あけおめ
どうやら携帯代を払い忘れてたらしい。
督促のハガキで気が付いた。
どこで支払いできるんだっけか、とハガキを見ると本社へお越し下さいと書いてある。だっる。
iPhoneでもAndroidでもなく『なか卯』から期間限定で発売されていたスマホ、『卵とじフォン』を使っているおれは本社がどこか理解していなかった。
もう一度ハガキに目を戻すと、右下に本社の住所が書いてある。
東京都北区赤羽○○○-○○にあるらしい。
(実在するので伏せ字です)
やむを得ない。怠惰な自分に嫌気が差すが、背に腹はかえられない。
その足で赤羽まで向かう。
赤羽駅に着くと、『本社はこちらです!』と書いてある旗を太ったおじさんが気怠そうに持っている。
おじさんに話しかけ事情を説明すると、本社までの道を案内してくれる事になった。
酸っぱい匂いしたけど良いおじさん。
『ここを真っ直ぐ行くと担当者が居るはずだから、
話しかけて同じように事情を説明しな』
そう告げるとおじさんは駅の定位置に帰ってった。
別れ際に、ポッケに入ってた剥き出しのスニッカーズあげたら喜んでくれた。
おじさんに言われた通り真っ直ぐ道を進むと、
似たような顔をした3人がこちらを睨んでいるのが遠くからでもわかる。
目を細めてピントを合わせると、そこに立っているのは亀田三兄弟だと気付いた。
少し怯えながらも挨拶を交わす。
『こんにちは。あの、本社に携帯料金の支払いに来たんですが担当者はあなた方でしょうか?』
次男坊の大毅がすかさず、
『ッシャオラ』
と返事をした。
すると、慌てた様子の長男の興毅が大毅を宥める。
次男の大毅は内藤大助との試合以降『ッシャオラ』としか話せなくなったらしい。
いくらあんな反則をしたとはいえ酷い仕打ちだなと思った。
興毅は話が通じるようで、改めて事情を説明すると本社まで案内してくれることになった。
しばらく歩くと、海が見えてきた。
『本社、海の中にあんねん』
興毅が口を開く。
言っている意味がわからずポカンとしていると、
亀田三兄弟がおもむろに服を脱ぎ出した。
『あんちゃん、乗りィや』
三兄弟は縦一列に四つん這いで並び、背中を差し出した。
ここで合点がいく。
どうやら本社は竜宮城にあるんじゃないのか・・?
ならば亀田三兄弟が案内するのも納得がいく。
(今回はいじめられてる亀じゃなくて内藤大助をいじめた亀田だったが)
指示通り三兄弟の背中にうつ伏せで寝っ転がる。
三人は3.2.1 ッシャオラの掛け声と共に海へ入水した。
波が荒く背中から落ちそうになったので、先頭にいた興毅の耳をギュッと掴むと、なぜか頬が赤くなっていた。思わぬ形で興毅の性癖発見。
20分ほど経っただろうか。
竜宮城に到着した。
ビルで言うと4階建くらいの、煌びやかな外装の立派なお城。
屋上にセブン& i ホールディングスの看板が立ってたので、恐らく竜宮城はセブンイレブンの傘下にある。セブンの勢い最近すごいね。
そこからは流れ作業。
2階に本社があったので支払いを済ませ、
B1Fにフードコートがあったので亀田三兄弟と
銀だこを食べた。
竜宮城から赤羽の海岸まで亀田三兄弟に送ってもらった。
ここではじめて三男の和毅が満面の笑みで、
『またね☆』
と言ってきた。
前歯に青のりが挟まっていて情けなかった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?