82.ザ・ゴール2
前作「ザ・ゴール」では、TOCの基本理論に基づいた話となっていましたが、本作では問題を解決する方法として、「思考プロセス」について書かれています。
思考プロセスとは?
重要なポイントとして以下の考え方があります。
何を変えれば良いか
何に変えれば良いか
どのように変えれば良いか
これらの事は考えつきますが、具体的にどのように導き出せばよいのか、となると誰もが頭を抱えることになりますよね。
思考プロセスの考え方
思考プロセスを考える上で、具体的な解決策を導き出すツールとして5つの思考ツールがあります。
現状問題構造ツリー
雲(対立解消図)
未来問題構造ツリー
前提条件ツリー
移行ツリー
これらの、考え方を使いさまざまな問題を解決していきます。また、これらの考え方1つ1つの「ステートメント(1つの事柄、文面)」によって構成され、それぞれのステートメントが線で結びつく形で、図として表現されます。
次に、それらの具体的な考え方について説明していきます。
現状問題構造ツリー
沢山の問題から、コアとなる問題を見つけるために利用します。
全ての問題は1つの事柄から発生するものではなく、互いに関連し合うことが多いはずです。
しかし、多くの問題を頭の中で整理することは難しく、表面的な問題に対して意識が向かいます。
そのような問題も図として表現する事により、コアとなる問題を見つけ、もっとも効果的な改善作を導き出す手がかりとなります。
このツリーは何かしら問題を解決する場合において、まず始めに行うべき事です。これは、「好ましくない結果(UDE、Undesirable Effects)」と呼ばる事柄を始めに挙げていきます。
問題点挙げていくと、それらの間に関連性を見つける事が出来ます。この関連性を線で結び、ツリー構造で図としてあらわします。
図にする事により全体を見る事が出来、その中での根本的な問題点を見つける手助けとなります。
雲(対立解消図)
何か一つの事柄を達成する方法を考える場合に、副作用が生じる事があります。そのような問題を解決するために利用します。
副作用が生じる解決方法は、それ自体にも問題が潜んでいる場合が多いです。また、このような場合、意見が分かれる場合があります。
「達成したい目標」は同じなのですが、そこに行き着く過程で対立が発生します。このような対立が発生した場合、会社などではより権力のある者の意見が反映されます。
しかし、対立を生む場合、どちらの方法を取ったとしても何かしら問題が発生する事が予想されますが、どちらかに決めなければいけない状況では、間違った行動が取られる場合があります。
このような、ジレンマを解消するために「達成したい目標」にたどり着くまでの方法をいくつかの事柄に分け(ステートメントとして作る)、それらを線で結びます。
この図を対立している双方で作成を行い比較します。そして、どの部分で対立(コンフリクト)しているのかを明確にします。
基本的には、「達成したい目標」に向かって対立している2つのルートを作成します。それぞれのルートは2つのステートメントからなる構造をとります。
この本に書かれている例の一つで「娘が夜遅くに帰ってくる事を認めるべきか、認めないべきか」の問題があります。これに対する考え方を「雲」を使って表現すると次のようになります。
健全な家族生活を送りたい ← 友達から良く思われたい ← ※12時に帰宅
健全な家族生活を送りたい ← 安全のため ← ※10時に帰宅
1は娘の考え、2は親の考えですが、「※」が対立しています。
この対立を解消するにはどこかの矢印を消すことで、もう片方のルートを利用できる状況とします。
このような考え方で、対立を解消する方法を議論します。
この問題の解決方法としては、「安全のため」を、「親が娘を迎えに行く」とすることで、対立関係が解消されます。
未来問題構造ツリー
「雲」を使って問題点を解消する方法が見つかったならば、次に行うことは改善した場合の結果について考えます。
コアな問題を解決すると、それに関連する問題は殆ど解決されます。しかし、予想出来なかった新たな問題が発生する場合があります。
このような問題を事前に発見し、出来る限り行動に移す前に排除していく事を考えます。
また、新しい方法は必ずしも「全員が賛成」とはなりません。「雲」で解決方法を見つけたとしても、反対意見を後から言い出される場合もあります。
そのことから、事前に実行結果について、この図で説明する事で落とし込みます。人は言葉や文字だけよりも、形の方が理解しやすいためです。
前提条件ツリー
目標を達成していく上での障害(前提条件)と、それを克服するための中間的な目標を視覚化するために使います。
このツリーを作成する場合はアイデアを実行する順序に注目しながら、中間目標を時系列として捉える必要があります。そうする事で、アイデアを実行するまでの手順を整理できます。
ツリーの作成はアイデアをツリーの一番上に置き、それを達成するにはどのような障害が考えられ、それをどのように回避するか(中間目標)、その方法についてツリーを下へ伸ばします。
移行ツリー
前提条件ツリーが出来れば、目標に向かってすべき事はほぼ決まります。あとは、実際に実行していく手順を、考えます。このツリーでも時間的順序が大切になります。
中間目標をどの順序で達成していくべきかに注目します。また、ここでは実際の手順を分かりやすく図として書く事により、実際の行動順序を理解しやすい形で表現します。
プレゼンテーションを行う場合、このツリーは非常に強力なツールとして活用する事が出来ます。
まとめ
図で、各問題を1つのステートメントとして書き出し、それらの関係を考える事で新しい解決法を見つける、この方法は実際の仕事や生活でも役立ちます。
この本に書かれている重要な点として「企業の目的とはなにか?」があります。次の3つです。
市場が求めているものを提供していく事(経営者側の視点)
社員の安定した生活を保障していく事(従業員側の視点)
利益(株主の視点)
3の「利益」が最も注目されますが、3つの中では最も数値として表現しやすいためです。
しかし、それを満たすには上記の1,2を満たせなければ成り立たない事を理解しなければいけません。
改善を考える場合、どれが欠けても成りたちません。何処かに痛みを伴う解決方法は必ず問題があると考えるべきです。
ストーリーとしては、最後は目指すべきゴールにたどり着く主人公ですが、著者としては、ここからがスタートである、と感じさせる内容でした。
実際の書籍には、全て図が記載されていますので、是非手に取ってみてください。