58.賃金アップというけれど
昨日テレビで政府とつながりのある方だと思いますが、次のようなことを言われていました。
「現在、物価高で苦しい状況ではありますが、賃金アップまでの間しばし我慢いただければ・・・」
少し、違和感を覚えたのでこのことについて書きたいと思います。
国民のほとんどは中小企業に勤める
現在政府は企業に向けた賃金アップの活動を活発化しています。
皆さんご存じの通り、日本の企業の99.7%は中小企業です。それを前提に考えた場合、本来政府が請求すべきは大手企業ではなく、中小企業を中心に考えるべきだと感じます。
賃金アップについて考えると、とても中小企業に向いた感じには見受けられません。
もし、中小企業に向いた政策であるのならば、簡単に
「賃金アップ」
この言葉は使えません。なぜなら
「出を大きくするなら、入りを大きくする必要がある」
当然の原理です。
中小企業の多くは、大手企業から受注していると思われますが、そうした中小企業が入りを大きくするには、工数単価や受注額を上げる必要があります。
もちろん、効率化等により多少埋め合わせは可能ですが、現状それだけで補うことが難しい状況です。そして、そのことを大手企業は理解しています。
なぜならば、様々なものが値上がりしているのは、それを販売している大手企業だからです。企業努力ではどうにもならないから、値上げせざる負えない状況だということは一番理解しているはずです。
であるならば、同じ条件は中小企業にも当てはまります。しかし、立場を考えた場合、中小企業が大手企業に対して単価の上昇を受け入れてもらえるのかといわれると、簡単にいかないことは理解できると思います。
大きな違い
大手企業は年間の利益が数百、数千憶の企業も多く存在しますが、中小企業でそれほど利益が出ている企業というのは少ないはずです。
そのようなことから、企業規模が小さくなるほど利益に対して社員への還元率を上げなければ、十分な賃金を支払うことが難しくなる傾向があると言えます。
実際私の所でも、90~95%程還元することが多いです。
大手企業は多くの利益が出ているので、それを賃金アップの形で還元出来る余裕があります。違う言い方をすると
「大手企業は今まで利益を還元してこなかったから余裕がある」
とも言えます。もちろん、設備投資も必要となりますが、それを含めたとしても実際に大手企業の内部留保が増えていることが、その根拠となります。
「大手企業 内部留保」で調べてもらえれば情報はいくらでも出てきます。
中小企業は実際に倒産している企業が昨年度と比べると多いです。この点が、大手企業と中小企業の大きな違いです。
もう少し多数の国民に目を向けてほしい
このような状況で
「賃金アップするまで少し我慢してください」
というのは、とても中小企業に目を向けているとは思えません。特に今年はインボイス制度も施行されますので、個人事業主の方にも影響があります。
流石に消費税を今の状況で上げることはないとは思いますが、6/30 の政府の税制調査会では、退職金や給与所得に対しての、税金の控除額の削減が提案されています。
そのことからも、他の部分で結果的に増税になるように調整を検討しているように思えます。
国民に目を向けるというのは、個人の収入に注目するだけではなく、大多数の個人が働く中小企業や個人事業主への待遇改善も合わせて必要です。
実際に私が政府側の人間であれば、以下について対応を検討すると思います。
大手企業と中小企業間の実効税率の差を少なくする
インボイス制度の中止
企業利益の社員への還元率における税制優遇
内部留保の多い企業に対しての課税
1, 2については、以下が関連する記事です。
理解できない税金の使われ方
ご存じの方もおられると思いますが、政府が「人口減少・少子高齢化対策」で行う事業の一つに以下
通称「ブライダル補助金」があります。この補助金ですが以下の意図で行うとあります。
海外に向けた日本文化等の魅力発信を実施するためのビジネスモデルの構築をする事業であること。
訪日外国人の受入に必要な基盤強化を実施するためのビジネスモデルの構築をする事業であること。
つまり、これはインバウンド(海外から来訪される方へ向けての)需要を見越した政策とされているのですが、ブライダル産業となぜつながるのか、どのように考えても理解できませんでした。
少子高齢化対策であれば、出産可能な個人や家族、結婚される個人に対しての補助金であれば納得もいくのですが、ブライダル産業に対しての補助金なので、政府とその業界とのつながりで税金が使われているように思えて仕方ありません。
そもそも、結婚式は強制ではなく費用もかかることから、昨今では簡易的なもので済ます方も多くおられます。
このような、意図のわからない形で税金を使い、税金が足りないから増税というのは理解に苦しみます。
そして、なぜこれが可決され施行されるのか、ホントに今の日本は大丈夫なのでしょうか。なぜ、日本の将来のことを普通に考えることが出来ないのでしょうか。
そろそろ国民皆さんで、声を上げるべき時が近づいてきたように感じます。
出来ることは
今後、中小企業が生き残っていくためには、出来る限りの効率化や独自の強みを生かすことに集中しなければ、経営が厳しくなると思われます。
ただ、悲観ばかりしていても何も変わらないので、常に新しいことに目を向け、変化を受け入れ、人を大切に出来る企業を目指して、企業価値を追求していきたいですね。
最後に、若い方には選挙に足を運んで頂きたいです。今の政府で良いのか、自身で調べ判断を下してください。そうしなければ、この先も固定票の強い政党が勝ち続けるだけです。
何事においても、自身の未来は自身の行動で決めれることを知っておいてください。