ゲド戦記の映画、原作と違いすぎてびっくり
先日トトロを見たときに、ジブリ映画でびっくりした経験を思い出した。
原作を読んでいない人は初見だとストーリーが分かりづらいと聞いていた「ゲド戦記」。
せっかくなので原作を読んでから映画を見てみた。
※ストーリー、ネタバレしてしまう部分があるかもしれないのでお気を付けください。
原作本の感想
原作は中古で6巻セットを買った。
面白い!
文体は、古いと感じる場面はあるがとっつきにくくはない。全体に暗い印象、最近の漫画とかに比べれば展開もゆっくり。
でも各巻ごとにしっかりテーマがあり、大人が読んでも面白い。
アレンは父を殺さない
楽しみにしていた映画を再生した直後、アレンが父の国王を殺してしまった…!
なんで?!?!
原作ではアレンが人を殺す場面はない。 映画を見るだけだとその背景も分かりづらい。
後半で「自分でも分からない自分が出てくる」というようなことを言っている。それが「影」だろうか?
本来は「影」と戦うのはゲド。
「影」につきまとまれることになったのは、明確に原因がある。若い時に虚栄心からくる浅はかな行動をしてしまったから。いつの間にか影に乗っ取られることはない。
原作1巻でゲドは影に追われるのではなく逆に追い詰め、ある答えに達する。映画にそのストーリーはない。
そこが、見どころなんだけど。
各巻の登場人物が混ざっている
原作ではそれぞれの巻にテーマがあり、主に主人公となるキャラクターがいる。
1巻ー闇と光…ゲド
2巻ー従属と自由…テナー
3巻ー死と生…アレン
4巻ー男女、ジェンダー…テルー
映画は主に3巻の内容を描いているのだけど、そこには出てこないテナーやテルーが出てくる。全体的に生い立ちや行動の背景などは語られていない(なのに一言だけ過去を仄めかすようなセリフを言ったりする)ので映画だけだと分かりづらいかも。
1巻ごとにあんなに長かったのに全部一緒になったらそれはそうか。
見た目のイメージも違いすぎる。特にクモと呼ばれる魔法使い。原作では男性だと思っていたけど、映画だと妖艶な女性のような見た目だった。
…ラストシーンのクモは怖すぎる。 夢に出てきそう。
「ゲド戦記」なのにアレンの恋愛ストーリー?
映画だけを見るとアレンとテルーの恋愛ストーリーのように感じた。 原作ではそこはテーマではないと思う。
映像と音楽はとても美しいし、映画は映画でおもしろい。
でもこれだけ読み応えのある大作なんだから、まずは1巻の内容だけ映画で扱って欲しかったな…
しかも解説などを見ると、宮崎駿監督の作品「シュナの旅」と合わせてストーリーが出来上がっているらしい。「ゲド戦記」という題名でなく、違う話として出してほしかったなあ…
けっこう違う原作があるんだなあという気持ちで映画は映画で楽しんでもらいたいです。時間がある方は原作おすすめです。