「プラハの春」春江一也
今日の思い出の1冊 「プラハの春」春江一也
冷戦あけてまもない大学時代に1か月程入院をしていた時に読んだ思い出の1冊。
この本を読んでから、プラハの春に興味があり、関連本をたくさん読むようになった。
サッカーでもアイスホッケーでも、チェコびいきである。
長野五輪でのアイスホッケー優勝は嬉しかった。
外交官と反共産党活動家とのラブミステリーである。
あまり恋愛小説というのを読まないが、これは本当に命をかけた恋愛でひきこまれた。
侵入してきたソ連の戦車に対して、花束で出迎えることで抗議するプラハの女性達が描かれている。
この事変をきっかけに、チャフラフスカやザトペックのような五輪選手までの人生に影響を与える。
今から数年前に、サントリーホールでチェコフィルハーモニーによる「新世界」(ドヴォルザーク)を聴くことが出来た。僕も自然に涙が出てきていたが、隣に座っていた、品のあるご婦人が涙をポロポロ流していたのが印象的だった。ちょっと顔を見過ぎたからか、僕に向かって、軽く頭下げながら
「今から30年前にチェコに仕事で住んでいた、その時のこと思い出して涙がとまらなくなった」ということだった。その後もチェコの思い出話を聞かせてもらったことがある。その時に、この小説のことをずっと思い出していた。
チェコびいきなので、当然「新世界」は、CD/DVD/コンサートで幾度もで聴いているが、この晩の「新世界」が、一番の演奏だったと思う。指揮者は三ツ橋敬子さんだった。
この小説は、続編のベルリンの秋がある。小説としての完成度は、プラハの方がはるかに良いと思うが、ベルリンには、このプラハから続く登場人物でとても、味があるかっこいい男が出てくるので、続編もぜひ読んでもらいたい。