サラリーマンは向いてない

2006年初夏。六本木で好きなジンギスカンをご馳走になっていたはずが気がついたら吐いてまで食べさせられ、帰りにお茶しようとして連れて行かれる一蘭に向かう途中、六本木の交差点にいた占い師さんに占ってもらえよ、と先輩にお前は言われる。

そこで自分の手のひらを一目見るなり占い師は「あなたはサラリーマンに向いてない。独立しなさい。」

お前やっぱり嫌がってんだなこの会社、いや部署か、俺か？と酒のチカラもあってか賑やかにいじってくれた先輩達の顔は一瞬固まっていたことをお前は見逃さない。

それから７年経ちお前はひたすら浸かっていたテレビ広告の世界から飛び出し、当時社内で「この部署にいるうちは手に職がない、営業に出るまでは転職なんかできやしない」という曖昧なアドバイス、そもそも転職自体がタブーとされていたところに、デジタルメディアましてやその価値がまだ広告業界にほとんど理解されていなかったSNSの世界に足を踏み入れる。
メディアスタッフという職しか経験していないお前は会社、業界を変えると同時に営業という初めての職種に挑戦する。

ものすごい速度で影響力を増していくプラットフォームで営業でそれなりに成果を出していくお前は、当初は一生このプラットフォームで生き、支えていくと心に決めていたところから、この国で、この業界で意外と盲点だった、そして日本人の価値観すら変えるかもしれない可能性に満ちた新しいプラットフォームに挑戦する。
そこでもお前は営業時代に社内外で関わる人間に憧れ、自分だったらどう振る舞う？とシミュレーションし続けてきた職種、マーケティング職に挑戦する。

メディア、クライアントと関わる会社を増やしてきたお前はそこで企業も結局は人の集合であり、ユーザー＝人の心を動かすことに楽しみを覚え、いやそもそも自分の仕事はダイナミックな成果によらず、自分が関わる人の記憶にどれだけ残るかでその達成感を得られていたことに気づく。

業界を、会社を、そして役職を、とにかくピボットしてきたお前は、自分の働き方にさらなる変化を求める。

サラリーマンとは。フリーランスとは。起業とは。
副業とは。兼業とは。自営業とは。
セールスとは。マーケターとは。クリエイターとは。
マネージャーとは。ディレクターとは。Cxxとは。

お前には困った時にいろんな角度からアドバイスをくれる非常に多くの、そして影響力のある、懐の深い仲間や先輩がいつの間にか増えている。

考えに考え、手を動かしながら考えたお前はある決断をする。

驚け、お前はほとんどのアドバイスに共通していたことを無視するぞ。

そして、やはり自分の決断に、その先に見据える自分のビジョンとミッションに興奮するのだ。

昔から大きく変わったのは新卒時代に診断された、考え抜いてから行動する慎重派が、とにかく走りながら考えないと気が済まない行動派に完全に変わっているところ。
変わらないのは一つのことに集中するより、自分の興味に正直に生きるところ。

気がついたら様々な職種の経験から得た知識以上に、考え方の引き出しが増えている。

相変わらずいまひとつ自身は持てないが、代わりに勇気だけはしっかりついている。

が、

今のお前に俺は言いたい。

お前はサラリーマンに向いていない。独立しろ。

あれはどういう意味だったんだろう？

まだ慎重派のお前は、とにかく考えて考えて考えてほしい。
日々の仕事の多さと理不尽さは異常だが、言い訳にせず考えてほしい。
平日の飲み会は引き続き全力で構わない。
が、それでも休日ダラダラと過ごすな。考えろ。

そして。

俺よりもう少し早く行動派になってくれ。

さあお前はどんなキャリアに挑戦する？
できれば俺とは違う道を選んで欲しい。

お前オリジナルのキャリアを教えて欲しい。

自信はなくても勇気を持って決めて欲しい。
おそらくきっと大丈夫、お前は俺だから！
それを証明して欲しい！

・・・とかかっこいいこと言いてええええええええええ

ちなみに、翌朝からジンギスカンは匂いだけで吐くくらい苦手になるし、カバンの中見てみろ

一蘭で先輩にこっそり入れられたゆで卵、23個だぞ