95.伝える
会社の新入社員を教育していく中で、気になったことがありました。このことについて書きます。
あやふやな言葉
面接の時は概ねしっかりした言葉遣いを皆さんされますが、実際に入社されてしばらく経過すると、慣れもあり通常の話し言葉へと変化します。
これは、私が大切にしている「目線を合わせる」話し方が、そうさせる部分もあるのですが、この時にその人の本来の姿が見え始めます。
ビジネスの世界を経験していると自然と失礼のない言葉遣いが身についていきますが、初期の段階では不適切な言葉を使ってしまう場合もあり得るはずです。
特に私が注意を払うのは
「信頼できないと相手に思わせる言葉」
これを日常的に使っている場合です。現在教育している社員もその言葉を頻繁に使っていました。
このような言葉は、癖になってしまうと本人では気づきにくい場合が多いです。
私自身も社会人経験間もない頃は、不適切な言葉を多用していたと思います。しかし、指摘されることが無かったため、気づくのが遅く失礼な言葉遣いや態度を長らくしていたように感じます。今思えば恥ずかしい話です💦
その経験から、教育の場面では多少プレッシャーになる場合もありますが、指摘するようにしています。
今だから分かるのですが、若い頃は指摘されると「うっとうしい」「うるさいな」等、感じてしまうことがあったと思います。しかし、早い段階で指摘された方が、結果的に嫌な思いをしなくて済むため、本人にとってはホントはありがたい事だと感じます。
伝える側も嫌な気分にさせる指摘を好んでしたくないのですが、伝えるべき所は、誠意をもって伝える、これが教育だと感じます。
伝えてくれる方というのはホントはありがたい存在であることを若い方には理解して頂けると嬉しいですね。その人のためを思うからこそ、嫌だけど伝えるのです。
この時注意しなければいけないのは
「感情的に伝えるのではなく、冷静に事実を伝える事」
そうでなければ、指摘された人は受け入れられなくなります。
昔であれば「なんだ!その言葉遣いは!」等でも許されましたが、今の時代はそうした伝え方をしても、正しく伝わりません。
ネガティブな印象を与える可能性がある場合、感情に訴えるのではなく、事実を伝えること、これが大切です。
その社員は「たぶん」「なんか」という言葉を頻繁に使っていましたので、次のように指摘しました。
「もし自分が店員から商品の説明を受ける時に、そのような言葉を使っていたらどのように感じる?」
このように伝えると、そのような言葉を使う人は信用できないことを殆どの方は理解できます。
本来は家庭で学ぶこと
しかし、このような言葉使いは、学校では学ばないですよね。本来は普段の生活の中で学んでいきます。
しかし、最近強く感じる傾向として、当たり前を学ばずに大人になっていく方が少なからずおられます。
この社員はもう一つ、当たり前が出来ていませんでした。
それは、人に何かをしてもらった時に「ありがとう」を伝えることです。これも同じく学校で学ぶようなことではありません。普段の生活の中で学んでいくものです。
しかし、当たり前のこと過ぎて周囲から「ありがとうを言わないといけないよ」と、言われることは無いですよね。
これは、家庭の中で親が伝えるべきことです。つまり、このような問題は子供の問題ではなく、親の問題と言えます。
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わが子が可愛いのは、どこの親でも当たり前です。しかし、親として大切なことは将来子供が大人になったときに、自立出来るようにサポートすることです。
なんでも先回りしていると、子供は考えて行動しなくなります。時には失敗を見守る余裕が親には必要です。また、危険な行動についてはさらに厳しく伝える必要があります。
このような当たり前を学ばずに、大人になる人が増えてきているのかもしれません。
今は企業に入ってからでもこのような教育が必要な時代になってきたのかもしれないですね。
まぁ、若い方だけというわけでもなく、私と似たような年齢の方でも「ありがとう」が言えない方も居られます。若い方であれば変化の可能性が高いのですが、年齢を重ねた方だと、変化を嫌う傾向があるので手に負えないですね・・・
人間は老いてくると、思考することがストレスになる傾向があるので、必然的に感情的になりやすいです。しかし、年齢を重ねても感謝の気持ちは特に大切にしたいですね。
まとめ
今後はビジネスの世界でも教育の重要性が増してくると感じています。実際にビジネスの世界で教育を経験されて来た方は、それほど多くは居られないのではと感じています。
というのも、教育とは本来時間のかかるものです。そのことから企業としてはそこにリソースを割くことに抵抗を感じる場合があると思います。しかし、ちょっとしたきっかけで潜在能力が引き出せることを考えると、企業であれ、寄り添った教育の必要性を感じます。
勘違いされている方も居られると思いますが、伝えることは教育ではありません。自立させることがホントの教育です。
私自身も指導者として教育に関わってきましたが、その奥深さは底なしで、一生かかってもその真理を理解することは叶わないと感じています。そうであるからこそ、学び続ける必要があると自分自身に言い聞かせています。
教育って、実体験からでしか学べない所が難しいですよね。なぜなら、人を理解することが必要で、人の心には決まった形はなく、理論が通用しないためです。
もちろん傾向はあるので、それを理解して行動すると良い結果になる確率は多少は上がるのですが、最終的には心に寄り添うことが必要となります。
時には何もしなくても、側に居るだけでよい。このような場面もあります。
先日取引先の代表の方と話をする機会がありましたので、そうした教育面でのサポートも可能であることをお伝えしました。
ビジネスとして成立すればよいとは思いますが、個人的にはそう感じません。教育とビジネスを紐づけると、大切なものが欠けてしまいます。利益を追求すると、短い時間で結果を出さなければいけないためです。
私の本職は経営者でありエンジニアです。であればビジネスとしてはそこで勝負出来ればいいかなと感じます。皆さんが気持ちよく仕事が出来るようにサポート出来れば、それが一番だと感じています。
今後も若い方のサポートに力を注いでいきたいですね。