の降り始めたときのにおいが好き。
アスファルトの濡れるにおいではなく、
土の濡れたにおい。
幼い頃、
急に吹いてきた冷たい風にのってやってきた濡れた土のにおいで、そろそろ雨が降るとわかった。
風が吹いて少し経って、雨が降ってきた。
ほうらね
と、少し得意げになったのを覚えている。
少しずつ大人になって
今では地元を離れて暮らす。
東京では、天気の微妙な変化にあまり気にかけなくなってしまった。
空を見上げることがなくなってしまったからか。日々を忙しなく過ごしてしまっているからか。
電車を降りたら、雨が降っていた。
雨について調べるのは後回しにして、
今は傘を打つ雨の音を聞きながら帰ろうじゃないか。
いつもより車の走る音が大きく聞こえるのも、いいと思える。気がする。