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6. 日本の企業に思うこと

現在の日本の企業について感じることを書きます。


責任

これまで何度も経験したのですが、他社が作成したソフトウェアやシステムの改修・調査依頼を受けることがあります。

ソフトウェアの調査を行うのは良いのですが、時には調査だけが依頼される場合もあります。問題点の調査というのは高い技術力と労力が必要となります。

最初から作らせてもらえたら「無駄な費用が発生しないのに」と、感じることもあります。

制作を請け負う企業は、自社で解決できない案件についてはその仕事を引き受けるべきではないと感じます。なぜなら、周囲が不幸になるためです。

ソフトウェア開発は、新規作成の場合に利益が高く、改修や機能追加については多くの費用を請求することが難しい側面があります。

そのような事情から、それを他社に投げるというのは企業の利益を求める上では良いのかもしれません。

しかし、以下の記事


で触れましたが、作ったものに対する愛着・責任・プライドは無いのでしょうか。作ったものに対しては、可能な限り最後まで面倒を見ることが制作を任された企業の責任であると感じます。

このような事が慢性化すると、技術力のない企業が利益をあげ、技術力のある企業が埋もれる事態が発生します。これでは日本の将来が明るいとは言えません。

ソフトウェア制作とは、作ったらそれで終わりではありません。むしろ作ってからがスタートと言えます。

なぜなら、実際に運用を行うと想定外の状況が発生するためです。それが時には不具合であったり、仕様的な問題であったり、運用とシステムのミスマッチであったりします。

そのため、運用開始以降に機能を追加・変更したり、不具合の修正をしたりといった対応が求められます。特に、不具合の対応に至ってはスピード感が大切ですので、制作した企業が責任を持って対応することが重要となります。


受注が階層構造である事の問題点

一次二次と受ける企業は大手で、階層が深まるにつれて企業規模は小さくなる構造です。

最終的には中小企業が制作を担当しますが、ソフトウェアで考えると規模に関係なく優秀なエンジニアが居れば大手企業でなくとも対応可能です。もし対応が難しいのであれば、階層構造ではなくフラットな構造で各々が分担する形が望ましいです。

日本では、エンドユーザーが支払う費用の大部分を中間企業が利益として得てしまうため、最終的に制作を行う中小企業の利益は小さくなることが多いです。

中小企業には高い技術を持った企業が多く存在しますが、そのような企業が苦しい状況にさらされているのは、構造に問題があると言えるのではないでしょうか。日本の競争力が落ちている原因の一つと言えます。

そのような環境では優秀なエンジニアは国外に移動することになります。フラットな環境での競争により成長や発展につながるのではないでしょうか。

しかし、特定の大手企業だけが利益をあげている現状では、日本全体の発展は期待できないと感じます。

実際、大手企業と中小企業とでは実効税率が異なり、大手企業が優遇されています。以前GoogleのAI、Bardに「日本における大企業と中小企業の税負担率」を問い合わせると、以下の回答が得られました。

Google Bardによる「日本における大企業と中小企業の税負担率」の質問における回答


2021年のデータではありますが、2022年10月の時点でも大きな変化はないということなので、間違いではないと言えます。

興味深いことに、同じ質問を同時期のChatGPTとBingAIに投げると「中小企業の方が税率は優遇されているもしくは同じ」という回答が得られます。

私の推測ですが、もしかすると、ChatGPTとBingAIには、センシティブな内容については回答を避ける、もしくは偽るフィルターがかけられていると言わざる負えないと感じています。

なお現在のGemini/ChatGPT/Copilotに同じ質問をしても同様の傾向を示します。

もしそうだとしたら

「AIは洗脳・誘導するツールとしても利用できる」

と考えられます。つまり、AIの情報を全て鵜呑みにしないよう、使用者自身が注意深く判断することが重要です。


さらに気になる点

コンサルティング業が大きな利益を得ている一方で、実際にモノを生産する企業が伸び悩んでいる現状に危機感を感じます。

モノを作るには時間がかかります。何故なら技術が必要となるためです。技術を得るには経験が必要となるので、人材育成も含め多くの時間を必要とします。

今後コンサルティング業などはAIが一部の業務を肩代わりする形に変わっていくことが予測できますが、モノ作りについてはAIで全てまかなうことが当面難しく、特に日本は島国であることから自国で生産することが重要と感じています。

試しにChatGPT(o1)にリクルーティング企業について質問してみました。

リクルーティング企業についてをChatGPTに質問

この結果をみると、AIですら疑問を感じている印象を受けます。

しかし、日本では実際にモノを作り出す企業よりも、コンサルティング企業が増えつつあります。これが正しいことなのでしょうか。


M&A

代表として活動する中でもう一つ気になることがあります。

M&A企業からの連絡が頻繁にあります。時には自宅宛てに封書が送られてくることもあり、迷惑しています。

M&A企業から頻繁に連絡があるということは、多くの大手企業が中小企業の持つ顧客や技術を吸収することを目的としている印象を受けます。もちろん表向きは友好的と言われますがホントにそうなのでしょうか。

中には次のような提案を持ち掛けてくる企業もありました。

「弊社を紹介頂き、受注できた場合、その利益の3%を還元します」

しかもこれ同業の大手企業です。大手企業が中小企業の仕事を奪うことを目的としているとしか思えないですよね。

そうした形でしか企業が成長できないとすれば、それは大変残念な事です。

会社を吸収するのではなく、共に日本を良い方向へ導くために、協力すればより良い方向へ向かえるのではと感じます。


まとめ

日本はここ30年程で衰退したと言われることが多いですが、これはモノ作りではなく知的労働者ばかりが増えてしまい、お互いを食い合っているような印象を受けます。

はたしてこれが、生産性のあることなのでしょうか。

やはり重要な所は物質的労働により、何かを作り出していくことだと感じます。モノ作りは比較的分かりやすいのですが、例えば飲食業や介護業界なども物質的な労働に入ります。運送業なども同様です。ソフトウェアエンジニアも同様で、作るために労働しているので物質的な労働となります。

しかし、物質的労働者と知的労働者のどちらが報酬が高いでしょうか。当然報酬の高い方へ労働者は流れます。

これが現在の日本でその結果が今の状態です。

物質的労働が無ければ社会は成り立ちませんし発展もしません。国もDX等に多くの補助金を当てていますが、それは一部の企業が利益を得るためにプラットフォームとして利用している傾向が見受けられます。

そこに資金を投入するのであれば、先に物質的労働者を救うべきだと感じます。例えば介護職などは今後高齢化が進む社会では必須の職業ですが、現状は十分な報酬を得ているとは言えない状況です。

運送業も似たようなもので、働き手が足りないから長時間労働となっているのに、資金を投入せずに長時間労働の抑制を行うものだから、より厳しい状況となっています。

農業も後を継ぐ者がいなくなり減少の一途です。なぜ後を継ぐ者がいないのか、十分な報酬を得ることが出来ないためです。このままでは国内での自給自足が出来ない状況となり、全てを輸入に頼らなければならない状況となります。しかし、物価高騰と円安により輸入も厳しい状況となっています。

これらを総合的に考えると、正しい方向へ向かっているとは到底思えません。

私に出来ることは企業活動を通して物質的労働者による価値を高めるための活動、今後の若い世代のサポートに全力を向けたいと思います。

#日本の企業 #企業格差 #知的労働者 #物質的労働者

お気持ち感謝に尽きません🙇‍♂️