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在来大豆をめぐる学びで郷土愛を育むー横田農場 横田岳さん

小川町には地元の大人が先生となって、町内の小中高校性に対して学びの機会を設ける「おがわ学」という取り組みがあります。多岐にわたるテーマがある中のひとつとして、在来大豆をめぐる取り組み事例を紹介します。

▷おがわ学とは
小川町立小・中学校及び埼玉県立小川高等学校の児童生徒が、小川町の地域資源を題材として、地域の歴史や文化、産業等について知り、段階的に学びを深めていきながら、地域活動への参画などを行っていくものです。「おがわ学」を通し、子供たちの小川町へ対する愛着や誇り、地域課題の解決に取り組む能力を育むことを目的とするとともに、「おがわ学」に関わる大人自身の学びにも繋げていくことを目指しています。

小川町青山地区で家族農業を営む、横田農場の横田岳さんは、自らの出身校である大河小学校で、「青山在来大豆」をテーマにおがわ学の外部講師として授業を行っています。

横田農場の横田岳さん

横田さんが、青山在来大豆の種をまく授業をしてほしいと依頼を受けたのは5年前のこと。2年ほど種まきの授業に携わる中で「農業って種をまいて終わりではない。その後、うまく育ったかな、収穫できたかな?と気になった。せっかく種まきをするなら、収穫して加工するところまで一連の行程を農家として関わりたい。」そんな思いを機に先生方との話し合いが行われ、現在ではより包括的な学びの実践が実現しました。

小学3年生で、大豆の種をまいて、育てて、収穫。脱穀をしたら、良い大豆を選んで種を取り、残りを味噌としてみんなで仕込む。小学4年生になったら、自分たちで種取りした大豆を後輩に受け継ぎ、植え方を教える先生になる。小学5年生になったら自分たちで仕込んだ味噌を使って味噌汁づくりをして、美味しくいただく。足掛け3年間をかけて構築される大河小学校での学びの実践と、児童と横田さんとの関係。「横田先生こんにちはーっ!」いつも嬉しそうに挨拶をする児童の笑顔が印象的です。

地域に伝わる在来の大豆を、地域の先生から楽しく、五感を使って学ぶ。
このおがわ学の取り組みは、児童にとって地域への愛着、アイデンティティを育む貴重な機会だと感じます。

下記のように、足掛け3年をかけて学びが続いていきます!

▶青山在来大豆にまつわるおがわ学の学び(年間計画)
3年生
7月:種まき
11月:収穫、乾燥
12月:青山在来大豆の歴史を学ぶ
12月:脱穀
2月:味噌仕込み
4年生
7月:種まき(先生側として)
5年生
味噌汁づくりの調理実習

7月:種まき

ひとつ上の先輩から受け継いだ種
この種を育てたら、ひとつ下の後輩に受け継ぎます
大豆を植える畑
3年生と4年生が隣に並んで一緒に種まきをします
これは「第2関節の深さに植えます!」と教えている様子
のこりの大豆を家で育てたい子どもが続出しました(素敵!)

11月:収穫、乾燥

12月:青山在来大豆の歴史を学ぶ

12月:脱穀

くるり棒を使った脱穀体験
唐箕を使った脱穀の様子

2月:味噌仕込み

道具を使って材料を計るところから始まります
大豆と麹と塩の割合を協力して計算します
大豆を洗ったら一日水に浸して
次の日になったらこんなに大きくなっていました!
水に浸した大豆を茹でて、アクを取ります
臼と杵を使って班ごとに大豆を潰して
計算して準備した材料をみんなで混ぜ込みます!
おいしくな~れ!
授業の中では、顕微鏡で麹を覗いてみたり
一つ上の先輩が作ったお味噌を、3~4年生で味見したりします

味噌汁づくりの調理実習は、これから初めての授業が始まります。

(番外編)古い道具たち

おがわ学の授業では、実際に古い道具を自らの手で使って体験をします。

▶くるり棒
刈り取った麦や大豆を叩いて、芒(のぎ)や粒を落としたり、脱穀を行うための道具です。名前の通り棒をくるっと回して使います。熟して乾燥した大豆は、殻に覆われていますが、このくるり棒で叩くとはじけて大豆が飛び出します!

▶唐箕(とうみ)
箱の内部に装置してある風車のようなもので風を起こし、上から落とす米、麦、大豆などを粃(しいな)や殻と実とに分けるための道具です。穀物を上から落とす量と、ハンドルを回すスピードの加減に少しコツが要ります。

ここまでご覧いただきありがとうございます。
こちらの内容をまとめた「おがわん通信」を町内いくつかの場所に配架してまいりますので、よければお手にとってみてください。

記事内に使われている写真の一部は、横田岳さん撮影です。

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