所沢市の人口分析とまちづくりについて(令和4年6月定例会 一般質問より)
「所沢市統計書」によると、所沢市の総人口はしばらくほぼ横ばい状態で推移してきましたが、平成30年(2018年)をピークにその後は減少傾向が続いています。
人口動態を分析すると、転入が転出を上回り、いわゆる社会増が続いている一方で、出生数より死亡数が上回る自然減が続いているため、結果として、人口減となっています。
市内には11の行政区がありますが、行政区ごとの人口動態や推移には明らかな地域特性が存在しています。荻野泰男はこのことをしばしば議会の場で指摘してきました。ここでは、令和4年(2022年)6月定例会における一般質問でのやり取りを紹介いたします。
■ 令和4年(2022年)6月定例会 一般質問より
[◆荻野泰男]
初めに、人口分析とまちづくりについて、鈴木経営企画部長に質問いたします。
まず、先日、所沢市統計書が配付されましたが、本市の総人口ですね、各年12月31日現在の数字が載っていたんですけれども、平成30年の34万4,320人をピークに、その後は3年間減少傾向が続いております。総人口の推移に関する市の認識と今後の将来人口についてお伺いします。
[◎鈴木経営企画部長]
本市の人口は、平成19年に34万人を超えて以来、議員御案内のピークを含め、長い間横ばいが継続している状況にございます。しかしながら、令和3年12月31日の実績に基づく最新の人口推計では、今後、緩やかな減少傾向が継続し、令和8年度に34万人を割るとの結果が算出されております。
[◆荻野泰男]
そうなんですね。かなり自然減が顕著になっているということで、その割には社会増加でちょっと持ちこたえているのかなというような印象です。
次に、モニターをお願いいたします。
こちらが2022年、今年の3月末日とその5年前の2017年の3月末日、またそのさらに5年前の2012年と、それぞれ5年間の年齢別人口調書に基づいて作成しました。私のほうでエクセルで作成したものなんですけれども、作成した年代別人口増減図、いわゆるコーホート図になります。
赤線のほうが直近の5年間のものでして、青い線のほうがその前の5年間のものなんですけれども、以前は年齢層で言うと30歳から34歳、35歳から39歳、40歳から44歳のところがマイナスになっていたんですが、直近の5年間ではいずれもプラスに転じておりました。まず、このように変化していることについてどのような要因が考えられるのか。市の見解をお伺いします。
[◎鈴木経営企画部長]
近年、ところざわサクラタウンのオープンや西武園ゆうえんちの改装、西武球場のボールパーク化に加え、所沢駅周辺の大規模開発などが多くのメディアに取り上げられ、本市は今後期待されるまちの1つとして評価されております。また、併せまして、コロナ禍によって東京23区から郊外20km圏内への人の流れがあるとされる傾向もございます。これらにより、市内の主要駅近辺に複数の大規模マンションが建設されたことや、さらに、既存宅地等に建て売りや注文住宅を造ろうとする宅地分譲の動きもみられております。
こうした幾つもの要因がこの5年間に重なって起きたことが、議員御案内の年齢層の方々にとっての魅力につながり、人口流入へ強く働いたものと捉えております。
[◆荻野泰男]
それでは、もう一度モニターをお願いします。
先ほどのコーホート図なんですけれども、先日、市民課のほうから行政区別の数字を頂いたので、そちらも私のほうで全行政区をつくってみたんですけれども、その中で小手指地区と新所沢地区が結構その30歳から34歳の部分が増えているんです。なので、この辺が結構牽引したのかなというのを私は思いました。
次に、こちらはちょっと細かくて恐縮なんですけれども、ちょうど3年前の6月定例会でも示しました行政区別の人口推移ということで、これ3年前から3年たちましたので、直近の数字でまたこの10年間のものをつくり直したんですけれども、こちらを見ますと、先ほどの新所沢とか小手指のほうで平成29年ぐらいに結構増えている年があったんです。この辺が結構影響しているのかなと私は思います。
それで、こちらの表を見ますと、市全体ではそんなに大幅には変わっていないと思うんですが、やはり行政区ごとに見ていくと、増えている地域というと所沢地区、新所沢東、小手指などが増えておりまして、逆に、並木、山口、三ケ島辺りはほぼ右肩下がりというような状況が続いているんです。
そこで質問なんですが、増加している地域と減少している地域に二極化する傾向がより顕著になっているように感じられるんですが、人口推移の地域間格差は今後も拡大していくことが見込まれるのか、市の見解をお伺いします。
[◎鈴木経営企画部長]
行政区ごとの推計は現在行っておりませんが、過去の実績などを考慮いたしますと議員御指摘の傾向も想定されるところでございます。
[◆荻野泰男]
随分簡単な答弁でした。3年前も同様の話をさせていただいたんですが、当時、平田経営企画部長のときでしたけれども、地域間の人口増減の傾向を緩和していくためには、地域ごとに人口動態の要因を探った上で、それぞれにふさわしい対策を講じることが必要と考えておりますと答弁されておりました。
そこで、具体的にはどのような対策が有効であると考えているのか、市の見解をお伺いします。
[◎鈴木経営企画部長]
街づくり計画部では、今年度の新規事業として立地適正化計画策定事業に着手し、2年をかけ検討する予定でございます。詳細はこれからとのことでございますが、人口のありようなども含めて、地域ごとのまちづくりを進めるための計画を策定いたしますので、その中で必要な対策も見えてくるものと考えております。
