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読書『香君』:人間はちっぽけだし間違う

図書館で上橋菜穂子さんの新刊『香君(こうくん)』を発見して小躍りして借りた。
上橋菜穂子さんといえば、『精霊の守り人』『獣の奏者』『鹿の王』の作者。

今回は「人並み外れた嗅覚で神羅万象を知る少女」と「謎に包まれた奇跡の稲」のお話。

自然の為すことの広大さと人間の小ささ、どことなく『獣の奏者』を思い出す。

国の政策(思惑)や神話の裏側など、世界観が作り込まれている。内容は全体的に固い。
語り口は読みやすいけど、児童書コーナーだけに置くのはもったいない気がする。大人が面白いファンタジー。

作中「奇跡の稲」と、それだけに依存した人々に絶対絶命のピンチが訪れる。なんとなく野菜も米も高騰する現在の食生活とリンクしてしまう。

香りで様々なことを知る主人公は、ラスト近くで「自分が知り得たことを多くの人に伝えておきたい」と言う。

「みんなが自分で判断できるように、自分の行動が何に繋がり、どんな結果をもたらすのか、想像できるように」(中略)「知識さえあれば、辺境の農夫たちだって、自分たちの未来を、自分たちで救えたかもしれない」

『香君 下 遥かな道』上橋菜穂子、p430


私、これこそが「学ぶ」ことの意味だと思う。

「どうして勉強なんてするの」と聞かれたら、過去も現在も含めた世界中の賢い人のやってきたことを踏まえて、未知の事態に立ち向かうためだと思う。
1人の人間の力なんてちっぽけだから。一生は短いから。

作中では「語るとそれが現れる」と禁忌の理由は伝えられていなかった。それだと過ちを繰り返す。失敗こそ語り継いだほうがいいんだよね本当は。


それにしても、上橋さんのお話は出てくる異国のお料理が美味しそうで…。よくこんなに世界観作り込めるなあ。


↓以前書いてたブログ(名前違うけど)
まるでおんなじようなこと書いてた。
読んで考えたこと、短くても残しておくっていいな。






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おがわ みずほ
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