🚲「私と自転車と子育て」③ 〜息子ヘルメット奮闘記〜【ゲストコラム】おおやようこさん（全3回/最終回）

2023年8月28日 18:01

オージーケーカブト公式noteです。
オートバイ／自転車用ヘルメットのメーカーとして、各ジャンルをサポートし応援しています。いま各シーンで頑張ってる方々に、レポートやコラムなどを執筆してもらっています。
今回は、３歳の息子さんの子育てをしながらサイクリストとしてさまざまな活動をされているおおやようこさんコラムの3回目のご登場です。

👶3歳、息子。ヘルメットは…イヤ！⛑️

我が家には３歳の息子がいます。
とても活発で、外遊びが大好きです。ストライダーも好きなようです。
それほど練習をしているわけでもないのに乗るたびに上達しているのが親としては不思議で仕方ない今日この頃です。

さて、そんな息子ですが元々かなりの“ヘルメット嫌い”でした。

ヘルメットを拒まれ、泣かれ、放り投げられ、かぶらず逃げられた回数は数知れず…。

今回は、過ぎたからこそ話せる我が家の『息子ヘルメット奮闘記』をお話しさせていただきたいと思います。

⛑️ヘルメット着用って義務なの？

今年の４月にヘルメット着用の努力義務化がニュースで話題になりました。

安全上必要不可欠なのは皆さんご理解されていると思いますが、ヘルメットを着用していない場合罰せられてしまうのでしょうか？

道路交通法第63条の11にヘルメット着用についての記述があります。
第1項
自転車の運転者は、乗車用ヘルメットをかぶるよう努めなければならない。
第2項
自転車の運転者は、他人を当該自転車に乗車させるときは、当該他人に乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならない。
第3項
児童又は幼児を保護する責任のある者は、児童又は幼児が自転車を運転するときは、当該児童又は幼児に乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならない。

「～するよう努めなければならない」というのは努力義務を示す文章です。つまり「努力をすること」が義務付けられています。

努力義務は、当事者の自発的な行為をうながす効果があるに過ぎず、努力義務規定に違反したとしても、刑事罰はもちろんのこと、行政罰（過料など）の制裁もありません。

しかし、自転車事故で死亡した人の約7割が頭部に致命傷を負っているというデータがあります。ヘルメットを着用していない場合の致死率は、着用している場合と比較すると約2.2倍も高いそうです。

参考元：https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/toubuhogo.html

自転車は常に転倒のリスクがあります。自分自身がヘルメットを着用するのはもちろん、大事な息子の頭を守るためにもしっかりとヘルメットをかぶらせたい。その思いは息子が自転車に乗る前からもっていました。

👶しかし、被らぬ…🥲❌

生後半年を迎えた頃、バーレーというチャイルドトレーラーが我が家にやってきました。それと同じタイミングで息子にファーストヘルメットをプレゼントしました。バーレーに座り満面の笑顔を浮かべる息子と向かい合い、母も満面の笑みで息子の頭にヘルメットをプレゼント！

「ガツッ…！！」
頭に被せたヘルメットは母が顎紐に手をかける間もなく地面に叩き落とされました。
すっと仏頂面になる息子。平然とヘルメットを拾い上げる母。
もう一度チャレンジ！
「あ゛あ゛あ゛！！！」
ブチ切れる息子。実は息子は頭に何かをかぶせられることが大嫌いだったのです。

ある程度慣れればかぶるだろう、最初は多少泣いても被らせねば、そう思い何度もチャレンジしましたが、息子は近くにいる人が振り返るほどの悲鳴に似た泣き声で毎回抵抗し続けました。
それでも様子をみてかぶらせたり、リビングに置いて慣れ親しませたり、かぶせた瞬間から「かっこいい！」と褒め続けてみたり。思いつく限りのポジティブな働きかけをしましたがどれも全く効果はなし。

息子が泣いて嫌がるたびに、難産だった息子は頭を覆われることにトラウマを抱えているのでは…と母の心にはどうにもできない申し訳なさが膨らみ、産後の弱ったメンタルも相まってヘルメットの練習をする時間が親子にとってとても辛いものになっていました。

安全のためにヘルメットをかぶせた方がいいのは百も承知です。しかしここでヘルメットが嫌いになったらずっとかぶってくれないのでは…とはいえ、いつ事故に遭うかわからないし早くヘルメットをかぶれるようにせねば！
さらに育児疲れと、焦りと、泣かれることで母のメンタルがゴリゴリと削られる感覚とで、すっかり私は『ヘルメットかぶせ疲れ』を起こしていました。