このテーマについては、令和元年(2019年)6月定例会の一般質問でも取り上げていますので、その際のやり取りを紹介いたします。
■ 令和元年(2019年)6月定例会 一般質問より
[◆荻野泰男]
初めに、人口分析と今後のまちづくりについて、平田経営企画部長に質問いたします。
まず、モニターをお願いいたします。の地区別人口推移になります。ちょっとモニターのほうですと細かくて申し訳ないんですけれども、先日配付されました平成30年版所沢市統計書の中に地区別増加人口の推移という表がありまして、これに平成20年から30年までの各地区の人口と増減率を加えたものでございます。
これによりますと、人口が一番ふえている地区が率で言いますと新所沢東、こちらが10年間で11.11%、次に所沢地区が6.63%、小手指地区が6.54%、反対に人口減少している地区が、並木地区が10年間で10%減、三ケ島地区が3.8%減、山口が2.90%減というような状況がみてとれます。
市全体の人口としては、近年おおむね微増で推移しておりますけれども、このように、増加している地区と減少している地区に二極化しつつあると感じておりますが、市としてこのような現状をどのように認識しているのか。また、主にどのような要因から地区間での格差が生じると考えているのかお伺いいたします。
[◎平田経営企画部長]
全国的な傾向といたしまして、死亡数が出生数を上回る自然減による人口減少は確実に進行しており、本市におきましても、平成28年から30年にかけましては毎年約200人ずつ自然減が拡大しているところでございます。
こうしたことから、多くの地区では緩急の差はございますがほぼ横ばい、あるいは減少しておりますが、その一方で、市の中心部である所沢地区であったり駅の周辺である新所沢地区、あるいは小手指地区等では高層マンション等の大規模な住宅開発により人口が増加をしておりますことから、地域間で人口減少の傾向に差が生じているものと認識をしております。
[◆荻野泰男]
それでは、今後の地区別の人口動態についてはどのように推計しているのかお伺いいたします。
[◎平田経営企画部長]
地区別の人口推計につきましては、平成28年3月に策定いたしました所沢市人口ビジョンの策定作業において、コーホート要因法により算定をしております。こちらの数値で申しますと、2060年の推計値では、2015年3月末人口と比較して147%に拡大する見込みの地域がある一方で、32%に縮小する見込みの地域もございます。
[◆荻野泰男]
以前、地区別のいわゆるコーホート図も私のほうで示させていただきましたが、その人口の増減とともに人口構成にも大きな地域特性があると感じております。私としては、地域間の格差の拡大というのは危機感を持っておりますし、好ましくないものであると考えておりますけれども、こうした格差の拡大を抑制するために、主にどのような取り組みが必要であると考えているのかお伺いいたします。
[◎平田経営企画部長]
地域間の人口増減の傾向を緩和していくためには、地域ごとに人口動態の要因を探った上で、それぞれにふさわしい対策を講じることが必要と考えております。
[◆荻野泰男]
そうですね。地域ごとにその要因を探って対策を立てていくということなんですけれども、それでは、次は川上市民部長にお伺いしたいのですが、各地区のまちづくり協議会等におきまして、各地区の人口動態等のデータを活用し、まちづくりに関する議論を行うような事例があればお伺いしたいと思います。
[◎川上市民部長]
地域づくり協議会におきましては、まちづくりセンターが収集・提供する地域の情報や独自のアンケート結果などを参考に取り組みが進められているところでございます。
御質問の地域の人口に関する情報につきましては、地域情報の1つとして地域に住む方の関心も高いこともございますので、施設での掲示やまちづくりセンターだよりなどによりお伝えしているところでございます。
地域における人口に関する情報の活用事例につきましては、特に報告はいただいておりませんが、多くの方に御自身が住む地域に関心を持っていただく効果も期待できますので、分析結果なども併せまして、引き続き協議会が参考としやすいよう情報提供してまいりたいと考えております。
[◆荻野泰男]
今のところ余り活用された実績はないのかなという印象なんですけれども、昨日も都市計画マスタープランについての議論がありまして、その中で、やっぱり市民がもっと主体的にまちづくりに関わるべきではないかというようなお話も出てまいりました。
そこで、再び平田経営企画部長にお伺いしたいのですが、それぞれの地域の住民がそういった情報を共有して、まちづくりに人口動態等の統計データが積極的に活用されるようになるためには、市としてどのような取り組みが必要であると考えているのかお伺いいたします。
[◎平田経営企画部長]
各地域における統計データの活用方法の1つといたしまして、各地区のまちづくり協議会等での御協議、御議論等の中で取り上げていただくことは大変有意義なものと考えております。本市の将来に向けたまちづくりを描いていく中で、統計データの分析や地域から抽出された課題等を通じて、今後の施策のあり方等を検討し実行していくことは大変重要であると考えております。
[◆荻野泰男]
やはり地域のことは地域の住民が考えていくということが大原則でありますし、市としても受け身ではなくて、そういった機運が高まっていくようにこれからも働きかけをお願いしたいと思っております。