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ZOOM ZPC-1&F3 録音レビュー(AB,XY,ORTF,NOSマイク方式別に実験)

先日ZOOMさんから発売されたマッチング済みのペンシル型コンデンサーマイク「ZPC-1」を使い、地元にある小さな滝を録音してきました。レコーダーは同社のF3を使用し、AB、ORTF、NOS、XYの4種類のマイク方式で録音を行いました。

同じ場所、録音レベルでレコーディングしているので、各マイク方式によるステレオイメージや音質の違い、ZPC-1の録り音など確認していただけるかと思いますので、ご参考になれば幸いです。音声ファイルをアップロードしていますが、聴き比べが出来るように最後に各マイク方式で録音した素材を切り替える動画もご用意しています。


使用した機材

レコーダー ZOOM F3

32bit float録音が特徴

マイク ZOOM ZPC-1

マッチングペア済みのコンデンサーマイク

ステレオバー RODE Stereo Bar

XY方式にも対応しているステレオバー

録音場所

小さいころからよく訪れる場所

録音を行った場所は「源氏の滝」と呼ばれる地元にある小さな滝。写真のように正面に滝を見据え、滝から流れ落ちた水が右手に流れて川になっているようなシチュエーションです。昔はここでよくサワガニなどを取ったりしてましたね(笑)今でも夏には子供たちが下流のほうで川遊びをするくらい綺麗な水が流れています。


AB方式

AB方式(正面から)
AB方式(斜めから)

二本のマイクの間隔を開けて平行に構えるAB方式です。間隔は20cmでセッティングしています。適度にステレオ感がありつつ、前方の滝つぼで水が岩に打たれる音がしっかり録れています。滝つぼに対してマイクの方向が正面で合致しているため、滝の音量感がほかのどの方式よりも強く出ています。


ORTF方式

ORTF方式(正面から)
ORTF方式(上から)

ORTF方式は、二つのマイクを110度の角度で開き、両者のマイクカプセルの間隔を17cmにセッティングする方式です。間隔を17cmにセッティングすると人間の両耳の間隔と同じになるため、リアルなステレオイメージが得られるとされています。マイクが外側を向いているため、ステレオ幅が広くワイドな音像になっているのが確認できます。

その分、センターの滝つぼの音は抑えられて全体の音量バランスが平均的に聴こえますね。4つのマイク方式の中で一番自然に聴こえる印象があります。


NOS方式

NOS方式(正面から)
NOS方式(斜めから)

NOS方式は二本のマイクを90度の角度で外側へ向け、マイクカプセルの間隔を30cmにセッティングします。ORTFよりもマイクの間隔が広がり外へ向いているので、左右の音をしっかり捉えてくれます。実際にORTFの音源と比べて聴いてみると、右側に流れる川の音量がより大きくなり、ステレオイメージも広がって聴こえてきますね。ステレオ幅は広いのに、どの定位の音もしっかり聴こえてくるのが好印象で今回の音の中で一番気に入った音になりました。


XY方式

XY方式(正面から)
XY方式(上から)

XY方式は、二つのマイクを90度の角度で交差させ、マイクカプセルの間隔を0にするマイク方式です。両者のマイクに届く音に時間差がなくなるため、位相ズレによる音質の劣化がないことが特徴です。失敗が起こりにくいマイク方式とも言えます。

録音した音を聴いてみると、ほかの方式に比べてステレオ幅が一番狭くなりますが、正面の滝つぼの音はしっかり捉えていて、AB方式の次にセンターの音量感があります。その場で聴こえてくる全体の音を狙うというよりは、正面にターゲットを固定して、少し周りのステレオ感も欲しいときには効果的であると感じました。今回であれば滝の音だけをステレオかつメインに録りたければうってつけの方法です。


おまけ(AB方式)

AB方式(上を狙う)

こちらはオマケですが、AB方式で滝の上を狙って録音を実験してみました。滝つぼに打たれる重たい水の音が抑えられ、とても軽やかで音量感も穏やかな滝の音が録れました。右側に流れる川の音も抑えられていますね。

マイクの角度を少し変えるだけでこのように音が劇的に変わりますので、録音する前には闇雲にマイクを構えるのではなく、録りたい音のイメージをマイクで探りながらセッティングすることが大事だなと初心に帰ることができました。


まとめ

今回実験をしてみて感じたことは、各マイク方式で明確に違いがあることが理解できたのはもちろん、それぞれの方式が持つ特徴や強みに合わせて自分が求めるステレオイメージと合うようにセッティングしていくことが効果的だと感じました。

各マイク方式別に録音した音を切り替えていく動画もご用意しましたので、下記からご覧ください。(字幕をオンにしてもらうと各マイク方式の切り替えが表示されます

また、今回は実験できませんでしたが、こうした定番とされるマイク方式から外れて自由にマイクをセッティングしたらどうなるのかも試してみたくなりました。例えば、今回であれば大きな録音ポイントとして、滝つぼとそこから流れる川があるので、この二つの音に対して自分で二つのマイクを自由に配置したら、どんなステレオイメージになるのか興味があります。

もし実験する機会があれば、その結果もまた共有させてもらいますので、よければ是非フォローをしてくださいね。それでは次回もお楽しみに。


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