8/23 闇雲が割け
私は朝からの強い雷雨の音で目が覚めた。
空の閃光は数秒後にバァンと爆発音をもたらす。
こりゃ先人は神の仕業と思うわけだ。
強大な自然エネルギーは神罰を告げるように上空で気まぐれに炸裂し、生物は皆萎縮する。
雨は雨で、これまたひどい。
土とコンクリートの匂いを巻き上げ、バチバチと大地と屋根をたたく。
数分ごとにその威力は緩急を持って、安定しない。強くなったと思えば収まり、もう止んだかと思えばまた、大粒を落とす。
そんな天変を私はベットの上から仰向けで頭上の窓からうかがっていた。
それは寝起きの頭で映画のクライマックスを見るかのように、呆けながらも視界からはずすことはなかった。
自然現象は摩訶不思議だ。
私は窓の奥の閃光を視認してから、無意識に距離と大きさを測り、炸裂音に身構える。
そのくせ、なるべく大きい雷鳴を期待している。沸き立つ興奮と共に。
「その輝きと轟きでこの暗い世界をさけ。」
破壊するもよし、明るく照らすもよし。
しばらく雷鳴に耳をそばだてていたが、おもむろに携帯を頭上に掲げTwitterを開いた。
トピックスにはCOVID-19やら聞き覚えの無い芸能人 、パラリンピックなどがあって、その場で今日も性懲りも無くああでもないこうでもないと、誰かが誰かに物申している。
「うっさ」
そう呟いてまた窓を見上げる。
未だ荒れた天気だ。
ふと、窓に映った自分の寝姿と目が合った。そこには曇天が広がっていた。
その模様に気づいて、にやとそれへ笑ってやった。
思い出したかのようにTwitterに目を戻し、文字を打つ。
「雷ゴロゴロ俺ゴロゴロ」
そう呟き、よいしょと起き上がって携帯を放った。
すでに窓からは光が差していた。