在来大豆をめぐる学びで郷土愛を育むー横田農場 横田岳さん
小川町には地元の大人が先生となって、町内の小中高校性に対して学びの機会を設ける「おがわ学」という取り組みがあります。多岐にわたるテーマがある中のひとつとして、在来大豆をめぐる取り組み事例を紹介します。
小川町青山地区で家族農業を営む、横田農場の横田岳さんは、自らの出身校である大河小学校で、「青山在来大豆」をテーマにおがわ学の外部講師として授業を行っています。
横田さんが、青山在来大豆の種をまく授業をしてほしいと依頼を受けたのは5年前のこと。2年ほど種まきの授業に携わる中で「農業って種をまいて終わりではない。その後、うまく育ったかな、収穫できたかな?と気になった。せっかく種まきをするなら、収穫して加工するところまで一連の行程を農家として関わりたい。」そんな思いを機に先生方との話し合いが行われ、現在ではより包括的な学びの実践が実現しました。
小学3年生で、大豆の種をまいて、育てて、収穫。脱穀をしたら、良い大豆を選んで種を取り、残りを味噌としてみんなで仕込む。小学4年生になったら、自分たちで種取りした大豆を後輩に受け継ぎ、植え方を教える先生になる。小学5年生になったら自分たちで仕込んだ味噌を使って味噌汁づくりをして、美味しくいただく。足掛け3年間をかけて構築される大河小学校での学びの実践と、児童と横田さんとの関係。「横田先生こんにちはーっ!」いつも嬉しそうに挨拶をする児童の笑顔が印象的です。
地域に伝わる在来の大豆を、地域の先生から楽しく、五感を使って学ぶ。
このおがわ学の取り組みは、児童にとって地域への愛着、アイデンティティを育む貴重な機会だと感じます。
下記のように、足掛け3年をかけて学びが続いていきます!
7月:種まき
11月:収穫、乾燥
12月:青山在来大豆の歴史を学ぶ
12月:脱穀
2月:味噌仕込み
味噌汁づくりの調理実習は、これから初めての授業が始まります。
(番外編)古い道具たち
おがわ学の授業では、実際に古い道具を自らの手で使って体験をします。
▶くるり棒
刈り取った麦や大豆を叩いて、芒(のぎ)や粒を落としたり、脱穀を行うための道具です。名前の通り棒をくるっと回して使います。熟して乾燥した大豆は、殻に覆われていますが、このくるり棒で叩くとはじけて大豆が飛び出します!
▶唐箕(とうみ)
箱の内部に装置してある風車のようなもので風を起こし、上から落とす米、麦、大豆などを粃(しいな)や殻と実とに分けるための道具です。穀物を上から落とす量と、ハンドルを回すスピードの加減に少しコツが要ります。
ここまでご覧いただきありがとうございます。
こちらの内容をまとめた「おがわん通信」を町内いくつかの場所に配架してまいりますので、よければお手にとってみてください。
記事内に使われている写真の一部は、横田岳さん撮影です。