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Photo by
noouchi
読書『異邦人』:世界観に引きずり込まれる愉しみ
私が本を選ぶ基準はいくつかある。
1つは、書店や図書館でパラパラめくってみて。あらすじの紹介やたまたま目に留まった数行が好きかどうかで決める。
もう1つは、SNSなどで見て面白そうと思ったもの。
あとは、「この作家さんなら絶対面白い!」という方の作品を端から読む。
私的ハズレがない作家さんの1人が、原田マハさん。
自らも美術館のキュレーターである原田さんは美術史や絵画をベースにした作品が多い。その世界にどっぷりと浸るのが不思議な感覚。語り口は静かで淡々としてるんだけど、絵画の持つ力や登場人物の感情に引き込まれ読む手が止まらなくなる。
『暗幕のゲルニカ』『たゆたえども沈まず』『奇跡の人』とかもよかった。
『異邦人』では主人公の菜穂が白根樹(しらね たつる)という無名のアーティストに出会い、主人公はその作品に一目で惚れ込む。実在の画家ではないと思うけど、読んでいるこちらも引き込まれる。
もうひとつこの作品で引き込まれるのは「京都」の世界観。
長野県民の私にとっては京都の言葉も祭りも文化も、丁寧な言い回しに隠された意図も馴染みのないもの。別世界に感じる。
「アート」と「京都」、自分に馴染みのない2つの世界観に浸れた。
ラストは「あーー、よく出来たお話だなあ」という感じで若干強引に(?)終わった。まあ、妊娠中に原発の影響を恐れて京都でホテル暮らし、そのまま知人宅に身を寄せ出産まで帰らずって設定自体もだいぶフィクションか…。
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