20. 実務教育
新人教育が終わると実務教育に入ります。弊社では2段階のステップで基礎の教育となりますが、実務教育では様々な要素が入ります。このことについて書きます。
意思疎通
まず、これは誰しもができていない印象を受けます。通常の会話であれば問題ないのですが、仕事は効率よく進めなければならないので、適切なタイミングで質問や相談を行わなければなりません。
このタイミングが難しく、まずはこの感覚を掴むことが、初めの課題となることが多いです。
特に、メールでの意思疎通が問題となることがあります。
業務では、メールを利用することが多いため、その点に不慣れだと感じる人が多いです。昨今では、SNSが連絡手段の主流となっていて、メール自体がほとんど使われていないため、それが理由の一つかもしれませんね。
しかし、SNSであろうとメールであろうと原則は一緒です。
注意すべき点は以下の通りです。
考える時間が長くなり始めたら(30分以上)、聞く判断をする
自身の中で質問をまとめてから質問する
相手からの連絡に対しては、即座に返答する(すぐに返答できない場合、いつ頃返答できるか伝える)
定期的に進捗を報告する
この中でよく見られるのは、1番の「考える時間が長くなり始めたら(30分以上)、質問する判断をする」です。
なぜこれができないのかと言うと、以下の理由があります。
もうしわけない
何とか自分で解決しなければ
一つは、指導者に対して謙虚になりすぎるとこのようになります。もう一つは、早く目的を達成することの重要さを理解していないからです。
このようなことから、私は次のようにアドバイスします。
「大切なことは、効率よく仕事を進めることを最優先に考えること」
質問できる人がいるのであれば、その人を積極的に利用すると、結果として作業が早く終わるため、そのように伝えています。
次によく見られるのが3番の「相手からの連絡に対しては、即座に返答する」です。これは以下の
でも書いていますが、後回しにしてしまいがちなので注意が必要です。
特に、相手からの問題点についての連絡があったときは、できるだけ早く返答をする必要があります。また、都の時に調査に必要な情報を得る必要もあります。
もし、時間がかかる場合は、いつまでに再度連絡を取るかを相手に伝えなければいけません。
また、伝え方も重要です。
文字だけで表現すると伝わりにくいため、画像と文字を組み合わせて伝えることで、理解されやすくなることを実際の例を示しながら伝えています。
このようなことから、相手にメールを送るときは必ず
「事前に指導者に送ってもらい、指導者が内容を確認する」
これを徹底しています。
これらがスムーズにできてくると、業務の効率化がかなり進みます。
伝える時に役立つツール
この画像取得とコメント等の追加に特化したツールがありますので紹介しておきます。
このツールは、起動しておけばショートカットキーで領域選択、オブジェクト選択等が可能で、取得した画像に対して、コメントを付与できます。
以下の場合、赤い枠とコメントを付与しています。
マニュアル作りや自身のメモにも役立ちますので、おすすめです。
歩み寄る
日頃から適度なコミュニケーションをとりながら様子を見ることをお勧めします。ポイントとしては、仕事以外の話題でも話せると良いですね。
そのためには、指導者側が話を合わせられるように配慮することが必要です。
特に指導者と年齢が離れている場合、指導者側は
「昔話は控えること」
が重要です。もちろん、自身の経験を会話の中で軽く触れる程度であれば問題ありませんが、武勇伝のような話を延々とされると、聞きたくなくなりますよね。
しかし、このような状況はよく見られます。なぜこのような状況が多いのかというと
「指導する側が新しい知識を学んでいないから」
日ごろから新しい情報を取り入れ、新しい技術に触れていると、若い人達との会話でその話題を出せます。
しかし、新しい情報を得る努力をしないと、そうした会話が難しくなります。そのため、指導者側は常に最新の様々な情報に対するアンテナを張ることをお勧めします。
また、自分の得意分野でないことや知りたいことについて話題を振ってみるのも良いですね。思いのほか会話が盛り上がることがあります。
指導者側がそうした歩み寄りをすることで、社員は安心感を得ることが出来ます。
仕事量について
新入社員に対する仕事の量には注意が必要です。多すぎれば負担が大きくなりますし、少なすぎれば暇を持て余すことになります。
私の基準では以下のように設定します
「少し量が多い程度」
もちろん、人によって仕事の進み方は異なるので、コミュニケーションを取りながら状況を確認し、判断する必要があります。
良いタイミングとしては、現在の仕事が終わる目途が立った段階で、次の仕事の段取りを開始することです。すると、現在の仕事が終わる少し前に次の仕事について説明ができ、社員のモチベーションを維持することができます。
この時の注意点として、仕事が早く終わったからといって、すぐに次の仕事を開始させてはいけません。
初めの段階では、仕事の品質に問題があることが多いため、見直しや入念なテスト、あるいはコードレビューなどを行い、質を確認する必要があります。
また、仕事を早く終わらせたのであれば、それは本人の努力の結果です。そのため、開いた時間を自由に使えるよう配慮が必要です。
有給休暇が利用可能であれば、有給休暇の取得についても考慮することをおすすめします。
このような経験を通じて、効率的に仕事を進める利点を実感してもらうことが大切です。
気にかける
普段から、教育対象の人については気にかける必要があります。
例えば、以下のような場合
「質問もなく、問題無く業務を行っていると感じる」
これを良い状況と判断してはいけません。このような状況では、その人が何かを考えている場合もあるからです。
したがって、定期的にコミュニケーションを取り、進捗を確認したり、時には雑談を交えたりすることが重要です。
もう1つ注意しなければいけない事は
「他の社員が若い人へ、どのように接しているか」
それが誠意をもって行われているかどうかを注視する必要があります。
時々、指導者自身が適切に対応していても、他の社員が不適切な言動をとることがあります。そうなると、企業へのエンゲージメントが低下する可能性があります。
そのような状況を排除するために、ハラスメントに対する啓発活動や、若者への対応については一定の介入が必要であることを知っておいてください。
特に、社内での雑談時にはそのような状況が発生しやすいため、ヒヤリング等も実施してください。
実務教育の終わり
実際には、実務教育に終わりはありません。一流のエンジニアになるための道のりは長く、場合によっては退職するまでそれを達成できないこともあります。
しかし、学ぶ意識と謙虚さをもって接すれば、いつしか一流のエンジニアへと成長していけるはずです。
そのため、指導者の皆さんには、その時が来るまで献身的なサポートを続けていただきたいと思います。
もし目標を設定するとしたら、それは
「仕事の開始から終了まで、顧客とのコミュニケーションを含めて一人で進められるようになること」
だと言えるでしょう。
これからも、より多くのエンジニアをサポートし続けるために、自身の指導力にも磨きをかけ続けていきたいと思います。
また、成長していく社員が活躍できる場を提供できるように、会社の運営にも努めたいと思います。