そこで一旦気持ちを落ち着かせることにしました。息子のヘルメットについては焦らず、でも、諦めず。息子の動きが活発になりストライダーに乗る頃までには必ずかぶれるようにしたいという思いで気長に取り組むことにしました。

⛑️２つめのヘルメット

そうこうしているうちに息子は２歳を過ぎました。１歳半で買ったストライダーにやっと興味をもち始め、ますます目が離せません。１つめのヘルメットはあっけなくサイズアウトしました。そこで、日本人の頭に合いやすいつくりになっているオージーケカブトのPALをホームセンターで試着し購入しました。
若干余裕のあるサイズだったのが良かったのか、とりあえず短時間はかぶることができるようになりました。

ストライダーに乗る時は必ずヘルメットをセットで持ち出し、毎回「ヘルメットかぶろうか」と声をかけ、親もヘルメットをかぶってみせるようにしました。また、息子がヘルメットをかぶるたびに「かっこいい！」「いいね！」「似合う！！」と思いつく言葉の限りに褒めちぎりました。
そのうちに数分かぶるようになり、気づくとすんなりとヘルメットをかぶってくれるようになりました。ここまで苦節２年。長かった…。そして事件は起きたのです。

👶３歳児、飛ぶ🚲🪽

３歳のお正月に私は家族と実家へ帰りました。そこでちょうど帰省していた地元の友達親子と遊ぶことになりました。友達の子は息子より１つ年上です。最初は仲良く２人で遊んでいましたが、友達の子が途中でペダル付きの自転車にまたがりぐんぐんとこいで行ってしまいました。

一緒に遊びたい息子はストライダーにまたがりそのお兄ちゃんを追いかけます。私は息子を追いかけ、立ち止まらせてヘルメットをかぶらせました。もう抵抗はしません。顎紐を止めると息子はストライダーを再び走らせました。

スピードに乗る息子。しかし必死に追いかけるあまりハンドルを左右に振ってしまったのです。斜めに切り過ぎたところで前輪がロック。加速していた勢いのまま息子は前に吹っ飛びました。突然のことに隣にいた私は手を出すこともできませんでした。
でもしっかりと見えていました。息子が前に飛び、体が弧を描き、そのまま前頭部からコンクリートに着地する瞬間が。

息子の落車を目の当たりにしてブワッと冷や汗が出ました。
あ、これは大変だ。

息子は大声で泣き出しました。私は頭を揺すらないように持ち上げて落ち着くように抱きしめました。
しばらくすると息子は泣き止み、落ち着くと何事も無かったかのようにお兄ちゃんと遊び始めました。幸い顔にも体にも傷はありませんでした。

あとでヘルメットを確認すると、衝撃吸収をするライナーがしっかりと凹んでいました。
ヘルメットが無かったらこの衝撃をそのまま頭に受けていたのだと思うと再び冷や汗が出ました。

息子にヘルメットをかぶせていて良かった。ヘルメットをかぶるようずっと練習し続けて良かった。心からそう思った瞬間でした。

👨‍🦰🧑‍🦰ヘルメット嫌い克服のコツ（我が家の息子の場合）⛑️

キッズ用の自転車ヘルメット、最初からすっと被ってくれる子もいますが、嫌がる子もいますよね。我が家の息子は比較的手強い方だったのではないかと思います…。
こんな経験をした身なので、公園などでヘルメットをかぶることに抵抗を示している子どもをなだめる保護者の方を見るたびに「大変ですよね、お疲れ様です」と心の中でエールを送っています。その積み重ねが万が一の時にお子さんを守ってくれます。

我が家で息子に試した方法をまとめると

・ヘルメットをかぶれたら褒める
「かっこいいよ」「かぶれたね、すごい！」
・いったん必ず毎回かぶらせる
　短時間ずつでもOK！
・親もヘルメットをかぶる
　おそろいの安心感〇

です。かぶれるようになった後も習慣化するまでが大変ですが、頭を守ってくれる大事なものだと伝えながら、必ずかぶるものだという姿勢を保護者の方が見せることが大切なのではないかと思います。
我が家の奮闘記が、ヘルメットが苦手なお子さんを育てていらっしゃるどなたかの励みになったら嬉しいです。